ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

テルマエ・ロマエ II

Thermaeii

 思わぬ大ヒットとなった「テルマエ・ロマエ」の第二弾「テルマエ・ロマエ II」を観てきました。果たして二匹目のどじょうはいたのでしょうか?

  いましたね!スキームは全く変らない(=マンネリ)にもかかわらず、予想以上に笑えて、そして一応ほろっとさせて、最後はカタルシスを得られるコメディー映画になっていました。
 アイデアの斬新さと絶妙のキャスティング、そして豪華ロケにより大ヒットした第一作ほどのインパクトは無いとは言え、それを踏襲した続編としては十分に合格点だったと思います。

『 製作年
2014年 日本映画 配給:東宝

スタッフ
監督: 武内英樹
原作: ヤマザキマリ
脚本: 橋本裕志

キャスト
阿部寛上戸彩北村一輝竹内力、宍戸開 他

ヤマザキマリの人気コミックを阿部寛主演で実写化し、大ヒットを記録したコメディ「テルマエ・ロマエ」(2012)の続編。斬新なテルマエ(浴場)を作ったことで一躍人気者になった古代ローマの浴場設計士ルシウスは、コロッセオグラディエーターたちを癒す浴場を作ってほしいと頼まれ頭を悩ませる。そんな時、またしても現代日本へタイムスリップしたルシウスは、平たい顔族(=日本人)の山越真実と再会。そこで見た日本の国技・相撲にヒントを得て、グラディエーター用の新たなテルマエを作るばかりか、血なまぐさいコロッセオに平和的な雰囲気を持ち込むことにも成功する。しかし、和平路線を進める皇帝ハドリアヌスに反発し、グラディエーターたちの戦いを通して市民の好戦意欲を高めようと企んでいた強硬派の元老院は、ルシウスの存在が邪魔になり、さらなる陰謀をめぐらせる。阿部を筆頭に、北村一輝、宍戸開、市村正親古代ローマ人を演じる濃い顔の俳優たちが再結集。現代日本人を演じるヒロインの上戸彩らも続投。

(映画.comより) 』

 古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)が、テルマエ(風呂)作りに悩むと現代日本へタイムスリップしてアイデアを得る、というパターンは前作と変らないのですが、手を変え品を変え、小ネタもいろいろ仕込みながら見せてくれます。

 グラディエーターを癒そうとすれば「平たい顔族のグラディエーター」相撲力士の入っている風呂に現れ、子供を楽しませようとすればスライダーのあるスパに現れ、テルマエの理想郷をハドリアヌス皇帝(市村正親)から請われれば草津温泉に現れ、とご都合主義なのはご愛嬌。

 日本相撲協会公認の力士連中の演技はほほえましくて面白くて笑いが絶えませんでしたし、ウォータースライダー・ギャグは分かっていても面白い。草津温泉の湯もみの櫂に「くさつ」と書いてあるのがローマでは「くさっ」になっていたのには笑いました。

 そして今回の最終兵器は混浴温泉。前宣伝で散々宣伝されていた阿部寛上戸彩の入浴シーン。超映画批評前田有一の表現を借りれば、

「彼女の入浴シーンでは、側面から確認できる驚くべき胸部のボリューム感に全お父さんが驚愕するであろう。このためだけに入場料を払うとしても、少なくとも8億円の熊手を買うよりコスパがいい投資対象である。」

まあ、それほどの露出度ではなかったので、まだ観ておられない方はそこまで期待しないように(笑。

 それはさておき、今回の主題は「平和推進派」対「武力行使派」。皇帝ハドリアヌスもルシウスも当然ながら平和主義、前回悪役だったケイオニウス(北村一輝)が当然武力派と思いきや、ちょっとひねりを入れるだけで結構面白い展開に。
 特に、主人公阿部寛を差し置いて、映画キャンペーンで「濃い顔」ナンバー1に輝いた北村一輝は今回大活躍。ヒールとベビーフェイス、女好きと男好きを見事に演じわけて映画によいアクセントをつけてくれました。

 それ以外にも前回の「平たい顔族」の年寄り連中や竹内力などのメンバーは安定した活躍を見せ、タイムスリップの間合いのパバロッティぽいおっちゃんも今回はコントを見せてくれ、更には新顔としてグラディエーター役で大活躍。

 音楽も今回はヴェルディをはじめとするイタリア・オペラのアリアの数々と北島三郎の「与作」が絶妙のコラボレーション(笑。ちなみに「誰も寝てはならぬ」を歌っているのは今回もラッセル・ワトソン

 というわけで、吉本新喜劇張りに平然と二番煎じをやってのけ、それで笑いを取るのですから、立派なコメディ映画といえましょう。いつも映画になると小難しくてつまらなくなる某警察映画と違い、屈託無く笑える良質なコメディです。何も考えず映画を楽しみたい向きには最適な映画でしょう。GWに是非どうぞ。

評価: C:佳作
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)