ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

「夜会」@シアターBRAVA

Yakai3
 1989年の「夜会」初演から17年の歳月を経てようやく大阪で夜会が開催されました。地方初の公演劇場はシアターBRAVAです。もとのMBS劇場で、劇団四季の常小屋となっていましたが、劇団四季がハービスエントへ移った関係でしょうか、ようやく夜会を公演できる劇場が確保できたわけです。4月27日から開催されていましたが、昨日念願かなって鑑賞してきました。

Data:
Theater BRAVA 1st Anniversary Special
中島みゆき 夜会 Vol14 「24時着0時発」

Date: May 6th 2006, 8:00pm-10:30pm
Place: Thater BRAVA, Osaka

CAST
川辺アカリ・他     中島みゆき
川辺アカリのカゲ・他     香坂千晶
KENJI・他     コビヤマ洋一
川辺マコト・他     三宅重信
廷吏・他     鈴木英
廷吏・他     北出寛
廷吏・他     山本健二
目撃者・他     町山宏樹
目撃者・他     土居美佐子
パーティの客・他     加藤芽久美
パーティの客・他     山本祐子

VOICES
上村典子
岸野幸正
庄田京子

MUSICIANS
Conductor, Keyboards     小林信吾
A. Pf, Keyboards     エルトン永田
Keyboards     友成好宏
Guitars     古川望
Bass     富倉安生
Drums     宮崎まさひろ
Vocal     杉本和世
Vocal     宮下文一
Violin     藤田千穂
Violin     大多貴子
Cello     丹治美佐子

<第一幕>
01     サヨナラ・コンニチハ
02     線路の外の風景
03     分水嶺
04     フォーチュン・クッキー
05     パーティー・ライツ
06     闇夜のテーブル
07     情婦の証言
09     廃線のお知らせ
10     遺失物預り所
11     水を点して火を汲んで
12     ミラージュ・ホテル
<第二幕>
13     ミラージュ・ホテル
14     メビウスの帯はねじれる
15     DOORS TO DOORS
16     リゾート・ラッシュ
17     水の線路
18     我が祖国は風の彼方
19     帰れない者たちへ
20     月夜同舟
21     命のリレー
22     サーモン・ダンス
23     二隻の舟
24     無限・軌道
25     ミラージュ・ホテル(Instrumental)
<第三幕>
26     サーモン・ダンス
<第四幕>
27     命のリレー

 ご存知の方も多いと思いますが、「夜会」は普通のコンサートではなく、中島みゆきさん自身が構成・演出・作詞・作曲を手がけ、主演する一種のミュージカルです。「言葉の実験劇場」とか「シアトリカル・コンサート」とかいう表現も用いられています。
 今回は生死の境をさまよう女性が不思議なパラレル・ワールドへ迷い込んで見る不思議な世界をモチーフとしており、最後にはKENJI(おそらく宮沢賢治)の台詞の後でジョバンニの衣装のみゆきさんが銀河鉄道に乗るところで幕を下ろします。

 私にとってはやはり歌と演奏が一番気になるところです。夜会開始当初からのテーマ曲といえる「二隻の舟」をようやく生で聴けたことは感激でしたが、この日まで敢えて聴かないよう封印してきた新曲の数々にも感動しました。大作である18、26、27はさすがに身体と心が震える思いをしました。
 演奏はオペラのように舞台手前下のブースで行われていましたが、PAがクリアでとても綺麗な音が出ていました。ミュージシャンも気心の知れた常連の皆さんばかりですし、長く公演していることもあり、安心して聴いていられました。
 これらの歌の殆どは「転生」というアルバムに収録されており、アルバムを買うと直筆サインがついてくるということで、会場で買ってしまいました。
転生
転生

 公演内容で心に引っかかってきたのはやはり

「故郷には帰れない」

というセリフ。公演内容から見ると唐突な印象があるのですが、みゆきさんの初期の名曲「ホームにて」「異国」「ファイト!」をはじめとして、故郷に対する複雑な気持ちを紡いだ歌の数々を思わず思い浮かべてしまいました。夜会を見に来てくださる方々にはこのような故郷への思いは暗黙のうちに分かっていただける筈、という計算があるのでしょうか。

 そしてもう一つ、最後の最後に提示されるテーマ「命の連鎖」。普遍性を持った遥か未来を見据えた人類全体への賛歌なのか、もっと個人的な思いの発露なのか?みゆきファンへのプレゼント的謎かけ、それとも次回夜会へのヒント?でしょうか。

この一生だけでは 辿り着けないとしても
命のバトン掴んで 願いを引き継いでゆけ
(命のリレー)