春の長雨が続いていましたが、今日は久しぶりの好天だったのでバイトのあと、明石市立文化博物館まで足を伸ばして「高橋由一から藤島武二まで 日本近代洋画への道 -山岡コレクションを中心にー 」展を観てきました。
本展では、実業家の山岡孫吉氏(ヤンマーディーゼル創業者)によって蒐集されたコレクションを中心に、洋画の草創期に活躍した画家たちの作品約130点が紹介されており、なかなか充実した内容でした。
円山応挙や司馬江漢の洋画習作あたりから始まり、明治近代洋画を確立した最大の貢献者である高橋由一、幕末に記者として来日し所謂「ポンチ絵」の雑誌を刊行する一方洋画家育成にも力を注いだワーグマン、その弟子五姓田(ごせだ)義松、そして浪漫派の黒田清輝、青木繁と言った有名どころまで様々な展示それぞれに明治時代の洋画への模索、発展、確立や、日露戦争の影響などなどが見て取れました。
左上: 鮭図: 高橋由一
左下: 鯛図: 高橋由一
中央下: 品川海晏寺紅葉図: 高橋由一
上段中央左: 人形の着物: 五姓田義松
上段中央右: 百合図: チャールズ・ワーグマン
上段右: かぐや姫: 満谷国四郎
下段右: 二人の少女: 青木繁
最初の頃は絹に墨とか紙に泥絵の具とかから始まり、段々と水彩、油彩/画布と本格化していく様がよく理解できる展示でした。ちなみに、この展覧会の目玉である高橋由一の「鮭図」はバックが木目ですが、実は描いたものでなく、本物の木の上に描かれています。
画風も初期はまだ浮世絵や狩野派の影響がありますが、段々と西洋画の模写(例えばターナーなど)、デッサンの手技の確立(人体画などが多く展示されています)、本格的な油絵(写真の『人形の着物』など)、そして画家独自の画風(写真の『かぐや姫』『二人の少女』など)の出現と、発展と変遷を見ることができ、明治の開拓者たちの苦労のあとが偲ばれました。
女性も二人、山下りん、ラグーザ玉の絵があり、前者の宗教画、後者の保津川の渓流の描写などに女性独特の感性や柔らかさを感じました。
5月17日まで催されています。特に平日は空いていますのでご都合が合えば是非どうぞ。