ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

GODZILLA

Godzilla
 公開された「GODZILLA」を早速観てきました。先日「ゴジラの精神史」を紹介しましたが、初代「ゴジラ」の精神は、ハリウッド2回目の挑戦に引き継がれていたのでしょうか?

  う~ん、アメリカ人なりの「ゴジラ」への敬意は感じられました。ただ、それが日本人にとって受け入れられるものかどうか、観る人の思い入れの程度や年代によっても違ってくると思います。

 個人的にはゴジラの造形は良かったと思います。ローランド・エメリッヒが何を勘違いしたのか、小型恐竜的つま先走行にしてしまい大失敗した1998「Godzilla(通称トカゲゴジラ)」と違い、どっしりと人間型二足歩行をしていました。背中の突起もなかなか良かったと思います。

 一方でストーリーは突っ込みどころ満載でした。とにもかくにもゴジラが最初の咆哮を放つまで一時間程度もかかってしまうのはいかがなものか(苦笑。

『 2014年米国映画、原題:Godzilla、配給:東宝

監督ギャレス・エドワーズ

キャスト: アーロン・テイラー=ジョンソン渡辺謙エリザベス・オルセンジュリエット・ビノシュサリー・ホーキンス

1954年に東宝が製作・公開した日本の特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」を、ハリウッドで新たにリメイク。監督はデビュー作「モンスターズ 地球外生命体」で注目されたイギリス出身の新鋭ギャレス・エドワーズが務め、「キック・アス」のアーロン・テイラー=ジョンソンが主演。日本を代表する国際的俳優の渡辺謙が、オリジナル版の精神を受け継ぐ科学者役で出演するほか、エリザベス・オルセンジュリエット・ビノシュサリー・ホーキンス、デビッド・ストラザーンらが実力派キャストが集った。

(映画.comより) 』

 以下、ネタバレになりますのでご了承ください。

 とにもかくにも初代「ゴジラ」へのオマージュと聞いてたので、当然ゴジラ対人間の戦いを描くのかと思ってました。冒頭で日本の原発メルトダウンを起こすのも生傷に塩を塗りこむようで辛いものがありますが、まあ事実ですから我慢しましょう。(ちなみにゴジラが出現するハワイ津波が起こるのも、まあ少しは遠慮してくれたんでしょう。)

 しかし、15年後この施設から放射能を吸い尽くして現れるのが、ゴジラでなくてエイリアンみたいな化け物であるのはいかがなものか。まあ、ゴジラと対決する相手が出現したということはわかりました。で、この怪獣、名前がないんですよ。敢えて言うと米軍からMUTO(Massive Unidentified Terrestrial Organism)と呼ばれてます。東宝なら

 ゴジラ 対 MUTO 

になってますよ。泣かせますねえ、なんか名前付けてやれよ(笑。

 でもって、このMUTO、羽根を持ったなんです。ということは当然もいるわけですね。こっちもエイリアンっぽい化けもんですが、羽根は持たず、その代わりに気色悪い卵のうを持ってます。それが出現するのが、アメリカはネヴァダ廃棄物処理施設
 その場所に気づくのが米軍のアドバイザー、我が芹沢博士です。それでアメリカ軍が探索に行くわけですが、一つ一つ部屋を点検して見つけた部屋の惨状には失礼ながら笑いました。なんとその部屋は壁が破壊され、その向こうの山が見事なまでに崩れてるんですよ。

何でこんなことになってるのに気がつかないんだ!?

 で、この♂♀が呼び合って合流するのがサンフランシスコ、そこへゴジラもやってきて対決するわけですが、アメリカ軍は自分たちでやっつけるといって芹沢博士の助言など聞き入れません。まあ、ハワイ以降、80%くらいは米軍宣伝映画です。

 でもってこのエイリアンみたいな怪獣二匹に敵うわけもありません。で、最後の手段(エサ)が

核ミサイル」。。。

 ええっ!って感じです。冒頭で例のビキニ環礁での水爆実験が実は「ゴジラを殺すためだった」と自国の苦しい弁解をしてるんですよ。
 それでゴジラが死んだか? というと死ななかったわけですよ。
 それで最後の手段が核ミサイル? 訳わかりません。

 当然そんなもんでは解決しません。最後はゴジラです。CGの迫力はさすが60年前とは違います。映像も当然ながら格段に進歩しています。

 でも何か物足りないんです。何故か?考えてみるに、

・ スピードが速すぎる。もっとじっくりと格闘シーンは見せるべきです。

・ アップが足りない。遠景での戦闘がやたら多くて全然ズームアップしていきません。

 これぞゴジラ!という迫力があったのは最後の♀を斃すシーンくらいかなあ。まあ、それでも最後の格闘シーンは見るべきものがあったと思いますしよしとしましょう。

 しか~し、タイマーを解除できなかった核ミサイルはSFの沖合いで爆発します。なのに、街ではもうめでたしめでたしムード満載で放射能汚染などありえないという雰囲気。いくら沖合いでもそんな暢気なことでいいのか!?

 で、俳優ですが、予想通り無名の方々ばかりです。先日「ブルージャスミン」に出ておられたサリー・ホーキンスくらいでしょうか。あの悪名高いオルセン姉妹の妹、エリザベス・オルセンは意外にがんばってましたけどね。 

 と言うことで、どう見ても一番の大物は渡辺謙。演じるはあの第一作の主人公でゴジラと相討ちで命を落とした芹沢博士。英語は堪能だし、「ゴジラ」をはっきりと日本語で発音しているのも矜持があっていいです。
 なのに、役割はしょぼいことこのうえなし。エイリアンを産み出しといて何の手も打てず。芹沢博士といやあオキシジェン・デストロイヤーですが、そんな必殺兵器は全く持ち合わせていません。あとはアメリカ軍のオブサーバー。

「人間が傲慢なのは、自然は人間の支配下にあり、その逆ではないと考えている点だ」

なんて、かっこいい事おっしゃってますが、対怪獣戦略については何言っても簡単に却下。

 これって「集団的自衛権」認めてくれるのはうれしいけど、うちらにとっちゃ、あんたなんてこんな程度の扱いだけど、それでもいい?

ってわざわざアピールしてくれてる感じ。安部さん、是非観て下さい!

 というわけで、良かったのは久しぶりにゴジラゴジラらしい勇姿を見せてくれたことくらいでしょうか。ちなみに原作の倍くらいの背丈があるそうです。さて、ゴジラといえば不死身、最後は海に帰るはずですが、この映画ではどうなっていたか?これだけけなしといて言うのもなんですが、是非あなたの目でお確かめください

評価: D: イマイチ
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)

と、この記事を書き終わったところで大変なニュースが入ってきました。

「 GODZILLA ゴジラ」続編決定 ラドンモスラキングギドラ登場 コミコンで正式発表 」

だそうです。トホホ、どうなることやら。