JBLの名機PARAGONのある喫茶店として有名な神戸元町の「JUST IN TIME」が5月いっぱいをもって閉店されることになりました。良い音のジャズ喫茶は他にもたくさんあってそれぞれに心をこめて調整されていると思いますが、ここのPARAGONもルーツサウンドの常連でもある店主の磯田さんが長年かけて音と佇まいに磨きをかけ、素晴らしい音に仕上げてこられた素晴らしい逸品です。
以前JBL project EVEREST DD66000の視聴会がここで催された時、ゲスト講師の三浦孝仁先生が、
「今パラゴンが置いてあるスペースに次の試聴会でDD66000が置いてあると素敵ですね」
と会を締めくくられましたが、その時磯田さんが苦笑いしながら
「ないない!」
と否定されたのがとても印象に残っています。
神戸元町商店街の本通の北西に位置するJust InTimeですが、借地だったそうで、賃貸契約が切れ、貸主の息子さんが和食店を開かれる為、やむなく閉店となったそうです。
にもかかわらず、磯田さんは冒頭写真の円卓で若い方とまだパラゴンの調整に余念が無いようでした。ちょっと席を立たれた際に「閉店だそうで残念です」と申し上げましたが、いつもの調子で表情一つ変えず「来週いっぱいやります」とおっしゃっておられました(汗。随分ご無沙汰なので私の顔など覚えておられないでしょうけれどね。
最後だなあと思いつつ、珈琲通を唸らせて来た美味しいコーヒーをいただきながら、最後のパラゴンの音を堪能しました。私にはピアノの高音が少しきつく感じるのですが、中域の押し出しと低域の実体感のあるかっちりとした音は健在でした。
真空管アンプが鎮座するカウンターの奥とLPが収納された陳列棚も見納めです。お勘定のときにママさんに「長い間お疲れ様でした」とご挨拶させていただきました。ママさんはとても気さくで愛想のよい方で「こちらこそありがとうございました」と言っていただきました。
長い間ありがとうございました、JUST IN TIME!