ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

原田マハ「リーチ先生」終了

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 神戸新聞に1年以上連載されていた原田マハさんの「リーチ先生」が昨日11月10日に第459回をもって終了しました。当初は半年くらいかなと思っていたのに思わぬ長編大作となり、毎朝楽しませていただきました。原田マハさんご苦労様でした。

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 物語はバーナード・リーチが大分の片田舎の焼き物の里小鹿田(おんだ)を訪れるところから始まりました。父の遺言で陶芸の修行に来ていた森高市(コーちゃん)が世話役をおおせつかり、畏れ多い人の世話を懸命にこなしているうちに、ある日リーチ先生から

「コーちゃん、君はひょっとしたら亀ちゃんの息子じゃないのかい?」

と尋ねられます。

 そこから話は急転、父森亀之助高村光雲の勧めで高村家の書生となり、そこで来日したバーナード・リーチと出会い通訳兼世話役となります。その後富本憲吉柳宗悦濱田庄司たちとの交流を通じてリーチの片腕として陶芸にのめりこみ、果てはイギリスまで同行して彼の地に陶芸を根付かせるまでの長い長い道程が丁寧に描かれました。亀ちゃんは彼の地でシンシアという娘と恋に落ちますが、濱田とともに断腸の思いで最後は日本に帰ります。

 コーちゃんは、エピローグで成功した陶芸家として再登場しますが、父の亀之助のその後の人生はどうだったのか?

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 「名もなき花」は立派な花を咲かせたのだ、と原田マハさんは結んでおられました。現実のモデルは、リーチが来日した折に通訳をした森田亀之助であろうと思われます。この方は高名な美術史学者で地位の高い人物であり、亀ちゃんとは全く異なる人物ですが、そこにヒントを得た原田マハさんが、森亀之助という人物を創作したその設定はとてもよかったと思います。

 小説として出版されれば是非ご一読ください。