(小豆島・二十四の瞳映画村・「八日目の蝉」展より)
10周年企画第二弾はやはり映画です。
映画レビュー: 281件
邦画: 171件
洋画: 110件
数あるカテゴリーの中でダントツの多さでやっぱり私は映画が好きなんだなあと思います。そこで、ほぼリアルタイムでレビューしてきた映画のみに限って、
この10年でこの10本!
を選んでみました。さすがに10本に絞るのはかなり辛かったですし、敢えて10本にする意味があるのか?とも悩んだのですが、せっかくの10周年なのでなんとかやってみました。
そして+1として「愛すべきトホホ映画」をおまけで一本。愛すべき、というくらいですから、「こんなつまらん映画見るんじゃなかった」的ながっかり映画じゃなくて、「ここまでくだらないとかえって愛着がわいてくる」、そんな映画です。
今回はまず邦画から。なお順番は時系列順です。
1: この10年この10本
「ゆれる」(2007年3月紹介)
今や日本を代表する女流監督西川美和がその才能を早くも開花させた作品。極限までそぎ落とした映像表現、真相も「藪の中」のまま終わるのに、実に濃厚な作品でした。まだ若かった香川照之、オダギリ・ジョーの演技も素晴らしかったです。
「夕凪の町 桜の国」(2008年4月紹介)
原爆の怖ろしさ、そして世代を超えて伝わっていく原爆症の怖さを、敢えて声高に叫ばずに淡々と静かに描くことにより見事な感動と余韻を与えてくれた作品です。特に麻生久美子の演技にはもうボロボロ涙が止まらないほどに泣かされました。
「秒速5センチメートル」(2008年7月紹介)
新海誠が作り上げた見事なアニメーション映画。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の三章からなる、一人の人間の成長と喪失。切ない物語と丁寧に描きこまれた美しい映像が、観るものの心に染み入ってきます。日本のアニメーションのレベルの高さを誇れる一本です。
「西の魔女が死んだ」(2008年7月紹介)
梨木香歩の原作を見事に映画化した「シンプルで力強く、しかも繊細で美しい映画」です。英国人の祖母役を演じたサチ・パーカーの演技が見事でした。エンドロールでいきなり手島葵の「虹」が流れてくるのは反則、こらえていた涙腺が決壊してしまいました(w。
「おと・な・り」(2009年5月紹介)
小品のラブ・ストーリーなんですが、心地よい余韻を残してくれた佳作。麻生久美子が等身大の女性として恋愛ものに挑戦したのは実はこれが初めてだったとか。そしてジャニーズ系のレッテルを張られてしまう岡田准一君の演技力に驚いた作品でもありました。今大河ドラマの主役を張っているのもまったく不思議じゃないですね。
「サマーウォーズ」(2009年8月紹介)
またアニメかよ、と言われそうですが、今の邦画の現状を見た場合アニメがこれだけ入ってくるのは決して不思議ではないと思います。良く練られたプロット、現実とバーチャルの見事な融合、そして見事な映像。細田守、奥寺佐渡子、マッドハウスと優秀な人材が作り上げた見事な作品だと思います。
「悪人」(2010年9月)
一転して暗くて重いヒューマンドラマ。現代社会の不毛と閉塞を妻夫木聡と深津絵里が見事に演じきりました。レビューでは「愚直なまでに真面目に作りこまれた映画は批評が難しい」などと嘆いていますが、やはり傑作だったと思います。
「個性がないと言われて悩んだ時期もあった」と日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を獲った妻夫木君が泣いていたのがとても印象に残っています。深津絵里も最優秀主演女優賞を獲得し「監督にここまでぎりぎりに追い込まれたのははじめて」と述懐していたのも納得の演技でした。
「死にゆく妻との旅路」(2011年3月紹介)
日本のロードムービーは正直なところつまらないものが多いですが、これはその極北を指し示した傑作。しかも実話であると言うから驚き。このブログでずっと以前から演技力を評価してきた三浦友和と驚くほどの見事な演技を見せた石田ゆり子に拍手です。痛切な夫婦愛の物語で、あまり話題にならなかったのがとても悔しかったです。機会があれば是非観ていただきたいと思います。
「八日目の蝉 」(2011年12月紹介)
先日小豆島の中山千枚田の虫送りを見てきたので余計にそ思うのかもしれませんが、まさしく「十年に一度」の傑作。日本アカデミー賞を席巻したのも当然でしょう。永作博美、井上真央をはじめ渡邉このみ、小池栄子、余貴美子、 森口瑤子、風吹ジュンと、完全に女性優位の映画であったことも印象的です。絶対観るべし!です。
「利休にたずねよ」(2013年12月紹介)
日本の美を極めた作品。先日亡くなられた山本兼一氏の素晴らしい原作を見事に映像化してみせた田中光敏の手腕は見事。そしてやはり市川海老蔵あっての作品でしょう、見事に利休を演じきりました。
2: +1: 愛すべきトホホ映画
「0093女王陛下の草刈正雄」(2008年3月紹介)
若いころは天下の二枚目草刈正雄が本名・本人役でこんな映画に出演するとは。。。それも演技力皆無の娘と親子共演。ハナからまじめに作る気の無いお馬鹿スパイ映画なんでうが、出演を快諾した(かどうかはわかりませんが)草刈正雄に拍手を送りたいです。まあパロディの枠を大きくはみ出したとんでもない映画です。お暇な方は是非どうぞ。
以上で邦画編終了です。一つでも興味を惹かれる映画があって観て頂ければ幸甚です。では次回は洋画編をお送りします。