ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

大塚国際美術館へゲルニカを観にいってきた

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(1F 現代スペース、大塚国際美術館は撮影可、ただし絵そのものしか写っていないものは不可、ストロボ、フラッシュも不可)

 今日は天気もよく、鳴門にある大塚国際美術館まで出かけてきました。原田マハの「暗幕のゲルニカ」を読んで無性にピカソゲルニカが見たくなったのです。
 もちろんゲルニカの本物は現在スペインのレイナ・ソフィア芸術センターにあります。が、今日本で原寸大で見られるところが二箇所あり、そのうちの一つがこの大塚国際美術館の原寸大陶板画、もう一つは群馬県立近代美術館タペストリーです。というわけで自宅から一っ走りでいけるのは大塚しかありません。

 という以上に、実は私、このゲルニカのある1Fが大好きなんです。上記写真のスペースはピカソの「ゲルニカ」とポロックの「秋の夢No.30」「深み」に囲まれ、反対側は広大な庭に面し、天気の好い日には瀬戸内の柔らかな日光が降り注ぐとても気持ちの好いスペースです。ソファや椅子もあります。
 そして何よりいいのは、開館してすぐにここへ来ると大体1~2時間くらいはこのスペースを独り占めできるんです。と云うのも、入場した方は大抵B3Fから順番に膨大な数の展示をご覧になりつつ上がらねばならず、ここへたどり着くまで凄く時間がかかるからなんですね。

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リキテンスタインステッピング・アウト

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(ロスコ 白と赤)

 ということで今日も開館前に到着、開館と同時に速攻で1Fへ、そしてウォーホルリキテンスタインロスコなどのお気に入りの絵を眺めつつ、ゲルニカへ。やはり人っ子一人いません。ラッキー!

 ソファに荷物を置いて座り、しばしゲルニカと対面。今日はマハさんの小説を読んでいたので、隅から隅までじっくりと拝見しました。これだけの巨大な作品になるとさすがに陶板1枚では無理でかなりの枚数を要してはいるものの、素晴らしい復元画です。もし原作が劣化して見られなくなってもこの陶板画があるぞ、と世界に誇れる作品だと思います。

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ピカソゲルニカ

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ポロック、秋の夢No.30)

 このポロックの「秋の夢No.30」もいいんですよね~。そして屋外に出てしばし日光浴。鳴門大橋が遠望できます。

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大塚国際美術館1Fパノラマ)

 十分堪能したあとは、いくつか事前に見たい作品をピックアップしてあったので順番に観ていきました。

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(リヴィエール、エデンの園

 リヴィエールの「エデンの園」はそれほど有名な作品ではないのでご存じない方も多いと思います。私も初めてここを訪れるまで知りませんでした。そして一目惚れしました。

 この女性の笑顔がとてもいいんですね。許されない恋をした二人がエデンの園を追われ、歳月を経て長年の夢が叶い、結ばれて戻ってきた、そんな意味がこめられた題名のようです。その喜びが実に素直な本当に素晴らしい笑顔になっている気がします。わざと男性の表情を隠しているのもいい。お気に入りの一枚で某SNSでアイコンとして使っています。

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クリムト、黄金のアデーレ、正式名「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」)

 以前レビューした映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」の主役となった名画、クリムトの通称「黄金のアデーレ」です。この作品もまた、ゲルニカと同じくナチスドイツの横暴と圧政に翻弄された作品です。クリムトは金箔を惜しげもなく使って華麗に仕上げましたが、さすがに陶板画ではそれはできません。しかしその色と雰囲気を見事に再現しています。

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クリムト、接吻)

 その横にある同じくクリムトの代表作「接吻」です。

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(ミレイ、オフィーリア)

 昨年漱石大全読破プロジェクトでレビューした「草枕」に出てきた、漱石大絶賛のミレイの代表作「オフィーリア」です。

 今大塚国際美術館では「名画の花園」という企画を催しており、入水死したシェークスピアの「ハムレット」のヒロイン、オフィーリアの周囲を彩る様々の花々の解説がありました。ちなみにイラクサ、柳、スミレ、ヒナギク、ポピー、勿忘草、金鳳花、水仙ミソハギ、五月の薔薇、花輪、枯れた下野草全てに意味があるそうです。

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ゴッホ 6輪のヒマワリ)

 今回の特別展示の目玉作品。ゴッホがパリ時代に描いたヒマワリのうちの一枚で、かつて日本にあったのですが、残念なことに第二次世界大戦の空襲で灰燼に帰してしまいました。この幻の作品が今回、東京の武者小路実篤記念館の全面的な協力の下、原寸大で蘇ったそうです。

 ちなみに私の「あまり好きではない漫画」名探偵コナンの映画「業火の向日葵」のポスターがあったので、この絵を題材にしているのかもしれません。

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ルノワールムーラン・ド・ラ・ギャレット

 絵に関心のある人なら知らぬものは無いであろう、ルノワールのムー・ド・ラです。実は今、実物が東京に来ているんです。東京は無理とあきらめていたんですが、やっぱり観たくて、家内と来週一泊二日の強行軍で行こうと画策しています。今日はその予行演習、大体のサイズを把握してきました。

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(ワッツ、希望)

 クラシックファン、オーディオファイルにはお馴染み、ミシェル・コルボ指揮の「フォーレレクイエム」のジャケット写真で有名な「希望」です。

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ゴーギャン われわれは何処から来たのか?
われわれは何者であるのか?
われわれは何処へ行かんとしているのか?)

 ゴーギャンの長い長い題名の作品。 死を前にして全精力を振り絞って描いたという傑作です。

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 他にも色々と撮ったのですが、とりあえずこれくらいで最後はお約束のシスティナ礼拝堂の壁画と天井画。もちろん作者はミケランジェロ、畢生の大作であることが実際にここを訪れるとよく分かります。ブログ仲間のtakiさんは先日実物を観てこられたそうで、羨ましい限りです。

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(モネの睡蓮の池、絵ではなく本物の池です)

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(池の中央にあるモネの大睡蓮の壁画のパノラマ写真)

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(Cafe de Giverny モネのパンケーキ)

 最後はB2Fのカフェ・ド・ジヴェルニーで、睡蓮の池を眺めつつモネのパンケーキを頂きました。凄いボリュームであんこと生クリームは食べきれず。売店でお買い物して、道がすいてる間に帰宅、すぐにプールへ行って摂取カロリーを消費してきました。

 昨日までどう過そうかと迷っていた日曜日でしたが、意外に充実した一日となってよかったです。ありがとう、マハさん。レビュー書かなくっちゃ(大汗。