Dolon邸オフからオーディオ熱が再燃し始め、近々またまた機器入れ替えを予定しております。それに合わせてインシュレーターボードの配置換えをずっと考えていたのですが、かねてからマイミクの京都人(旧moukutsu)さんが勧めておられたフローティングボード、ジークレフ音響株式会社(音検)のウェルフロートボードを導入することにしました。以前から逸品館が扱っておられることは知っていたので、通販で購入しました。下記二台です。
Wellfloat BW001 Type10 ( 写真下、500x400x60mm )
Airbow WFB-A4 ( 写真上、A4大))
ウェルフロートボードの原理はジークレフ音響さんのHPに詳しく記載されていますが、物理の苦手だった私には少々難しすぎます。とりあえず理想的なフローティング構造を開発され特許も取得されています。その特徴を逸品館さんのHPより引用しますと、
「 今までのフローティングボードは、音の芯がなくなってしまったり、空気で浮かすタイプのボードでは、フローティングに使うゴム袋のゴムっぽい感じがしたり、 どれもこれもフローティングとは名ばかりで効果に疑問を感じたり、ボード固有の音が残っている製品ばかりでした。この製品はジークレフ音響が開発した 「ウェルフロートシステム」を組み込んだ画期的なフローティングボードで、今までの製品とはまったく次元の異なる「無音」を実現しています。 」
というわけで、逸品館ブランドで上板を木製から合成樹脂に変更した廉価版でA4サイズと小さいWFB-4はデジタルクリーン電源Fairy用に購入しました。以前からスピーカーに近い床に直置きだったので気になっていました。馴染んでた時点でも透明感が若干増したかなという印象がありました。その後時間が経って馴染んできたと思いますので下記のインプレにこちらもある程度寄与しているものと思います。
なおスイッチを触ると結構揺れますが横揺れだけなので安定性に問題はありません。
さて本命はType-10です。予定ではSACD/CDPのAccuohase DP-700の下に入れるつもりでしたが、同じ回転系機器のターンテーブルRoksan Xerxes20の下で先ずは試してみました。
それまでは足の部分にBlack Diamond Racing(BDR)のThe Pits Mk3を用いていましたが、変更後すぐの印象として「化粧を落としてすっぴん美人になった」ような変化を感じ取れました。BDRの特徴は後で触れますが、その音付けの特色が取れてLP本来が持つ音をそのままスムーズに出してくれるようになった感じです。
その後3日間ほど聴き続けましたが、徐々に音の彫りが深くなり、低音も沈み込むようになりました。これは化けそうだという予感は十分にあったのですが、日数の都合で本来の目的であるCDPの下に移動しました。
CDPの下にはBDRのボードThe Shelf 1915を敷いていましたがこれをどけてType10を置きました。京都人さんからは
1: なるべく筐体と同じ程度の大きさが良い
2: なるべく足を外して直置が良い
3: 一週間は馴染ませないと本来の性能は出てこない
というアドバイスを頂いていました。一週間かかるのは京都人さんによりますと、「板が乾燥して硬度が上がってくるのと振り子の支点部分の当たりがなじんでくるから」だそうです。
第一点はクリア。殆ど同サイズです。第二点はアキュの場合あまり機器そのものをいじりたくないという思いがあり、TAOC製の足はそのままにしてType-10の足の下に置きました。
一聴してXerxes20の時とと同じく、素直な音になったなと思いましたが、とにかく一週間色々な音楽をかけ続けました。その結果として非常に満足できる音となりました。その特徴は元のBDRと比較してみるのが具体的で分かりやすいと思いますので、まずBDRのボードの特徴を3つ挙げてみます。
1: S/N比が高い
2: 音の響きが美しく乗る
3: 低音領域が柔らかく増強される
1のS/N比に関してはもちろんフローティング・ボードなので申し分ありません。ただ、手前味噌ですが私もこれまでこの点に関しては腐心して努力してきましたので驚くほどの変化はありませんでした。ただ、どんなソースにおいても安心感、安定感は抜群です。
それよりも感じたのは、各楽器の彫りが深くなったことです。音周囲の雑味が取れたということなのでしょうか。菅野先生や和田先生が使われていた「彫琢」に優れるとはこのことかなと思いました。そして今までだと聞き流していたような目立たない楽器の音がくっきりするため、あらゆる楽器に注意が向くようになりました。例えばヒラリー・ハーンのシベリウスのヴァイコンでは、Dolonさんのお宅で聞かせていただいたオーケストラの空間分解能と力感の両立にかなり近づいたかな?、と感じました。
2に関しては、もちろんBDR特有の美音系の音ではなくなりましたが、意外に響きの余韻が失われていないのには驚きました。例えば気になっていたイングリッド・フリッターやトーマス・エンコのピアノのサステインの余韻などはBDRと同じくらいに残りますが、大音量にしても重なりによる濁りがなくなったと感じます。ただ、響かないでいい楽器の音は響かず、音の芯はしっかりとしている。
言ってみれば「きっちりと響きを調整してくれる」ボードだと思います。
3の低音に関しては、BDRのような膨らみはやはりなくなりました。素直にソースの持っているFレンジを表現する感じです。ただ、過去のフローティングボードにあったような低音の軽さという欠点を見事に克服しています。リファレンスのジェニファー・ウォーンズの「The Hunter」などちゃんと低音の深いところまで入ったソースなどではそれをちゃんと出してくれます。
というわけで、激変というわけではありませんがソースの持つ情報を固有の色づけなしに高いS/N比と「彫琢」をもって表現してくれるボードで、DP-700の下はこれで決まりです。
ただ、このウェルフロートボードは本来はスピーカー用のボードとして開発されているのでディナウディオ・サファイアの下に用いたいと思っていました。しかし細身で重心の高いSPですのでフローティングボードでは転倒が心配で今までためらっていました。しかし京都人さんのご意見では、地震にも他のボードより免震効果があったくらいで心配ないとのことなので、時期を見てお力を借りて試してみるつもりです。
以上新フローティングボードのインプレでした。さて、次に導入する機器は何かな?乞ご期待!