(「横たわる裸婦」1931年ごろ、第16位、小磯記念美術館HPより)
前から行かねば行かねばと思っていた、小磯良平生誕110年記念特別企画「あなたが選ぶ小磯良平作品選」に終了も近い今頃になってようやく出かけてきました。小磯先生の人気作品をこれだけ集められるのは小磯記念美術館ならではです。
展示はベスト50を二部屋に分け、50位から順番に展示してありました。50点すべてに選んだ人の感想も展示されているのですが、大人の書いたまじめな感想より、子供の書いた無邪気な、あるいはおませな感想のほうが楽しめました。
素晴らしかったのは第13位「花」の感想: 「かれてもキレイ(8歳)」、この感性は素晴らしい。
傑作だったのは第23位「御影の風景」の感想: 「ひょうしきがよくみてかいている」(7歳)、いやあ思わず笑いました。大人では決して思いつかない、というか書けない感想ですね。
閑話休題、では、ベスト10を発表しましょう。
第10位:「神戸風景」 1957年頃
これは納得。誰でも描けそうでいてやっぱり小磯先生の構成力と色使いがないと描けない神戸です。
感想の一つ「小磯さんが神戸風景を描くとしたらこうなるのかと感心した。横の線が印象にのこり一本の線を大事にする心がわかった。」(56歳)
第9位:「自画像」 1926年頃
これはもっと上位に来ると思いましたけどね。私は好きです。今回森山未来君に似てるな、と発見(笑。
感想の一つ「上衣の衿の三角ゾーンが肌なのか、又はシャツの描きかけか知りたい。」(70歳)
第8位:「庭」 1960年頃
植物のデッサンに定評のあった小磯先生ならではの作品。
感想の一つ「この絵の前に1日中座って見ていたい作品でした。心和む作品です」(58歳)
第7位:「ブルターニュ、ソーニン港」 1928年頃
海外風景を描いた代表的作品でデュフィの影響が感じられる画風です。フランスだから、というわけでもないのですが、青と赤と白が綺麗です。
感想の一つ「明るい色彩 見ていて幸せになれる 風景は珍しい」(?歳)
第6位:「婦人像」 1956年頃
本当に美しい婦人像。日本女性の美しさを描いた絵画としては白眉でしょう。モデルは宝塚歌劇団のころの八千草薫さん。
感想の一つ「八千草さんだ!!と思わずさけんだ!!」(56歳)
第5位:「洋和服の二人」 1933-34年頃
これも有名な、神戸市の第二回みなと祭のために描かれた作品です。洋服と和服の女性を並べて描かれていて、当時の和洋双方のファッションの流行が良くわかります。 感想の一つ「時代背景が感じられる 二人の服だけでなくて 二人の佇まいから」(68歳)
第4位:「踊り子」 1940年頃
小磯画伯の代表的なモチーフであったバレリーナ。その代表作の一つ。ドガよりより写実的で柔和です。
感想の一つ「えからほんとうにバレリーナがでてきそう」(7歳)
第3位:「庭」 1963年頃
三位に入ったのは意外にも風景画。国籍不明の綺麗な庭の情景を切り取っていて見事です。
感想の一つ「空気の流れを感じる庭が素晴らしい」(58歳)
第2位:「着物の女」 1936年
これは納得の第二位。白地に紅、紫、黒の縦縞模様の銘仙の着物、きりっとした女性の顔立ちとちょっと崩したような座り方、そしてバックの色が完璧な調和をなしていてまさしく小磯先生の代表作でしょう。
感想の一つ「着物のくっきりとした柄と女性の表情から、小磯が、何を「美」ととらえていたか、推察できる」(51歳)
さて第1位は!? 見に行きましょう(笑。まあ納得の一作です。
私の個人的なベスト10は今回の50作の中では下記の通りです。順は不動です。
「着物の女」(2位)
「婦人像」(6位)
「自画像」(9位)
「働く人」(11位)
「横たわる裸婦」(16位)
「婦人像(エステラ)」(19位)
「青衣の女」(24位)
「二人裸婦」(26位)
「マヌキャン」(28位)
「母子像」(29位)
さて、最後に私にとっては歓喜のビッグサプライズが待っていました。
第三室には「小磯良平の線の世界」と題してデッサン、エッチング、リトグラフが多数展示されておりました。以前リト「少女横顔」を購入したときにも書きましたが、小磯良平先生の定評あるデッサン力を堪能できるこの部屋も十分楽しめました。
そして最後のリトグラフ!昔買い損ねた痛恨の「若い女」シリーズの一作が飾ってあるではないですか!もう涙ものでした。
というわけで小磯画伯の人気作品、代表的作品がまとめて観られる貴重な機会です。4月6日までとあと僅かですが、この連休にでも是非どうぞ。