ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Dynaudio Sapphire

Sappireupward
 「面白いオーディオ記事を見たければお金の動くブログを見る事だ」とは確かUENOさんの名言だったと思いますが、ようやくそんなオーディオネタが書けそうです。半年間待ち続けた新スピーカーDynaudio Sapphireがようやく納入されました。
 去年の暮れにステレオサウンドボルドーという色に一目惚れし、実物を見る事も音を聴く事もなく

「これで良い音がしない筈がない」

と次期SPに即決しました。冗談抜きで本当にそれだけで決めました。いつもは貸し出し試聴にこだわる私が嘘のようでしたが、幸い直感は正解だったようです(嬉。

Danesdontlie_2  ルーツサウンドさんが搬入してくださった巨大な木箱には

Danes don't Lie.(デンマーク人嘘つかない)」

と書いてあります、嘘はつかんかったけどいついつ届くと言う約束もせんかったなあ、とか思いつつ開封作業を見守り、リビングルームに搬入していただきました。

 実際実物を見るボルドーという色は宣伝より随分地味ですが、Phile-Webで先に買われた方のインプレを伺っておりましたのでまあこんなものだろうと素直に納得しました。それ以上にフィニッシュの見事さに心を奪われていました。さすが北欧家具の国の大メーカーですねえ、見事な多面体仕上げです。

Sapphire0807192 日本人ではおそらく考え付かないであろう上方へ行くにしたがって広くなる形状は実際置いてみると相当に存在感があります。良くこういう現代型スピーカーのレポートで

「スピーカーが消える」

と表現されますが、リスニングポイントに座ってみると決して消える事はないですね(笑。

 スパイクに付け替えていただいて、スピーカーケーブルを繋ぎ、とりあえず平行セッティングにしていただきました。
 付属のスパイクベースはちゃっち過ぎて床を痛める危険性もありそうでしたので、余っていたアコースティック・リヴァイヴの真鍮製ベースを用いました。
 スピーカーの背が高い(1.3m)ので、あまり分厚いベースやオーディオボードは美観的も音的にも用いないほうがよさそうで、このベースで丁度良いくらいです。下の布はセッティングを詰めていく時に容易に動かせるようにと用意しましたが、意外に良く似合っています。このままでいこうかしらん(笑。
 また、ケーブルのターミナルポストはキンバーセレクトのYラグには小さすぎたため、外して裸線(といってもメッキ処理してありますが)で接続しました。これで拙宅のキンバーセレクトは両側とも裸線です(笑。

Unit  ルーツサウンドのマスターや息子さんと談笑しつつ、ちょっとサランネットを外してみましたが、サランネットも裏はしっかりした木材で補強されており、これも驚嘆すべき仕上げです。失礼ながらあまりのちゃっちさに涙が出たウィルソン・オーディオのそれとは正反対でした。これを見ますとネットこみの音作りをしているメーカーと外して使うことを前提にして入るメーカーがあるのだなあと思わざるを得ませんね、今頃気づくか(苦笑。

 さて、ご存知の方が多いかもしれませんが、ディナウディオはユニットを全て自社製作しておりその優秀さはつとに有名です。サファイアに搭載されているユニットで特に凄いのがツイーターのEsotar 2です。ルーツさんはこれを単品で今注文しているらしいですが20万円くらいするそうです。

 上から二番目はディナ専用のミッドレンジ・ドライバーで、下二本の20cmバスドライバーとともに素材はMSP(ケイ酸マグネシウム・ポリマー)で特殊成形されています。一体型ボイス・コイルはアルミニウム製、ウーファーの磁石にはネオジウムがダブルで使われています。

 筐体は堅牢な12面体、中はツイーター、ミッド、ウーファーと音響隔離されており、これらのユニットがディナウディオ独自の優秀な一次クロスオーバーで位相等管理されており、こちらはシングルワイアリングにケーブルを繋ぐだけ。

 先程直感でとは言いましたが、それ以前から次期SPとしての条件として

1: 優秀なユニット、できればスーパーツイーターを不要にできる事
2: 20cmくらいのウーファー二発で俊敏でダイレクトな低音を得る事
3: ネットワークはメーカーを信頼してシングルワイアリング

とは考えていたんです。38ウーファーを一度とも思っていたのですがやはりホームユースには不向きと結論した上での選択でした。Sapphireは幸いこの全てを満たしており、そう言う意味では渡りに船だったわけです。

Sapphireandwired  さていよいよ音出しです。まずは不動のリファレンス曲、Fourplayの二曲目「101 Eastbound」から。。。一番どきどきするところですね。

 88dBとウィルソンのCub IIより3dBも能率が落ちるのですが、不思議な事に聴感上は殆ど同じボリューム位置で同じ音圧です。やはりウーファーが大きくなった効果でしょうか。

 そして肝心の音なのですが、、、呆気ないくらいスムーズにクリアな音が出てきました。ボブのキーボードもリーのギターも何のストレスもなく流れていますし、ネイサンのベースもボトムまで良く出ています。これにはルーツのお二人もビックリしたようで「初めて鳴らしたスピーカーと思えない」とアングリしていらっしゃいました。試しに手嶌葵の「The Rose」をかけてみましたが、スペンドールで気に入っていた滑らかな感触が呆気なくそのまま出て来ました。もうスピーカー云々よりみんなで歌に聞き惚れていました。

 個人的には「この音はアキュフェーズDP-85の個性だ」と感じました。つまり、リンやB&Wのような「これが当社の音作りです」というような主張をしないスピーカーです。そういう「普通に良い音」を鳴らしてくれるところに好感を持ちました。 

 ルーツさんにも「良いスピーカーだ」と太鼓判を押していただき、長年連れ添ってきたCub IIにさよならを告げたのでした。引き取っていかれる時はやはりちょっぴり悲しくなりましたけどね、元気でどこかにもらわれて行けよ~。

 と言うわけで、エージング要りません(爆。とりあえずスピーカーに見惚れつつあれやこれや聴いています。困るのはあまりにも平行セッティングでの姿が美しすぎて動かす気にならない事です。まあ、今はこのまま楽しむ事にします。