ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ベートーヴェン交響曲第5番「運命」&第7番 / クライバー&VPO(SHM-SACD)

ベートーヴェン:交響曲第5番&第7番
 先日のユニバーサルミュージックSHM-SACDを2枚(ポリスとスティーリー・ダン)ご紹介しましたが、勢いで、というか4枚購入で一枚サービスにつられてというか(笑、クラシックのリファレンスにするべくカルロス・クライバーのベト5&7を購入いたしました。

指揮: カルロス・クライバー
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1974年3、4月(五番)、1975年11月、1976年1月(七番)、ウィーン、ムジークフェラインザール

独国Emil Berliner Studios制作 2003年DSDマスター

1. 交響曲 第5番 ハ短調 作品67≪運命≫ 第1楽章:Allegro con brio
2. 交響曲 第5番 ハ短調 作品67≪運命≫ 第2楽章:Andante con moto
3. 交響曲 第5番 ハ短調 作品67≪運命≫ 第3楽章:Allegro
4. 交響曲 第5番 ハ短調 作品67≪運命≫ 第4楽章:Allegro
5. 交響曲 第7番 イ長調 作品92 第1楽章:Poco sostenuto-Vivace
6. 交響曲 第7番 イ長調 作品92 第2楽章:Allegretto
7. 交響曲 第7番 イ長調 作品92 第3楽章:Presto-Assai meno presto
8. 交響曲 第7番 イ長調 作品92 第4楽章:Allegro con brio

 カルロス・クライバーウィーン・フィルのこのベト5&7の名演奏についてはもう私が述べるまでもありません。語るべきは音質ですね。と言いつつ中ジャケを見てみますと、今回は石田善之先生の解説があるではないか。。。コピペして終了。。。するわけにもいきませんね。素直に聴いてみましょう。なお、この演奏は過去にSACD化されたことがあり、おそらくそのDSDマスターを用いているものと思われます。

 まず第一印象として感じるのは音の柔らかさ、自然さです。ポリスの「シンクロニシティ」では目を見張る高音質、スティーリー・ダンの「彩」では高S/N比による立ち上がりのスムーズと透明感を強く感じました。しかし今回はそのような、いかにも~な高音質さよりもナチュラルさの方が印象に残りました。これがクラシック録音とポップス録音のマスターの違いなのでしょうか。

 まず出だし。言わずと知れた「運命」の「ジャジャジャジャーン」ですが、これ見よがしに圧倒してくるような轟音でなく、とても当たりが柔らかくて音の出がスムーズです。しかも重みがある。たとえて言うならBMWの8気筒的な重厚さのあるシルキー感です。

 もちろん「音質」を語るときに欠かせない定位、解像度、S/N比、低域の量感といった項目や臨場感にも不満はありません。対向配置のヴァイオリンの掛け合い、奥まったところから聞こえてくるホルン、芯のある打楽器のアタック音、聴いていて「凄い」と言うよりは「心地よい」という印象を強く受けます。ちなみに私の持っていないCDとの違いに関して石田善之氏の評を少し引用してみますと

DSD変換されたこのSA-CDは、演奏の素晴らしさに加え、臨場感にどっぷりと浸ることができる。レギュラーCDではムジークフェラインの豊かな響きが全体のフォーカスをやや甘くし、鮮明な印象にはつながりにくいが、SA-CD-SHM仕様では、この見事な、暖かささえ感じさせるホールトーンがのびやかな開放感、おおらかな広がりにつながる。』

そうです。ということでオリジナル初盤を恐ろしく高度なアナログシステムで聴けばもっと圧倒的な音が出るのかもしれませんが、とりあえず拙宅の中庸なシステムで聴くにはこのSHM-SACDが最高だと思います。

 ロック、ポップス、クラシックとくればあとはやっぱりアコースティック・ジャズですが、期待していたビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」が企画中止になってしまいました。残念です。