ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

超高速! 参勤交代 リターンズ

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 前作「超高速!参勤交代」が着想の面白さから思わぬスマッシュヒットとなったので、第二弾映画が製作されました。「超高速!参勤交代 リターンズ」です。「参勤」の次は「交代」というわけで、帰りの道中がますます過酷になるという常道パターンですが、やっぱり柳の下にドジョウは2匹はおらず、平凡な勧善懲悪娯楽時代劇になってしまってました。

『 2016年日本映画 配給:松竹

スタッフ
監督: 本木克英
原作: 土橋章宏
脚本: 土橋章宏

キャスト:
佐々木蔵之介深田恭子伊原剛志寺脇康文上地雄輔 他

幕府から突然の参勤交代を命じられた弱小貧乏藩の奮闘を描いた時代劇コメディ「超高速!参勤交代」の続編。参勤交代の帰り道 「交代」に出た湯長谷藩一行が、宿敵である老中・松平信祝の画策によってさらなるピンチに陥る姿を描く。知恵と工夫でなんとか江戸への参勤を果たした湯長谷藩の藩主・内藤政醇らは、故郷に帰るため江戸を出発する。ところがその道中、湯長谷で一揆が発生したとの情報が入る。政醇らに打ち負かされた老中・信祝が、復讐のため湯長谷藩を壊滅させようと画策しているのだ。一揆を収めるためには2日以内に湯長谷へ帰らなくてはならず、政醇らは行きの倍の速さで走ってどうにか故郷へ帰り着く。しかし、城は既に乗っ取られてしまっており……。主演の佐々木蔵之介ら前作のキャストに加え、古田新太渡辺裕之らが新たに参加。本木克英監督が引き続きメガホンをとる。
(映画.com より) 』

 前回は原作者の土橋章宏氏が「参勤交代」という制度に目をつけて綿密に交渉した上で、悪老中が貧乏藩に福島から江戸までたった5日間で参勤せよと難題をしかける、という斬新な設定が斬新でした。
 知恵を絞って策を練って必死で急ぐ様が笑を誘い、遊女(深田恭子)の情けにホロリとし、凄腕の助っ人(伊原剛志)が次第に彼らに肩入れしてしまう様がとても面白かったです。

 で、今回。あれだけ必死になってなんとかギリギリ間に合った道中を半分の2日間で帰るという設定が無茶すぎます。それが成功すればじゃあ前回の必死の道中はなんだったんだ、ってことになってしまうでしょう。
 まあ、お手並み拝見と見ていたら、何のことはない、走りに走り続けるだけ。関所も少なく、邪魔も少ない。だからあっという間についてしまう。おまけに着いたら城は既に乗っ取られている。これじゃ、道中を急いだ意味が全くない。

 その分、今回は江戸でも藩内でも殺陣が多いけれど、相手が弱すぎて話になりません。尾張柳生の連中がそんなに弱いはずないでしょう。なのに、こちらの面々は誰も死なない。前回は、少ない殺陣シーンの中での佐々木蔵之介の乾坤一擲の居合いが強い印象を残しましたが、今回はとにかく派手にやってるなというだけ。

 キャストは前回とほぼおんなじですから、感想は前回と同じです(w。

 まあ、随所に笑いを盛り込みながら予定調和的に勧善懲悪がなされるところは王道の娯楽時代劇であり、その意味では安心して楽しめる映画ではあります。とはいえ、インパクトの強さは前回に比べるとがっくりするくらい薄いのでした。

評価: C: 佳作
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)