ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

スピーカー用ウェルフロートボード:Wellfloat BW001 Special 3545L

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( Wellfloat BW001 Special3545L )

 先週の日曜日に、ジークレフ社長Lanciastさんにスピーカー用のウェルフロートボードBW001 Special 3545Lを納入設置していただきました。

 

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  前回ターンテーブル用のWellfloat BW001 3545を搬入していただいた際、お持ちいただいたスピーカー用ボードの実験をしていただきました。そして音質・安全性・戸外への遮音性の三点で自分の求める方向にあるボードであると確信し、導入を決定しました。

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 その際、サファイアは底面の形状が特殊であるためサイズを計測し、またより滑りにくいように表面に特殊塗装もオプションと加えました。更に、本来ウェルフロートボードにはスピーカー直置きがいいのですが、サファイアは完全にフラットではないためスパイクを外せず、スパイク受けのウェルディスクも一緒に購入しました。

 これだけの特注をしたのは、社長さんと共同開発者の京都人さんの下記のようなアドバイスがあったからです。

・ 底面がフラットであればボードに直置きすること
・ その場合できるだけ底面積に近いボードを選ぶこと(特注もできます)
・ どうしてもスパイクが必要なら、MDFに穴が開く可能性があるのでウェルディスク等の受けを用いること
・ その場合でもできるだけスパイクとスプリング部分が近い方が良い
・ 滑ったりするリスクがある場合は、特殊塗装をオプションで付けた方が良い

 そして今回は正式の設置となるため、師匠のHoteiさんにもお願いして同席していただき、セッティングと音質変化の評価もしていただきました。

 セッティングを終えて、まずJennifer Warnesのボーカルとドラムの深い低音の入った「Way Down Deep」で音出し。一聴して付帯音が減って音がすっきりとし,音場が深くなったことがわかります。

 一方、原理的にはフローティング構造は音質には影響を与えないはずですが、ジェニファーのボーカルが明るくなった印象がありました。Hoteiさんも同意見で、微調整の前にこの変化を良しとするか否か確認を求められました。

 返事はもちろんYES。今回はとにかくピアノ、特に打鍵連打時やサステイン時の音の混濁を無くす事、低音の音階をはっきりさせることが主目的でした。それに先日こなれたボードでコリン・メイのボーカルも聴いていますので、ボーカルの明るさは変わらなくても陰翳はエージングが進むと出てくることは想像が付いたので、その事をHoteiさんに伝えて、スイートスポットの微調整をしていただきました。

 それから2、3時間色々な音楽をかけ続けていると、すぐに音がこなれてきてボードとスパイク受け、スピーカーが馴染んで来たのが分かりました。

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 そして鳴らし続けること1週間。比較的大音量でいろんなソースを試聴。満足できる音になっていること、戸外への遮音性、いずれも確認できました。

 インプレッションを箇条書きしますと

・ 同じボリューム位置での音量は少なくなる
・ ボリュームを上げ続けてもS/N比が保たれてうるさくならない
・ 各楽器のセパレーションが良くなり、音場が明確で三次元的に展開する
・ 低音の質感はやや軽めだが、深いところまで十分出ていてしかも音階が明瞭
・ ピアノの連打時・サステイン時の音の重なりでの濁りが激減する
・ 大音量でもオーケストラのトゥッティがクリアで濁らない
・ ヴォーカルはやはり明るめだが、あっけらかんと軽さはとれて質感は戻った
・ ウッドベースコントラバスの重くはないが実体感のあるリアルな再生

というところです。ほとんどがフローティング構造によって床からスピーカーへまとわり付いていた付帯音が減った効果だと思いますが、音質にも変化があるということはやはり若干はボードの材質であるMDFの音が乗っているのかな、と思います。

 閑話休題、特に期待していたピアノは狙い通りでした。我が家での不動のリファレンスである「Nojima Plays Liszt」の二曲目「La Campanella」は鳥肌モノでした。これは正確無比な超高速の打鍵をキース・ジョンソンが録音したそのの一音一音を明瞭に聴き取れるかどうかでオーディオシステムの質が問われるソースです。
 今までも多少の自信と自負はあったのですが、それが吹っ飛んでしまうほど素晴らしいプレイバック。これほど音粒が際立ち、低音が沈み、そして何よりもNojimaの正確なだけではない音楽性まで、かなりのところまでキース・ジョンソンが意図した通りに再現できたのは初めてです。

 内田光子のライブでの深い解釈に基づいた感動的な演奏と、ライブならではのホールトーンの余韻、田部京子ブラームスのピアノ小品集の柔らかい質感、そして今もヘビロテのトーマス・エンコの自由闊達でジャンルにとらわれない天衣無縫なソロ演奏。どれも大音量で再生しても低音の重なりによる濁りが取れ音階が明瞭であるため、聴いていて楽しいです。

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 予想外で嬉しかったのは、ジャズのウッドベースやオケのコントラバスがぐっと存在感を増して明瞭に聞き取れるようになったことです。
 ステレオサウンドで三浦さんと和田さんが、キース・ジャレットの「My  Back Pages (Somewhere Before )」と「Country ( My Song ) 」はそっくりだよね、と話されていたのを思い出してこの両曲をかけてみたのですが、コード進行もさることながら、チャーリー・ヘイデンパレ・ダニエルソンのベース演奏のリアルさ・実体感のほうに感動してしまいました。

 ということで、導入は成功、と断言してよいと思います。Lanciastさん、Hoteiさん、ありがとうございました。