ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ギャラクシー街道

Galaxykaidou

 三谷幸喜の新作「ギャラクシー街道」を観てきました。長編映画では7作目で、前回の「清須会議」からは2年ぶりとなります。時代劇から一転して宇宙に舞台を移しての初のSFコメディとなります。さて、その出来やいかに?

 いやあ、つまんなかったですねえ(^_^;)。年末のTV特番ドラマとしてならお茶の間で楽しく見られたかもしれないですが、映画館でお金払ってみるレベルじゃない。ネットで悪評は耳にしていたものの、三谷幸喜というネームブランドを信じてたんですがついに三谷ブランドももずっこけちゃいました。

『 2015年 日本映画 配給:東宝

スタッフ
監督・脚本: 三谷幸喜
製作: 石原隆、市川南
キャスト
香取慎吾綾瀬はるか小栗旬、優香、西川貴教、他

 三谷幸喜長編映画監督7作目で、三谷映画としては初めて宇宙が舞台に設定され、全員が宇宙人の登場人物たちによって織りなされるスペースロマンティックコメディ。香取慎吾が主演し、綾瀬はるかがヒロインを務めるほか、優香、遠藤憲一小栗旬大竹しのぶ西田敏行ら豪華キャストが集う。西暦2265年、木星土星の間に浮かぶスペースコロニーの「うず潮」と地球を結ぶ、スペース幹線道路「ギャラクシー街道」は、老朽化が進んで廃止の噂もささやかれていた。そんな街道の中央にひっそりとたたずむハンバーガーショップ「サンドサンドバーガー・コスモ店」には、スペース警備隊やスペースヒーロー、スペース客引き、スペース娼婦など、今日も様々な宇宙人たちが集う。 (映画.comより) 』

 おそらく三谷流の古き良きアメリカの小説・映画・アニメを含めたオールド(二流)SF(+ウルトラセブン・ネタ)へのオマージュなんでしょう。でもそんなコネタだけを映画に詰め込んだだけでは、いくらなんでも一本の映画として成立しないのは素人にでも分かること。

 それをやっちゃんたんですよねえ。ホント、コネタだけで終っちゃうんですよね、なんじゃこりゃ、って感じです。

 高速宇宙船航路の発達によって寂れた旧宇宙街道、という設定はPIXARの「カーズ」的で面白い着眼点だったと思います。そのテーマで一本筋の通ったストーリーを構築した上で、色々とお遊びのコネタを仕込めばそこそこの映画になっていたと思うんですが、はやらないハンバーガーショップ内での群像劇だけではしまらない。それも先ほど述べたようにオマージュ的パロディですから、すぐに先が読めてしまう。くすっと笑えることは笑えるけど、それだけ。

 役者にしてもまじめにおふざけを演じる脇役ばかりが目立ってしまいます。詳しいネタバレは避けますが両性具有のエンケンさん、脱皮する善さん、ずっこけヒーローの小栗旬あたり。

 三谷幸喜はもちろんこれまでも脇役の扱いも絶妙で、その辺は手馴れたものではあるのですが、長編映画の場合彼は主役にまじめにコメディを演じさせることにより新たな魅力を引き出し、それによって映画として優れた作品を作りあげてきました。

清須会議」の大泉洋
ステキな金縛り」の西田敏行
ザ・マジックアワー」の佐藤浩市
THE 有頂天ホテル」の役所広司

 彼らに比べると今回の香取慎吾は存在感が薄い薄い。同じSMAPでも稲垣吾郎は「笑の大学」の主役を演じきりました。脚本が悪いといえばそれまでですが、もうちょっと何とかならなかったもんですかね。

 というわけで評価は三谷さんには悪いですけど、今年初めてのトホホを差し上げます。

評価: E: トホホ
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)