ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

東京美術展探訪(1) ワシントン・ナショナル・ギャラリー展@三菱一号館美術館

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(美術館2Fより中庭を望む)

 先日の東京旅行の主目的はDolonさんとの再会とオフ会でしたが、もう一つの目的は東京美術館巡りでした。最終日は半日かけて国立新美術館ルーブルマグリットの二つの展覧会を見る予定にしていましたが、土曜日の朝、Dolonさん宅へ伺う前に何処へ行こうかと家内のアプリで探して、三菱一号館美術館で催されていた「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」を見学することとしました。

 東京駅から程近い位置にありながら、閑静で中庭が美しく、建物もシックでさすが三菱財閥、という感じです。

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『 ワシントン・ナショナル・ギャラリー(NGA)は、アメリカ唯一の西洋美術を集めた国立美術館です。収蔵品のほとんどは民間からの寄贈によるもので、驚くべき量と質を誇ります。本展では、そのNGAの中で最も人気があるフランス印象派とポスト印象派のコレクションを展示します。NGAの大規模な改修を機に、まとまって館を離れるのが極めて稀な作品群が、日本初38点を含む全68点揃います。ルノワール、マネ、モネ、ドガセザンヌゴッホなど、アメリカ合衆国が誇る珠玉の印象派コレクションをご堪能ください。

 このコレクションは、NGAの創設者で実業家として成功したアンドリュー・W・メロンの娘エイルサ・メロンを中心に形成されたコレクションです。エイルサは、父の遺志を引き継ぎ、新規作品取得のための基金を設立するなど、NGAの発展に生涯貢献しました。加えて、フランス印象派とポスト印象派のコレクションをNGAに寄贈し、アメリカにおける近代美術振興に大きな功績を残した重要人物です。彼女のコレクションは自宅を飾るために、繊細で洗練された感性によって収集されたもので、極めて上質で上品な印象派作品群です。(美術館HPより) 』

 というわけで、この展覧会はNGAの創設者アンドリュー・W・メロンの娘エイルサ・メロンの蒐集絵画を中心に形成されたコレクションで、彼女の好みの小品が多かったので派手さはありませんが、良質なコレクションでした。

 

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左上: ピエール=オーギュスト・ルノワール「花摘み」1875
左中: フィンセント(目録のまま)・ファン・ゴッホ「オランダの花壇」1883頃
左下: エドゥワール・ヴュイワール「黄色いカーテン」1893頃
右上: ピエール・ボナール「花束」1926頃
右下: ベルト・モリゾ「窓辺にいる画家の姉」1869

 印象派でも比較的珍しいブーダンルドンの作品が沢山あって興味をひきました。妹ベルト・モリゾが、画家の道をあきらめて結婚した姉を描いた「窓辺にいる画家の姉」の姉の表情も印象的でした。それ以外の印象派ではシスレースーラかなやっぱり。もちろん有名どころも一通り来てます。

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( 縮尺を揃えて展示絵画を並べた特製クリアファイル、右下隅がボナールの「画家の庭の階段」、小さくて殆んど見えませんが2段目の右から3番目がロートレックの「カルメン・ゴーダン」です。)

 それよりナビ派ボナールヴュイヤールのコレクションがまとまった数来ていて見応えがありました。ナビ派はまあ率直に言って地味で、来ても2,3点しか飾っていないことが多いのであまり興味がなかったのですが、今回のこの二人の作品は楽しめました。特にボナールの「花束」と「画家の庭の階段」の色彩の豊かさには目を奪われました。 

 ポスト印象派ではゴッホの「オランダの花壇」と並んで印象的だったのがロートレックの「カルメン・ゴーダン」という女性の肖像画。これは惚れこんでいるな、という雰囲気がびしびし伝わってくる作品でポストカードが欲しかったのですがなくて残念でした。

 それともう一つ、三菱の収蔵品展示。オディロン・ルドンの巨大なパステル画「グラン・ブーケ」の美しさと大きさに呆然。もともとはどこかの大広間の壁画を依頼されたルドンが制作されたうちの一枚らしいのですが、パステル画でもこれだけ大きいと圧倒されます。

 というわけで適度に時間を潰せていい展覧会でした。残念なことに5月24日が最終日でしたが、また面白い企画があれば行ってみたいと思います。