ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

国立新美術館に「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」を観に行ってきた

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( ルノワール展公式Instagramよりキャプチャ)

 ルノワールの絵はもう代表作は大抵日本に来ていて観ましたし、以前映画「ルノワール陽だまりの裸婦」も観ました。ただ、あまりにも有名なあの一作を除いては。そう、大塚国際美術館記事にちらっと書いていた「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会(Dance at le Moulin de la Gallet)」です。これが国立新美術館に「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」で初めて日本に来ていることは知っていたのですが、なにしろ東京、無理とあきらめていました。しかしSNSなどでフレンドが観てきた記事を見ると

「うらやましくてうらやましくてうらやましくてうらやましくて(中島みゆき「元気ですか」)」

ついに家内と相談して、終了直前のこの土日に弾丸ツアーで行ってきました。

 土曜日の半ドンの仕事を終えて、お昼の飛行機で神戸から羽田へ。飛行機の嫌いな私には揺れ揺れの怖いフライトでした。

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 東京駅で東京在住の息子と待ち合わせて、イタリアンディナーを食べた後、国立新美術館の近くのホテルに到着しました。

 翌朝はコンビニでチケットを調達し、開館の一時間前に出発、着いたのは9時半前くらいでしたが、既に20人くらいの入場待ち。でも、これくらいならOK。おまけに「今日は大変混み合いますので、早めに開館します」との嬉しいアナウンスで9時40分くらいには入場できました!

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 私たち夫婦は一目散にムー・ド・ラへGO!ありました、一画を区切ってこの絵だけが陳列されていました。あまりにも見慣れた絵なので「そのままやん」というのが第一印象〈笑。ルノワールはそれほど絵具を塗り重ねてマチエールを出す方ではないので、実物も大塚美術館の絵とそれほど差異がないんですね。でも、やっぱり本物は本物、パリ・モンマルトルのダンスホールに集まったルノワールの友人やモデルたちをじっくりと隈なく見ていくと、本物を見ているという感慨がこみ上げてきました。

   キューバ人画家のカルデナス、そのお相手の女性で当時ルノワールのお気に入りのモデルであったマルゴ、中央下側のベンチに座っている女性エステル、そのエステルの背後にいるエステルの姉のジャンヌ、右側のテーブルに座っている画家のフラン・ラミ、その向かい側でタバコを口にくわえている画家のグヌート、その右隣でメモを取っている批評家のリヴィエールなどなど、10分くらい見入っていました。

 十分堪能したので、ほかの作品に回ります。見慣れた作品が多かったですが、「都会のダンス」と「田舎のダンス」がともに来るのは初めてだとか。都会と田舎の人物描写、特に体型のくっきりとした違いにルノワールの観察眼が良く表れていました。

 またココジュリー・マネなど、子供の絵は相変わらずかわいらしい、ルノワールならではの色彩とタッチの柔らかさが良く出ています。

 また、「浴女たち」も初来日だったそうですが、映画のハイライトシーンの一つだったので、観た気になっていました(笑。
 映画で、重度リウマチ性関節炎で体の自由が利かないため、移動は椅子に座ったまま使用人の女性四人に運んでもらい、手の節々は瘤のように膨れ上がり、ガーぜで手と絵筆を縛り付けないとキャンパスに絵を描くこともできない時期の作品であることを知っていましたので、このおおらかで優しい絵の裏にあるものを思わずにはいられませんでした。
 出口にはルノワールの言葉

「You don't look at painting. You live with it.」

が記されており感慨深いものがありました。

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 あまりにも早く終わってしまったので、家内が以前より行きたがっていた、百段階段という文化財となっている階段のある目黒雅叙園へ向かいました。丁度「和のあかりx百段階段2016 ~日本の色彩、日本の祭り~ 」という催しが開催中で楽しめました。

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 入るといきなり山口県柳井市の「柳井金魚ちょうちんまつり」が迎えてくれます。そして伝統ある数々の壁画天井画で埋め尽くされた百段階段とそれに接する部屋での美しい展示を楽しむことができました。

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弾丸ツアーで夕刻には東京を離れましたが、羽田を飛び立つ時、富士山がくっきり見えるという初体験もありました。しんどかったですが、楽しく充実した二日間でした。

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