ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

2015-06-28から1日間の記事一覧

行人 / 夏目漱石 (下) エピローグ; 個人的に思うことなど

「行人」のレビュー、最終回です。(前)(中)でこの痛切な物語の解説は終えました。それで満足か、と問われたなら、まだまだ語りたいことはある、と答えます。一郎≒漱石の「神経衰弱」と、「一郎と直」≒「漱石と鏡子」の関係について個人的な見解をこの終章…

行人 / 夏目漱石 (中) 終章「塵労」

「行人」のレビューは続いて、漱石が胃潰瘍で倒れたため中断され、五ヶ月後に再開された最終章「塵労」に入ります。この作品の白眉であり、そして最も難解な章です。 序盤は第三章の延長線上にあり、一郎の精神の変調に翻弄される周囲の人間模様が語られます…

行人 / 夏目漱石 (上) 前三章「友達」「兄」「帰ってから」

後期三部作の第二作「行人(こうじん)」です。いよいよ漱石大全読破プロジェクトも胸突き八丁に差し掛かりました。というのも本作が漱石の大小説群の中でも群を抜く傑作だと思っているからです。否、「傑作」と言ってしまえば「ああそうですか」で終ってしま…