ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

のだめカンタービレ #21

のだめカンタービレ #21 (21) (講談社コミックスキス)
 のだめの新刊が出ました。早や21巻ですが、表紙カバーで楽器を演奏していないのは記憶に無いですね、ついにネタ切れ?、それとも新路線でしょうか?

 今回のハイライトは前巻からの続きでラヴェルのピアノ協奏曲ト長調です。この曲については前巻で紹介しましたのでリンク先をご覧いただければ幸いです。のだめはこの曲を聴いて是非千秋と一緒にやりたいと切望しますが、運命の皮肉か、千秋は既に女性ピアニストのソン・ルイとこの曲で競演する事が決まっていたのでした。ちなみにソン・ルイも千秋に恋心を抱いています。

 さて、私は数多いのだめのキャラの中で、このソン・ルイが一番好きです。だから本巻では、ソン・ルイがどういう風に演奏するのかに最も興味がありました。
 結果は想像どおり、もともとの自分の才能・努力に加えて、のだめにインスピレーションを得た素晴らしい演奏となりました。出来れば若い頃のアルゲリッチのように演奏すればいいなと思っていましたが、あたらずと雖も遠からずの、奔放でつきぬけた演奏が聴こえてくるようでした。

 だからここまでは楽しく読めました。問題はのだめですね。千秋&ルイが自分がやりたかった、そしておそらく今演奏することのできる以上の完璧な演奏をしてしまったため、完全に落ち込んでしまいます。そしてその後の千秋へのアプローチが解せない、というか情けなかったです。女心が分からんのだと言われればそれまでですが。

 結局巻全体を通してみると二宮先生が満を持して描いたラヴェルをメインにしているにもかかわらず、最近で一番面白くなかったといえば言い過ぎかもしれませんが、煮え切らないなあという不満の残る巻でした。

 ひょっとしたら意外に早く、千秋とのだめは別の人生を歩んでいくかもしれません。つまりそろそろのだめカンタービレも一旦終了が近いのかなと思います。個人的にはもうここまで来るとそうなった方が良いんじゃないかとも思います。
 少なくとも千秋がのだめを育てる蜜月時代は終わったと感じます。ミルヒー大先生或いはオクレール先生がのだめをソン・ルイレベルのピアニストに成長させる事ができるのかどうか、そしてのだめの真の精神的成熟はあるのか、その辺りが次巻の見所でしょうね。