ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Accuphase試聴会 By ルーツサウンド

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 昨日は雨の中ルーツサウンド主催のアキュフェーズ試聴会へ出かけてきました。話題の40周年記念・完全バランスドAAVA構成の新プリアンプ「C-3800」のお披露目が主目的ですが、最新のアキュフェーズ群でドライブされたFocal Scala Utopiaの素晴らしい音も堪能できました。またネット・オーディオ界で有名なさもえどさんと初めてお会いし、楽しい時間を過ごさせていただきました。

日時: 10月3日(日) 14:00-16:00
場所: 神戸市医師会館

主催: ルーツサウンド 
解説: アキュフェーズ(株) 技術担当 山本氏

Line-Up's

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SACD/CD Player: Accuphase DP-700
Turntable: Blinkman Oasis
Cartridge: Ortofon MC30
Phono Amplifier: Accuphase C-27
Preamplifier: Accuphase C-3800、C-280V
Power Amplifiers: Accuphase M-6000 x2
Digital Voicing Equalizer: Accuphase DG-48
Clean Power Supply: Accuphase PS-1210

Loudspeakers: Focal Scala Utopia


 前回のステラヴォックス・ゼファン試聴会の時と同じく、会場は神戸医師会館で今回使用したのは市民ホール。壁がしっかりしており音響も考えられている良い部屋です。演台があり、そこに機器がセットしてあるのは良いのか悪いのか、良くも悪くも板の音が乗りますからねえ。

 解説担当のアキュの山本氏が、リハーサル時に

「低域がぼわつくのでDG-48のEQのみを用いて低域を絞った」

と解説されておられました。人が沢山入ると当然ながら吸音しますし、個人的な好みもありますが、個人的にはやや締め過ぎの印象を受けました。その分Scala UtopiaのBeツイーターの音がややきつく感じられ、音に

「もっと余裕が欲しい(山田優の宣伝風)」

と思いました(笑。さもえどさんはあれくらいがいいとのこと。私もCub2の頃なら良いと思ってたかもしれません。

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( Accuphase C-3800 )
 まあとにもかくにもC-3800を核としてFocalのハイエンドラインであるUtopiaシリーズから放たれるサウンドは、ステレオサウンドの今季号で菅野先生が強調しておられた「物理特性」が完璧と感じました。デジタル・アナログを問わず、あるだけの情報量を正確に出し尽くし、彫りの深い音像と真に三次元的な音場を作り出していました。
 S/N比も今までいろいろな試聴会で聴いた中でも圧倒的に良い。傳先生の良く言われる底知れぬS/N比は、このシステムのためにある言葉ではないかと思いました。

 欲を言えばきりがありませんが、敢えて言うと生真面目過ぎて襟を正して聴かないといけない堅苦しさのようなものを感じました。アキュの機器群でもハイエンドラインばかりで構成されていますから当然なんでしょうが、もう少し個性と言うか遊びみたいなのがあっても良いかもしれません。

Scalautopiaterminal  それにしてもスカラ・ユートピアはハイスピードの凄いスピーカーですね。Beツイーターの良さはそのまま、音質はよりナチュラルになった感じがします。トランスペアレントの高そうなSPケーブルも貢献しているのかもしれませんが。
 まだまだエージングが必要な感じはしましたが、今の段階でもセッティングを煮詰めてピントを合わせれば、更に素晴しい音になりそうな雰囲気でした。
 欠点はでかすぎる、重すぎる、高すぎる(笑。奥行きがかなりある上に、底部でスピーカーターミナルが突出しています。それにペア170万円台のお値段ならバーゲンプライスと言っても良いくらいですが、一台でとなるとねえ(^_^;)。

C200no1
Accuphase C-200, 1973 Lot No.1 ) 
 ちなみに参考展示されていたアキュフェーズのプリ第一号機C-200はロットナンバー1番で故春日二郎氏の持ち物だとか。

Setlists:

Part I: システムチェック編
1:  When I Dream / Carol Kidd ( All My Tomorrows , SACD)
2:  Bach Partita 3-1(Prelude) / Joseph Lin ( バッハとイザイ~円を描く音楽の旅 , SACD )
3:  Mendelssohn 春の歌 / 田部京子 ( 田部京子プレイズ・メンデルスゾーン , CD )
4:  Chant / Fourplay ( Between the Sheets , CD)

 最初の4曲でシステムの音の特徴、というより「凄さ」を知ってもらう狙いですね(笑。
 順にボーカル、弦、ピアノ、フュージョンのアンサンブル。個人的には1のキャロル・キッドがその死に深い衝撃を受けた故マーティン・テイラーのギター、3の田部京子さんの女性らしい柔らかなタッチのピアノ、4のリー・リトナーの硬質でバリバリ弾きまくっているエレギの音色がもう「異次元」レベルで、素晴らしいと言うか、呆気にとられました(苦笑。菅野先生が良く使われる「彫琢」の意味がちょっと分かった気がします。Fourplayは拙宅でも調整に使っているのでChantは知り尽くした音ですが、ハーヴィ・メイソンのバスドラは皮を張り詰めすぎた感じがしました。ハイスピード過ぎ?

