終わった、と思わせておいてまだまだ続くC-3800導入記です。
さて、前回記事でルーツサウンドさんに引き取りにいったブツはこれでした。アキュフェーズの最新SACD/CDトランスポートDP-900用に改良された新しいHS-LINKケーブル「AHDL-15」です。もちろんバラ売りもしているので、拙宅のCDP:DP-700とDigital Voicing Equalizer:DG-38間で今使用している旧HS-LINKケーブルHDL-15と交換するため、2本購入しました。まず購入に至った経緯から書いてみます。
話は少し前に戻りますが、新しいプリアンプC-3800を導入したのが2週間前。そして、毎日音が変化していき、かなり暴走気味でさえあったのですが、鳴らしこみ、少しずつセッティングをつめていく中で、ようやく「普通だが凄い」真っ当な音になってきました。
そこで先週の日曜日に、凄耳の持ち主である石井式ルームチューニングのHoteiさんに来ていただいて聴いてもらいました。概ね合格点をもらえてそれはそれで良かったのですが、さらに良い音になるはず、と持ち込んでくださったのがこの新しいHS-LINKケーブルだったのです。
(上: 新ケーブルAHDL-15、下: 旧ケーブルHDL-15)
900+901シリーズになって、実はHS-LINKケーブルも改良されていたのですが、私は知りませんでした。一方Hoteiさんはアキュから持ち込んでもらって聴いておられたのですが、この新しいケーブルが音質の向上に貢献していると感じたそうです。
上記写真のごとく、従来品に比して端子部の作りがしっかりとして強固になり、はめ込みが確実になりました。太さも大分増しています。もうこれだけで音が良さそうです(笑。旧ケーブルには特に説明はありませんでしたが、新しいケーブルにはDP-900のPDFで
「三重シールド付きツイスト・ペア8芯ケーブル」
と説明があります。太さから想像するに使用銅線数を増やしシールドも厳重にしたのではないかと思います。LANケーブルのカテゴリーとしては(Hoteiさんによると)アース付きカテ5eであることは変わらず、アキュフェーズとしてはこのカテゴリーに自信を持っているようです。
持ってきてくださったのが一本だけだったので、双方向には試せないため、試しにDG38→DP700間につないでみると、それだけでも
音がよりほぐれて音場が広がる。それに連れて音数も増える。
と、旧ケーブルと比して音は確実に良くなりました。これは買いかな、と心が動きます。
更には実用面でも買い換えたい理由はありました。実は読み込み時にロックがなかなかかからなかったり、途中でロックが外れてしまうことが今まで度々あり、冷や冷やしながら聴いていたのです。いろいろやってみて原因は旧ケーブル二本のうち一本の接触がどこかで悪くなっているのではないかと疑っておりました。
今回の試聴でケーブルの取り外しを繰り返しているうち、案の定途中でロックがかからなくなりました。そこでその疑惑の一本と新ケーブルを替えてみると、案の定きっちりとロックがかかり、途中でロックが外れることもありませんでした。
というわけで購入決定。ルーツさんにメールすると、いつものごとく迅速な対応で翌々日の火曜日にはもう店に届きました、と返信がありました。早っ(w。 焦る心を抑えつつ仕事をこなし、午後オフの金曜日にようやく引き取りに行ってきました。
帰宅して早速結線し、「Fourplay」をCDPのターンテーブルに乗せます。さあ、果たしてきっちりロックするか?すると分かっていてもドキドキします(笑。でも大丈夫、当たり前やろ、と言わんばかりに即ロックしました。これで一安心。とりあえず慣らしのためかけっばなしにして家内と買い物に出かけました。
30分ほどで帰宅していよいよ本格的に音出し。そしてその出てきた音に思わずにんまり。さすがに二本とも変えた効果は絶大で、音の分離、各楽器の一音一音の粒立ちのよさと音数の豊富さが先日にも増して明らかです。
C-3800の導入によりもう自分の財力では突き詰めたつもりでいたシステムに、僅かな投資でまだこれだけの改善の余地が残っていたかとあらためてオーディオの深さを思い知らされました。ネイサン・イーストのベース、リー・リトナーのギター、その音色は自宅比ですが過去最高だと思います。
敢えて気になる点を上げると、少し音の輪郭が太くなったかな、ボーカルの口許が大きくなったかな、という二点です。ケーブルの見た目そのままですが(笑。このあたりは好みの問題もありますし、エージングによって変わっていくかもしれません。それに、CDであればDG-38への送り出しをデジケー(三菱電線のCX-1)にすることである程度調整可能です。
ではC-3800とAHDL-15の導入後に、ますます良くなったと感じるリファレンス・ディスクのいくつかを紹介して終わりたいと思います。
Everything But The Girlがアコースティックでカバーしたナンバーを4曲集めたミニアルバムです。何れも佳曲揃いなのですが、個人的には二曲目のブルース・スプリングスティーンのカバー曲「Tougher Than The Rest」が一番好きです。早速聴いてみますと、冒頭のアコースティック・ギターのストロークのリアルさ、トレイシー・ソーンのコクのある歌唱と途中から滑り込んでくるベン・ワットの控えめな伴唱、そして後半のピアノの響き、全てが完璧に調和していて大満足です。
STREET WALKING WOMAN
Shihoのボーカルと横田明紀夫のギターというシンプルなコンビながら力強いサウンドを聴かせるFried Prideのアルバムです。最後の「Burnin' Up The Carnaval」はパーカッションも加わり華やかな締め曲ですが、そのパーカッションの弾む感じ、Shihoのボーカルのはじけ方、横田の自在なギターサウンド、それらが一体となって盛り上がる様が今までで一番良く出ていると感じます。
Minoru Nojima Plays Liszt
またかよ、と言われそうですがピアノのリファレンスはやはりこれ。キース・ジョンソンの録音になるNojima(野島稔)の演奏です。試聴に使うのはやっぱり二曲目の「ラ・カンパネラ」。序盤約3分間のピアニシッモからフォルテッシモに至る超高速パッセージが、これほど正確無比なピッチ、打鍵の安定度で演奏される演奏は稀有だと思います。その一音一音を見事にとらえたキース・ジョンソンの録音をいかに正確に表現できるかが再生システムに問われるわけですが、C-3800にしてようやく合格点に達したかなと思います。更にはAHDL-15にして、よりグランドピアノらしい響きになったと思います。
ため息
日本人のボーカルではやはりシバジュンこと柴田淳。八曲目の「なにもない場所」はシンプルなピアノ弾き語りですが、それだけにシステムの素性が露わになります。今回の変更にして過去最高レベルで(あくまでも自社比ですが)、イントロのピアノの音をきつすぎず甘すぎずに響かせ、エフェクタのかかっていないシバジュンの素のボーカルの美しさを息遣いまで聞こえるほどに再生できるようになりました。
シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」
最後にクラシックのSACDを一枚。お気に入りの田部京子さんとカルミナ四重奏団の「ます」です。SACDならではのダイナミックレンジの広さと、ピアノ+弦の四重奏ならではのfレンジの広さは再生システムの力量を量るのに適したディスクです。SACDならではのピアノのタッチの柔らかさと強さの双方の表現力、弦、特にコントラバスの深くて柔らかいタッチ、手前味噌ですが十分表現できているように思います。
まだまだいろいろと紹介したいディスクはあるのですが長くなってしまいましたので今回はこの辺で。って本当にまだ続くのか?