ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ピース オブ ケイク

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 実は最近、夫婦そろって多部未華子ちゃんを応援しております。というわけで公開中の「ピース オブ ケイク」を観てきました。公開して間もないのに、シネコンの一番小さいシアターで午後7時過ぎから一回上映のみ、という事実が興行成績を暗示している気がしますが、その通りちょっとイタイ、家内曰く「チューチューしてばっかしで終わり」の映画でした。

『 2015年 日本映画 配給:ショウゲイト PG12

スタッフ
監督: 田口トモロヲ
原作: ジョージ朝倉
脚本: 向井康介

キャスト:
多部未華子綾野剛松坂桃李木村文乃光宗薫菅田将暉 他

俳優の田口トモロヲが「色即ぜねれいしょん」以来6年ぶりに送り出す監督第3作。ジョージ朝倉の同名コミックを多部未華子綾野剛の共演で映画化し、現代女性の恋や悩みを描き出した。仕事も恋愛も、周囲に流されるまま生きてきた女性・梅宮志乃。バイト仲間との浮気がばれたことで、DV体質の恋人・正樹からは振られ、バイトも辞めることに。このままではいけないと心機一転した志乃は家を引越し、そこで出会った隣人で、新しいバイト先の店長でもある男・京志郎に本気の恋をする。しかし、京志郎には同棲中の恋人がいて……。
(映画.comより) 』

 主人公にどれだけ感情移入できるか、映画の世界にどれだけ入り込めるか、でその作品の(少なくとも個人的な)評価は決まると思うのですが、底の浅さがミエミエで辛かったです。原作は知りませんが、主人公多部未華子の独白から見えてくる人物像がいい加減だし、恋をする相手綾野剛もそれほどの男とも思えない。

 むしろ、AKB48出身の光宗薫が結構うまく演じていたこともあって、無愛想でメンヘラーで出会い系のメール返しのバイトをしながら自らの経験をもとに小説家として成り上がっていく綾野剛の元彼女の方がむしろキャラが立っていました。

 あとはおかまキャラの松阪桃李を中心に各所に笑いどころがあったのが救いでしょうか。松坂君、前衛演劇も熱演してましたが、あれは監督の田口トモロヲがアングラ演劇出身ですから監督なりの入れ込みもあるんでしょうね。でもやっぱり一般受けはしないですよね。

 多部未華子の演技はまずまず無難なもの。熱海の温泉で怒りを爆発させるシーンで「ドS刑事」以来久しぶりに「バッカじゃないの!」を聞けたのは嬉しかったですけどね。結構大胆なラブシーンも演じていましたが、あの程度の露出度では話題になるには辛いかな。それを考えると、同じ綾野剛が「そこのみにて光輝く」で池脇千鶴と演じたラブシーンは凄みがあったんだなあと思いますね。もちろんプロダクションの意向があるのだと思いますが、監督と役者の覚悟の違いがこの辺に出るんでしょう。未華子ちゃんもこれから女優として生きていくのなら、ラブシーンに限らず、今回の演技で満足せずにそれ以上の覚悟を見せないといけないでしょうね。

 ということで、多部未華子綾野剛松坂桃李木村文乃光宗薫菅田将暉とそれなりに固定ファンのいる役者を使っているのに、ややもったいない感じが否めない作品でした。しかし、この映画がDで「そこのみにて光輝く」もDか。評価って難しいですなあ。

評価: D: イマイチ
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)