ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

書籍・雑誌

今年を振り返る2008(3) 書籍・絵画編

(映画「ゲド戦記」よりコラージュ)はむちぃ: さて皆様いきなりテルー様に睨みつけられ、申し訳ございません、「振り返る」シリーズ今回は「書籍・絵画」編でございます。ゆうけい: 最強竜カレシンの娘、さすがの眼力ですな(^_^;)。は: まあそれは後にい…

時の絆 / 日下唯

先日12月8日に向けて「靖国」のレビューを書いていて、太平洋戦争の名残の記憶さえない世代が今小中学生の親になっている現代において、正しい事実を次世代へ伝えていくことの難しさを感じていました。そんな折も折りにこの自費出版の小説を紹介され、何か運…

幻影の書 / ポール・オースター(柴田元幸訳)

数年前、このブログを始めた時に文学関係ではこの本の邦訳レビューを書けたら本望だと思っていました。Paul Auster(ポール・オースター)の「The Book Of Illusions」です。 実は私が初めて読んだ彼の原著長編が「The Book Of Illusions」で、その出版は200…

MURAKAMI / 清水良典

いつも気になっていながら日々の多忙に紛れてついつい検証を怠ってしまう疑問と言うのは誰でもあると思います。私も幾つか持っているのですが、その一つが、 「私はいつ頃から村上龍ファンから村上春樹ファンに鞍替えしてしまったのか」 という疑問です。な…

レコードコレクターズ増刊 ビートルズ名曲ベスト100

皆様、先ずは25万ヒットありがとうございます。koyama師匠にご指摘いただくまで全然気がついてませんでした(大汗)が、有り難い事です。今後ともよろしくお願いします。 さて、以前「あなたが選ぶビートルズベスト100」に応募した事を記事にしましたが、…

Travels in the Scriptorium / Paul Auster

はむちぃ: 久々の洋書書評はこのブログではお馴染みのアメリカ現代作家、Paul Auster (ポール・オースター)のペーパーバックでございます。オースター様と言えば最新作「A Man In The Dark」が出版されたばかりでございますが?ゆうけい: ども、ポール・オ…

「あなたが選ぶビートルズ名曲ベスト100」

レコード・コレクターズ 2008年 09月号 [雑誌] ランキングものはやはり販売部数が伸びるのか、レコードコレクターズは7、8、9月号とビートルズを取り上げていました。いつも立ち読みでフンフン、で済ませていましたが、最後くらい買うかと言う気持ちに加…

「物語の力」 / 村上春樹インタビュー

先日の神戸新聞に4月6日から毎日曜日に「風の歌 村上春樹の物語世界」と言う新連載が始まるという予告がありました。地方新聞がメインのようですが、何はともあれハルキストにとっては朗報です。 そしてそれに先駆けて9日からから三回にわたり「物語の力」…

ゲド戦記(4) TEHANU

Cover of first edition (hardcover), from Wikipedia 申し上げるのも多分これで最後でございますが(笑、原作に関しても映画に関してもネタバレが多々ございますのでご了承ください。 第四話:Tehanu(1990)、邦題:帰還-ゲド戦記最後の書-(1993) この第4話は…

ゲド戦記(3) The Farthest Shore

Cover images from Bantam books 1975 paperback editions (art by Pauline Ellison). 毎回申し上げますが、原作に関しても映画に関してもネタバレが多々ございますのでご了承ください。 第三話:The Farthest Shore(1972)、邦題:さいはての島へ(1977) 世界…

ゲド戦記(1)(2)

(Ursula Le Guin, copyright © by Marian Wood Kolisch, free download permitted)毎回申し上げますが、原作に関しても映画に関してもネタバレが多々ございますのでご了承ください。第一話:A Wizard of Earthsea(1968)、邦題「影との戦い」(1976) アー…

ゲド戦記の世界観

(Map of Earthsea from official website of Ursula le Guin, free download permitted) 今回から「Earthsea Quartet(ゲド戦記)」の原作を検討していきたいと思います。あらかじめお断りしておきますが、原作、映画ともに重要な点もネタバレになりますので…

ゲド戦記四部作 /Ursula Le Guin

(左:The Earthsea Quartet(Penguin Books), 右:映画ゲド戦記(DVD)) ちょっと古い話になりますが第三回文春きいちご賞第一位はスタジオジブリのアニメーション映画「ゲド戦記」でした。その記事を書いた時には「まだ見てないので個人的にはコメントを差…

アーサー・C・クラーク氏を悼む

SF界の巨星堕つ!アーサー・C・クラーク氏が心臓発作で死去されました。心よりご冥福をお祈りします。 「地球幼年期の終り」「銀河帝国の崩壊」「宇宙島へ行く少年」「星の砂」「海底牧場」「渇きの海」「イルカの島」「楽園の泉」「遥かなる地球の歌」「200…

ティファニーで朝食を / 村上春樹訳

去年随分カポーティにこだわって記事を書いていましたが、最後の記事が「ティファニーで朝食を」でした。その記事の中で翻訳が古くなっているので、村上春樹氏か柴田元幸氏あたりが新しい翻訳を出してくれないかな、と書きました。ところがなんと本当に村上…