C3800back2_2
( 新開発のC-3800専用電源ケーブル、太い!)

Part II: アナログ編
5:  ファリャ・三角帽子より、序奏 / アンセルメ、スイス・ロマンド交響楽団(LP)
6:  ロッシーニ弦楽ソナタNo.3ハ長調 / アッカルド(vn) (LP)
7:  Danny Boy / Jacintha (Here' s To Ben, LP)

 続いてアナログを三曲かけて、フォノイコのC-27の実力も知ってもらう企画。ターンテーブルはルーツサウンド推薦のブリンクマンのダイレクトドライブのOASIS。前回の試聴会でも大活躍の機種でしたが、何故カートリッジをブリンクマンからオルトフォンの古いMC30に替えたか後で訊いてみますと、

「ブリンクマンのカートリッジだと音が良すぎてそちらの方に注目が集まってしまうので、中庸なのを店のガラスケースの中から適当に選んできた(笑」

とのこと。それでも良い音でした。アッカルドのヴァイオリンの音など特に良かったです。惜しかったのはジャシンタ。最初のソロの終わりかけで針飛びが起こって中止。ベースとピアノが滑りこんでくるあたりを聴きたかったです。
 欲を言えば、ちょっとこじんまりとまとまりすぎていて、C-27を使っているものとしてはもっとスケールを大きく鳴らせるんじゃないかと思いました。
 後でインピーダンスを見てみると30Ωになっていました。ローインピのオルトフォンには十分なのでしょうが、C-27でいろいろ試した者の経験から言うと、一段上げた100Ω受けくらいの音を聴いてみたかったです。

Part III: 本格試聴編
 
いよいよプリアンプの聴き比べ、そしてジャズ、クラシック、弦、ブラス、ピアノ等々種々のソースを時間の限り聴かせていただきました。

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(上C-3800、下C-280V、いずれもAccuphase

8:  チャイコフスキー・ヴァイオリン協奏曲ニ長調 / ヒラリー・ハーン(vn)&ロイヤル・リバプールフィルハーモニー ( Higdon & Tchaikovsky Violin Concertos , CD)
9:  ホルスト・惑星より木星 / パーヴォ・ヤルヴィシンシナティ交響楽団 ( ホルスト:組曲「惑星」他 , CD )
10:  Night and Day / Tiffany ( アメージング・グレース , SACD)
11:  You Don't Know What Love Is / Richie Beirach Trio ( マンハッタンの幻想 , CD)
12:  ルロイ・アンダーソン・ トランペット吹きの休日 / ボストン・ポップス・オーケストラ (トランペット吹きの休日 ~ルロイ・アンダーソン名曲集 , CD)
13:  グリーク・ピアノ協奏曲 / ニコライ・トカレフ(p)、ルツェルン交響楽団 ( Romantic Concertos(Greek,Chopin), CD)
14:  Satin Doll / Count Basie Orchestra ( Warm Breeze , CD)

 プリアンプの聴き比べは10のTiffanyで行われました。良く整備された1990年発表の名機C-280Vでまず聴き、ついでC-3800で聴きましたが、やはり圧倒的な差がつきました。キラキラしたアキュフェーズ・サウンドが特徴であったC-280Vの音が平板でかつ楽器によって出過ぎたり引っ込みすぎたりしているところがある事が良く分かりました。もちろんC-3800に面白みがなく、C-280Vがメリハリをつけているという見方もあると思います。その辺は好みの問題ですが、物理特性として圧倒的に違う事だけははっきりと分かりました。

 それはさておき、一番闊達でバランスの良かったのはカウント・ベイシーでしょう。松本氏がジャズ・ビッグ・バンドが一番お好きと語っておられましたが、やっぱり知らず知らずのうちに自分が一番好きな音が良く鳴るようにセッティングされてしまうのかな、なんて思ってました。個人的にはヒラリー・ハーンのチャイコを買わないかんな、と思いました(笑。

 以上アキュフェーズの日本的サービス精神に溢れた至れり尽くせりの構成で楽しませていただきました。どうもありがとうございました。撮った写真はPICASAにアップしてありますので、よろしければご覧下さい。