家内と「魔女の宅急便」を観てきました。「偉大なるしゅららぼん」とどちらにするか迷ったんですが、家内がまずこちらにしようと選びました。
選んだ本人は「がっかりやわ~、お金払って観る映画ちゃうわ~」と落胆してましたが、私は期待値が思いっきり低かった分、結構楽しんで観ることが出来ました。
まあ、家内ががっかりするのもむべなるかなというくらい突っ込みどころは満載ですが、主演の小柴風花ちゃんはがんばってましたし、監督の清水崇、脚本の奥寺佐渡子がなんとかそれらしい映画にまとめていました。
『 2014年 日本映画 配給:東映
キャスト:小芝風花、広田亮平、尾野真千子、山本浩司、吉田羊、新井浩文、YURI、浅野忠信、筒井道隆、宮沢りえ、寿美菜子(ジジの声)、LiLiCo(ラジオパーソナリティ)他
宮崎駿監督によるアニメーション映画版が広く親しまれている角野栄子の児童文学「魔女の宅急便」を実写映画化。13歳になった魔女の血を引く少女キキは、掟に従い、一人前の魔女になるため修行の旅に出る。黒猫ジジと一緒にほうきに乗って旅立った彼女は、やがてたどり着いた海辺の町コリコで、パン屋のおソノのもとに居候することに。そこで空飛ぶお届けもの屋「魔女の宅急便」を始めたキキだったが……。主演はオーディションで選出された新人女優の小芝風花。「呪怨」シリーズや「ラビット・ホラー3D」など数々の恐怖映画を送りてきた清水崇監督が、児童文学の映画化に挑戦。脚本に「おおかみこどもの雨と雪」の奥寺佐渡子。
(映画.comより) 』
あくまでも角野栄子の原作の実写化なんですが、どうしてもジブリの傑作アニメのイメージの方が圧倒的なのは承知の上での実写化です。そこで清水崇をはじめとするスタッフは、魔女の少女が成長していく過程で周囲の大人の偏見にへこたれそうになりながら困難なシチュエーションを乗り越えていくという基本的なコンセプトや登場人物の造形をある程度守りつつ、思い切ってアニメとは筋立てを変えました。そこは成功していると思います。
ただ、そのストーリーのクライマックスでキキが立ち直り成長するきっかけになるエピソードがなんともトホホなんでがっくり来ちゃうんですけどね。
大変な思いをしてキキとトンボがある生き物をある獣医に届けるのですが、普通動物園に獣医がいるだろ、と思いますし、届けた先の獣医がまたトホホ。あれだったらキキの持ってる薬塗ったほうがマシ(家内談)。
ロケは主に小豆島で行われたそうですが、アニメを意識した洋風の建物や風景と、町並みの日本ぽさのギャップが凄くて、これは一体どこなんだ?(一応冒頭に東洋のあるところとキャプションが入りますが)と頭をひねってしまいます。
ジジやカバのCGもイマイチだし、美術と撮影は残念ながら及第点に達してませんね。
さて、主演の小柴風花ちゃん。といってももう16歳だそうですが、幼さを残す童顔と体型がキキ役にぴったりで、主役として奮闘してました。監督は演技力ではなく持ってる雰囲気で選んだそうですが、なかなか慧眼だと思います。トンボの広田亮平君もがんばってましたが、どうしてもアニメのトンボの印象と違うので損してるところはありますね。
一方でおソノさんの尾野真千子はジブリアニメの印象そのままで演じていました。落ち込むキキにおなかの中の子を引き合いに出して、「親は子供が元気でいてくれればそれでうれしいのよ」と語りかけるあたりは、自然体の演技でよかったです。
異色の登場人物は元歌手のタカミカラ役のYURIさん。姉が魔女で飛行中に墜落して死んだことがショックで歌えなくなったという設定です。最初はマツコデラックスの方が演技力もあっていいんじゃないの、なんて思っていましたが、恰幅の良いお体でクライマックスで大雨の中キキの無事を願って熱唱する姿はなかなかの迫力。彼女の声が力尽きそうになるキキの元に届いたということは彼女も魔女としての資質を持っているのかもしれませんね。
面白かったのは動物園の園長役の志賀廣太郎さん。堅実な脇役俳優さんですが現在TV東京系のドラマ「三匹のおっさん」でブレイクしているので突然画面にアップで登場されたときには家内と二人で思わず笑ってしまいました。一方でキキと衝突する飼育係役の新井浩文さんは良い役者さんなんですが役どころがあまりにも奇矯すぎて損してましたね、お気の毒でした。
さて、YURIさんの劇中歌もよかったですが、エンドロールで流れてきた主題歌「Wake Me Up」を歌うのは倉木麻衣さん。久しぶりに彼女の歌声を聞けてよかったです。
というわけで、ジブリとは切り離してみる必要がありますが、お子さんと一緒に楽しむには十分なクオリティがある映画だと思います。まあ評価としては佳作とまではいかないですが。。。あ、それと大人の男の方が一人で観るのはご用心。ロリコンかと思われちゃいますよ(笑。それくらい風花ちゃんはおぼこくて可愛いです。
評価: D: イマイチ
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)