ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

 世間では最新作Harry Potter and the Half-Blood Prince (Harry Potter 6) (US)の話題でもちきりのようです。私の場合、3周くらい周回遅れで追いかけているのでまだこの作品は遥か彼方です(^_^;)。

 随分古い話になって恐縮ですが、去年の9月に前作「不死鳥の騎士団」を家内が購入したという記事を書きました。実はその時の写真に洋書の第二作目Harry Potter and the Chamber of Secrets (UK) (Paper) (2)も写っています。家内や子供が日本版、私がそのあとからゆっくりと洋書で追いかけてるというわけです。ああ、Takiさんのような英語力がほしい!というわけでそんな速く読めるはずも無く、おまけに暇なときや旅行中しか読まないもので、結局読了に半年位かかりました。でもせっかくここまできたんだからと、その勢いで三作目のHarry Potter and the Prisoner of Azkaban (UK) (Paper) (3)も購入して読んでいたのですが、こちらも先日やっと読了。こちらは結構スリリングで引き込まれ、(自分の感覚では)あっという間に読んでしまいました。その記念に映画の方も再度鑑賞することにしました。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 特別版
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 特別版

メガヒット・ファンタジーの第3作は、監督アルフォンソ・キュアロンに交代し、よりダークでミステリアスな物語と映像が前面に押し出された。ホグワーツ魔法魔術学校の3年目を迎えたハリーだが、彼の両親の死に関わっているという囚人シリウス・ブラックが、アズカバンの監獄を脱獄。ハリーに近づこうとしていると噂が立ち、ホグワーツの周囲を、アズカバンの看守である恐ろしい吸魂鬼が監視する。(AMAZON解説より)

 はじめはいかにも子供向けの話だったこのシリーズですが、段々とシリアスになってきて英国特有の陰翳を持つ大人の鑑賞にも耐え得る文学作品へと変わってきている、というのは世間一般の評価の受売りですが、この作品がターニングポイントになっているように思います。今回はYou-Know-Whoというこのファンタジー最大の悪役は登場せず、その代わりにシリウス・ブラックルーピン教授という非常に魅力的なキャラクターが登場します。

 シリウスは悪玉として登場しますがおそらく善玉なんじゃないか、という期待、ルーピン教授は善玉として登場しますが何か秘密を隠していてシリウスに味方してるんじゃないかという不安、それをうまくストーリー展開に織り込んでいます。両名の描写もとても緻密で、ファンタジーの域を超えて人間臭い(実は矛盾してる表現ですが)ので、公開当時この映画を見たときは少し面食らった覚えがあります。しかし原作を読んでからもう一度見てみると、原作者ローリングさんの人物造形はこの二人において飛躍的に進歩したと感じます。

 逆に言うと、この二人の絡む部分と前作までと同様のファンタジーの部分にやや乖離がある点が少し辛いところでしょうか。映像的にも賛否両論あったようですが、私は楽しめました。思い切ってホグワーツ学校周辺の描写を変更していますが、成功していると思います。バックビークという想像上の生物やナイトバスの造形とCGも見事でした。この監督はこのシリーズ初めてとの事ですが、なかなかのものです。

 ボリュームの増えた原作を無理やり142分に凝縮している為駆け足になっている、というところをAMAZONでも批評していましたが、原作を読んでいる人がこれは映像化してほしいだろうというポイントを絞って作りこんで行ったらこうなった、ということでしょう。確かに物足らない部分や説明不足の面もありますが、そういう意味ではこのシリーズは原作を知っていることを前提にして作られていると言えるでしょう。

 というわけでーー次作が映画化されるまでにやっぱりHarry Potter and the Goblet of Fire (UK) (Paper) (4)も読んどかねばなるまいか。