カラヤンとフルトヴェングラー / 中川右介

どるさんやkoyamaさんのリクエストには「誠に残念ながら」お応えできませんでしたが(笑)、せめてものお詫びにクラシック本ネタをお贈りします。ステレオサウンドの広告には時として本記事よりも面白いものがあるのですが、その一つにベーレンプラッテという…

生物と無生物のあいだ/福岡伸一

「モスラの精神史」を紹介したついでに、話題の新書をもう一冊紹介しましょう。分子生物学者の福岡伸一先生の「生物と無生物のあいだ」です。既に30万部を突破しているそうで、サイエンスものの新書としては驚異的な売り上げなんではないでしょうか。 『読み…

モスラの精神史/小野俊太郎

akiraさんがブログで紹介されておられたので興味が湧いて読んでみました。「モスラ」と言えば私の世代にとっては幼少の頃に「人類の味方」として刷り込みされたかけがえの無い怪獣ですから「悪く言うと許さないぞ」みたいな(笑)感覚がありますが、果たして…

今年を振り返る(5)美術・書籍編

はむちぃ: さて、皆様、クリスマスはいかがお過ごしでございましたでしょうか、ご主人様はあいも変わらず仕事に追いまくられておりますが、ヤフオクの出品が皆様のお陰で順調にさばけてるようでございまして、素敵なクリスマスプレゼントとなりました。ゆう…

中原の虹 第四巻

第一巻をご紹介してから一年、そして前作「蒼穹の昴」からは十年余の歳月を経て、清朝崩壊の壮大なドラマ「中原の虹」がついに完結しました。浅田次郎先生お疲れ様でした。『そして王者は、長城を越える。龍玉と天命を信じ、戦いに生きる。英雄たちの思いは…

ビートサウンドNo.9

BEAT SOUND NO.9 (2007)―ロック世代のサウンド・マガジン (9) (別冊ステレオサウンド) ステサンは毎号買っているんですが、ビートサウンドは正直なところあまり買ったことがありません。しかし最新号の「音の革命を起こしたロック・ギターアルバム100選」…

The Door Into Summer / R.H.Heinlein

はむちぃ: 今回の書籍レビューはアメリカSF界の巨匠R.F.ハインラインの傑作「夏への扉」でございますね。ゆうけい: 彼の最高傑作とこの本では紹介されてるけど、まあそこまでは行きませんね。ハインラインの膨大な作品の中では比較的小品で佳作と言ったと…

Harry Potter and the Deathly Hallows

(UK版ハードカバー) ハリー・ポッター・シリーズの第7巻です。全ての謎が明かされる最終巻であり、出版前夜は大変な騒ぎでした、あまりの人手にテロリストが自爆テロを中止したなんてニュースもありましたね。第5、6巻がかなり暗くて退屈だったのでいい加…

空白の2ヶ月を振り返る(2)読書・映画・音楽編

はむちぃ: さて今回は読書・映画・音楽のカテゴリーを振り返ってみましょう。ゆうけい: 3カテゴリーを一緒くたにしたのは、まあご想像通りあまりこなしてない事の証左でございます<m(__)m> は: またまたしょっぱなから身も蓋もないことを(トホホ、することがない</m(__)m>…

中原の虹 第三巻

浅田次郎氏の傑作「蒼穹の昴」の続編「中原の虹」第二部から半年、いよいよ第三部の登場です。第一部の紹介時に書きましたが、本作品は全体で四部構想を予定しているとの事です。ですから、今回は起承転結の転の部分に当たる事になります。 『相次ぐ革命勢力…

60年代ロックベスト100

すでにあちこちのブログで話題になってますが、ようやくレコードコレクターズ5月号を買ってきました。目玉は25周年記念企画「60年代ロックベスト100」です。早速読んでみましたが、100枚全部見ると概ね納得しますが、ベスト10はどうかなあ? と…

カート・ヴォネガット氏を悼む

アメリカの作家Kurt Vonnegut(カート・ヴォネガット)氏が4月11日永眠されたそうです。謹んでお悔やみ申し上げます。 近年は執筆活動を行っておられず「タイムクエイク」以後彼の小説を読む機会もありませんでしたが、最近トルーマン・カポーティの伝記…

アメリカ西部開拓と日本人 / 鶴谷寿

先日の「冷血」の記事やhomさんのコメントにもありましたように、この本は大変枝葉の多い作品で、加害者被害者の家族のみならず、それを取り巻く数多くの家族の状況が記載されているのですが、その中でも一際印象的なのが(とりわけ我々日本人にとって)アシ…

冷血 / トルーマン・カポーティ

去年シネ・リーブルで予告編を見てこりゃあ見なくちゃ!と思っていた映画「カポーティ」ですが、まだ大丈夫だろうと思っているうちにあっという間に終わってしまい見損ねてしまいました。homさんの記事によるとやはり必見の作品だったようで、DVDレンタル…

ミスター・ヴァーティゴ / ポール・オースター

はむちぃ: 今日は久々の書評でございますが、ご主人様お気に入りの米現代作家、ポール・オースター様の作品でございます。ゆうけい: ついでに言っとくとお気に入りの訳者柴田元幸先生の訳です、作品自体は古いのですが今回やっと文庫版が出ましたのでご紹…