ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

堀文子 【 一所不在・旅 】展 @ 兵庫県立美術館

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 今日はHAT神戸へ出かけたので、兵庫県立美術館に足を伸ばしてきました。堀文子展が開催されており、大変興味深く鑑賞しました。いやあ、普段クレーだのモンドリアンだの嘯いていて足元の日本にこれだけの画力のある、また変幻自在の画風を持った素晴らしい女流画家がおられるとは不勉強にして知りませんでした。

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 120点以上ある作品群のどれもに目を奪われ、絵葉書を選ぼうにも全て欲しくなったので、図録も買ってしまいました。

 御年96歳にしてなお創作意欲の衰えない堀さんの説明をするのはとても難しいので、HPより引用させていただきます。

『 女性も自立すべきだという母親の影響で自由を求めた堀文子は、父親の反対を押し切り、1936(昭和11)年、女子美術専門学校(現/女子美術大学日本画部に入学。在学中の1939(昭和14)年、新美術人協会展に《原始祭》を出品、初入選を果たし、同会に入ります。(中略)

 作家の画業において、変わらないのは自然へのまなざしです。ごく初期の作品から、自然への畏敬、生命の不思議への感動が、従来の日本画にはない独自の表現方法で描きこまれています。自然の形象を抽象的に構成して描いた作品や、初めて西洋を旅して最後に訪れたメキシコをテーマに新しい技法を駆使したシリーズなど、堀は次々と新しい挑戦をつづけました。1967(昭和42)年、都会を離れて生きることを決意して神奈川県大磯に転居すると、画風は一変し、日本の四季や風景を澄んだ色調で描きます。(中略)2001(平成13)年に病に倒れた堀文子は奇跡的に回復し、その後微生物や身近な昆虫といった新しい画題、切り絵や貼り絵など新しい技法を試み、未知なる感動へと前進を続けています。

 本展は、堀自身の言葉「一所不住・旅」をテーマとし、飽くなき好奇心と探求心で歩んできた足跡に沿いながら、画家の80年に及ぶ画業を回顧します。初期の作品から最新作までおよそ130点を展示し、堀文子の芸術そして、人間像に迫ります。 (HPより) 』 

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左上: メキシコの民芸品より(1911)
右上: しゃも(1952)
左中段: ケツァール(古代マヤの守護神)(2009)
中央中段:幻の花 ブルーポピー(2001)
右中段: 月と猫(1950年代)
左下: 楽しい仲間(1956)
右下: ユートピア(2001)

 「一所不在・旅」と言うサブテーマのとおり、東京、メキシコ、大磯、軽井沢、イタリアと移住し続けて描かれた絵画は、ある時はゴーギャン風だったりクレー風だったりルソー風だったり、ジョージア・オキーフを思わせたり、様々に変遷していき、そして日本画の伝統に回帰したり。絵本も書いておられますが、画風が本ごとに異なるのも興味深かったです。

 そしてそのどれもがいつも見慣れた油彩でなく、紙本彩色水彩パステコラージュ等であることも新鮮でした。その端整な筆致と鮮やかな色使い、金箔の使用など、日本画家ならではの細やかな技術と心遣いを感じました。そしてその質感の美しさは格別のものがありました。
 

 関西の方には絶対お勧めです。是非どうぞ。