オーマニの間で超絶録音と話題になっているゲルギエフ&LSOのマーラー・シリーズですが、先ずは私にとって因縁浅からぬ6番「悲劇的」を買ってみました。
6番と言えば真っ先に思い出すのはTak Saekiさんのリクエストでやらかしたゆうはむ漫談マーラー5番勝負、そこでショルティ、バーンスタイン、ブーレーズ、ヤンソンス、バルビローリ、インバル等々を聴き込み、更には佐渡裕&PACOのライブにストップウォッチを持って出かけた、と言うくらい6番にはこだわってます。まあクラシックファンの方にはお遊び程度かもしれませんが(笑。
Data:
Gustav Mahler / Symphony No. 6
Valery Gergiev(cond), & London Symphony Orchestra
recorded live Nov2007 at the Barbican, London
(LSO Live Hybrid SACD)
1. Allegro energico, ma non troppo 21'59"
2. Andante moderato 13'53"
3. Scherzo: Wuchtig 12'34"
4. Finale: Allegro moderato 28'45"
Total: 77'11"
現代のカリスマと言われる超大物ゲルギエフの移籍なので大変な話題になりましたが、London Symphony Orchestraを確かに完全に掌中に収めている感じはしますし、各演奏者の気迫のようなものも、同じLSOを振ったヤンソンスの時と比べて段違いに感じます。
が、しかし、、、う~ん、、、何じゃこりゃ、と言うのが第一印象です(-_-;)。全く新しい解釈の6番と評価すべきなのかもしれませんが、好き勝手振れば良いと言うもんでもないだろうとも思いますね。少なくともヤンソンス&LSOの方が常識的できっちりとした6番である事は間違いないです。
以前の記事で各演奏者のトータルの演奏時間を比べた事がありましたが、ゲルギエフは77分少々とショルティに次ぐ物凄いスピードです。第一楽章冒頭のマーチ風四分音符からしてさっささっさと飛ばしていく感じなんですが、それから後も全体としては延々同じ感じで、うわっすべりの一本調子の印象が拭えません。ショルティの怒涛の前のめりはTakさんが絶賛されるように物凄い気迫があるんですが、ゲルギエフのテンポの速さは何を意図しているのかちょっと理解に苦しみます。もちろん抑揚を付けるために大げさにリタルダンドするところもあるんですが、テンポ・ルパートが勝手過ぎるような気が。。。どうせ突っ走るなら旧来の通りスケルツォを二番目に持ってくりゃいいのに(苦笑。
ちなみにHMVの解説を見ますと
「この一見あまりに無謀かのように思える速すぎるテンポ設定こそ、ゲルギエフがマーラーの内包する神経症的側面をえぐり出し、現代に生きる不安と焦燥を掻き立てあらためて呈示するための必然的選択だったのではないかと思えてくるのです。」
とあります。う~んそんな「必然」ありか~?私には「神経症」と言うよりは「感情を無くした虚人」のような気がするけどなあ。
そしてオーディオファイルにとって重要な録音音質ですが、残念ながらどう聴いても「変」です(T_T)。某氏はこのディスクが上手くならないようなシステムは失格だとまで書いておられましたが、拙宅は失格かも。先日Hoteiさんが来られて、検討の結果リアバスレフにまた切り替えたのでそのせいかとも思ったんですが、ヤンソンスやブーレーズをかけると以前と本質的には変わり無く聴こえます(手前味噌ですがサファイアの方が音は良いです(^_^;))。
良く言えばBarbican Hallの音響をありのままに捉えて全体としてのハーモニーを重要視したナチュラルな録音、と言えるかもしれません。でも、ゲルギエフお得意の通奏低音や打楽器ばかり耳について、高音楽器奏者が遠慮がちに弾いてる気がします。
一つ考えられるのはSACDマルチに最適化してある録音なのかもしれないということ。マルチの入っているSACDってなんか変な感じがしますもんね。
と言うわけで注文した時には大絶賛記事を書くつもりだったのですが、とんだ事になってしまいました(^_^;)。オーマニの皆さん、あまりいじめないでくださいねm(__)m。