さて、セッティングとヴォイシングも終ったところで、いくつかリファレンスディスクを聴いてみました。ちなみに
Fourplay: 「Fourplay」 (Fusion)
EBTG 「Covers EP」 (Vocal)
Corrinne May 「Beautiful Seed」 (Vocal)
Jennifer Warnes 「The Hunter 」 (Popular Music)
Bob James and David Sanborn 「Quarttet Humain」 (Jazz)
田部京子「ロマンス」 (piano)
Thomas Encho「Feathers」(piano)
Hirary Hahn 「Shonberg and Sibelius Violin Concertos」 (Orchsetra and Violin)
等です。ファーストインプレッションとしては
1: ヴォイシングの効果は当然といえば当然だが38と同じ。
2: 力感が全体に増した感がある。
3: S/N比自体は噂ほどの向上はないが、抜けのよさは感じる。
力感という点に関しては機器自体よりこのイコライザーにしては異様に太い電源ケーブルのおかげなんじゃないかという気もします。
ルーツサウンドさんが「S/N比が圧倒的に向上した」という感想が一番多いとおっしゃってましたが、それはやはりプリーパワー間で使っていたからじゃないかなあと思いました。私の場合音出し編に書いたようにデジタル領域で処理していましたし、手前味噌ですがS/N比に関しては徹底的にこだわって機器選び、セッティングを行ってきたのでそれほどの変化は感じませんでした。やはりS/N比という点に関してはC-3800の衝撃が圧倒的だったと思います。
それよりも強く感じたのはスカッとした感じ、音の抜けの良さです。ヴォイシングされて整った音と、DP-700をそのままで使った時の素の音が両立したな、という好印象を持ちました。やはりデジタルの進歩が日進月歩でDSPが優秀になっているものと思われます。
ただ、良い事ばかりではありません。全体に音が硬く、アキュフェーズの批判でよく用いられる「ドンシャリ」的な感じが気になりました。これはDP-700にしてもC-3800にしても使い始めに感じていた印象ですので、このDG-58も結構エージングに時間がかかるな、と思いました。
そして予想通り、鳴らし続けること4~5日、本体、ケーブルともエージングが進み、BDRのボードとも馴染んできたと見えて、好もしい変化が出てきました。
音にしなやかさと深みが出てきて、周波数帯域も広がりピラミッドバランスとなって深い低音域まで音が沈み込む感じになりました。特にジェームス・ジナスのウッドベース、ネイサン・イーストのエレキベース、田部京子さんのピアノのぺダリング時の低音域などはいい感じです。
それとともに音の粒立ちもよくなり元気な音になってきました。ヒラリー・ハーンのバックのスウェーデンラジオオーケストラの演奏のクライマックスでの各楽器の音の迫力と各楽器の分離など、Dolon邸で聴いた音に少しずつ近づいてきた気がします。
というわけで大枚はたいて買っただけのことはあり満足、このまましばらくエージングを続けます。。。。
というレポートで終るはずだったのですが、最後の最後に大逆転が待ち受けていたのでした。
音出し編で書いたようにDG-58の魅力としてDP-720と同等のDAC(ESS社のES9018を片Ch8個並列の8MDS++)を使っているという点があります。ルーツサウンドさんも大絶賛されていましたし、ものは試しと遊びのつもりで58のアナログ・バランス出力とC-3800のバランス入力を繋いでみました。ケーブルは丁度余っていたMitubishiのBL-1(XLR)を使いました。長さは違えどDP-700-C3800と同じケーブルですので比較にはもってこい。
まずは「Fourplay」をかけてみました。。。。。
絶句。。。。。
DACは初使用なのに、ケーブルは随分長い間使用していなかったのに。。。。。
いきなりワンランク違う音が出てきたではありませんか!シャレではありませんが、いや、ありますが(^_^;)、CDPの型番で計算して720-700=20、音質に関わる全ての要素が20%増しという印象です。
「まじかっ」と思わず呟いてしまいました。少し58の方がゲインが高いので音量が大きくなったからかもしれないと、音量を絞って聴いてみましたが、音量を絞っても質感が変わらない為、却って差が引き立つ感じです。何度も入力を切り替えて、そしてソースを替えて聴き比べしてみましたが、やはりDP700のDACよりDG58のDACの方が音が確実に良いです。DACの進歩恐るべし。
敢えて特徴を言うと、音に芯が出来てシャキっと一本筋が通った音になりました。その上で情報量が増して音数が増え、楽器の音のリアル感がそれこそ二割増し、という感じです。
そしてもっと凄かったのがアナログ。今までDG-38→HS-linkケーブル→DP700と経由してプリに送られていた情報が、ADCで176.4Khzアップサンプリング、58内のDSPで処理、そしてこの驚くべきDACから直接プリに送られるという高品質にしてシンプルな経路になりましたので、CDより更に効果がテキメンでした。
分解能、情報量、処理能力の向上から来る音の滑らかさ、楽器の質感、音場の緻密さが明らかに以前と違います。
アルゲリッチのバッハのトッカータの冒頭など、真暗闇の深淵からはっとするような美しいピアノの音が忽然と立ち上がってくる感じで、おおっとのけぞりそうになりました。
リファレンスにしている1960年のイ・ムジチの「四季」はホールトーンを活かした響きの豊かな録音なので全ての弦楽器が響き合う感じなのですが、各楽器のセパレーションがより明快になりました。フェリックス・アーヨのヴァイオリンの音色も格別です。
ヴォーカルではアマンダ・マクブルームの「Midnight Matinee」中の「Ghost In The House」の悲しげなボーカルにゾクッと来ましたし、続く「Box In The Sand」のヴォイパのリアルさは唾が飛んでこないかと思うくらいです。
邦楽ではHi-Fi Setの「The Diary」中の「海辺の避暑地で」の若き日の山本潤子さんの美し過ぎる歌声と、デニス・バディマーのアコギの音色にうっとり。
次から次へとLPをかけたいのに時間がない、そんな嬉しい悲鳴をあげている毎日です。当分は楽しめそうですし、エージングが更に進んだらスピーカーのセッティングももう一度見直さなきゃいけないな、と考えています。
というわけで現在の入出力はこう変わりました。
入力:
Accuphase DP700 → HS-link In
Onkyo ND-S1( for iPod) → Digital In
Accuphase C-27(phonoequolizer) → Line In
出力:
DG-58 Analog Bal Out → C3800 Bal In
DP-700はトラポとなり、DG-58はVO/EQ機能付きのDACとなったのでした。以前、調整とセッティングで徹底的に機器の性能を引き出して使い続ける師匠のHoteiさんが
「DP-900+DC901が出てやっと買い換える気になった」
とおっしゃってたのが良く分かりました。おまけにその音も聴いて圧倒されてたのに。まあ3周くらい周回遅れのアキュ党ですのでこんなもんでしょう(笑い。お付き合いありがとうございました。
おまけ写真です。リモコンも大きくなりました。右からDP-700、DG-58、C-3800、ND-S1用リモコンです。38のリモコンで叩かれてもなんともありませんが、これで叩かれると確実に怪我をします(笑。このネタは前にも使った事があるような(^_^;)。