拙ブログで何度か書いていますように、父が昔映画館を経営していたので、私にとって映画はごく自然にそこにあるものでした。そして思春期にさしかかったばかりの頃に「小さな恋のメロディ」の一大ブームが日本を席巻し、ますます映画の虜になり、自然に洋画ファンになってしまいました。
読む雑誌は「スクリーン」で「キネマ旬報」はちょっと敷居が高かったです。それでも年間ベスト10などは気になってスクリーンのそれと比較しては高尚だなあ、と感心していました。
そのキネマ旬報が95周年企画を次々と発表しています。このムック本もその一冊。前から行きつけのシネ・リーブル神戸のショウケースにあって気になっていたのですが、前回紹介した「おやすみなさいを言いたくて」という素晴らしい映画を観た後パンフレットを買った勢いで、ついにこの本も買ってしまいました。
主な内容は186人の映画人・文化人・評論家が好きな男優・女優それぞれ5人ずつを選び、その総計でTOP15を発表したものです。いろんな人のいろんな思いを読むのも楽しいし各スターのプロフィールや代表映画の紹介も、知っているものが多いとはいえ、懐かしくも興味深かったです。また、以前20世紀の映画スターランキングを企画したことがあり、それも掲載されています。
ランキングを全て公開するのはばかられますが、弱小ブログですし、ベスト5くらいは発表しても怒られないでしょう(多分)。
男優:
第一位: クリント・イーストウッド
第二位: スティーヴ・マックィーン
第三位: アル・パチーノ
第四位: ロバート・デ・ニーロ
第五位: ポール・ニューマン
女優
第一位: オードリー・ヘップバーン
第二位: ジーナ・ローランズ
第三位: ジャンヌ・モロー
第四位: キャサリン・ヘップバーン
第四位: ケイト・ブランシェット
ちなみにビッグネームのショーン・コネリー、マリリン・モンローが後に続いています。
男優は意外にベタ、女優はさすがキネ旬、という感じ。クリント・イーストウッドはキャリアの中盤から名監督となるとともに演技も充実しだしましたが、基本的にはいかにもアメリカの主演俳優的な「イモ」感が抜けきらない気がします。もちろん監督としてはとても尊敬しています。両者を両立した傑作としては「グラン・トリノ」の印象がとても強いですね。その後現実にデトロイトが破産するにおよび、彼の炯眼に脱帽しました。あのラストシーンがよみがえってきます。
女優のオードリー・ヘップバーンは文句なし。スクリーン誌でも半ば引退状態だった頃でさえ延々と年間ナンバー1が続いていたことを思い出します。20世紀の映画文化が生んだ最高にして孤高の存在だと思います。最高作は誰が選んでも「ローマの休日」だと思いますが、カポーティが本当はマリリン・モンローのために書いたのにと文句を言った「ティファニーで朝食を」や、容色が衰え始めた頃の「暗くなるまで待って」の演技も印象に残ります。「ロビンとマリアン」で復活されましたが、私はもうその頃は忙しすぎて映画どころで無い時期でしたので残念ながらフォローし切れませんでした。その後は社会奉仕活動に精魂を傾けられ、一個の私人としても尊敬しておりました。
最後にもし私なら、ということで男女5人を選んでみたいと思います。そういう遊びも楽しめる一冊であると思いますので洋画好きの方は是非どうぞ。
男優:
チャーリー・チャップリン(16位)
ピーター・オトゥール(20位)
アラン・ドロン(9位)
フィリップ・シーモア・ホフマン(37位)
アンディ・ラウ(58位)
(次点: レオナルド・ディカプリオ(58位))
女優:
オードリー・ヘップバーン(1位)
カトリーヌ・ドヌーヴ(7位)
ヴィヴィアン・リー(32位)
ナスターシャ・キンスキー(15位)
キーラ・ナイトレイ(圏外、許せん(笑))
(次点: マリリン・モンロー(6位))
ちなみにシネリーブルで買うと、和田誠さんの表紙イラストの絵葉書5枚がサービスでもらえます。