ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Waving Flags / 坂本美雨

Waving Flags(ALBUM+DVD) (初回生産限定盤)

 クリスタルボイスの美しさが魅力の坂本美雨さんのニューアルバムが出ました。以前紹介した「PHANTOM girl」、続く「HATSUKOI」「I'm yours!」エレクトロニカにクリスタルボイスを融合させてきた美雨さんですが、今回は蓮沼執太氏をプロデューサーに迎えて「やさしく・明るく・色鮮やかな」アルバムを作り上げました。

 美雨さんの音楽のキーワードは

「ピュア・クリスタル・ボイス」
イノセンス

の二つだと思うのですが、そのどちらも健在です。その上で今回は前三作に比べてよりナチュラルな音作りでかつ、蓮沼氏を中心とした「音楽隊」としての一体感を大事にしている印象を受けます、そう、ジャケット写真の一つの船に乗って進む仲間たちのイメージそのままに。

 その分、「Phantom Girl's First Love」のようなクリスタルボイスをあたかも楽器のようにエレクトロニカと融合させた爽快感はやや減退していますが、SSWとしての美雨さんの充実振りがうかがえる作品でした。

 なお、Youtubeにすでにダイジェスト・メドレーが公式にアップされていますので興味のある方は聴いてみてください。

ディスク:1 (CD)

1. ドア
2. Q & A?
3. ピエロ
4. HIRUNO HOSHI
5. welcome to the village!
6. VOICE
7. =
8. your name is magic word
9. おとぎ話
10. Waving Flags
11. やくそく   

ディスク:2 (DVD)

1. Waving Flags (Music Video Short Version) 
2. The Making of “Waving Flags” 

『  坂本美雨が新たな一歩を踏出す今作は、「大事な人にもう良いことしか起こらない、という『おまじない』」をキーワードに制作。 「良いことしか起こらない場所はここにあるよ」と目印の旗を振るという意味でタイトルは『Waving Flags:』。

 今回プロデューサーに迎えられた蓮沼執太は、実験的なサウンドを軸としたソロワークのみならず、数々のCM音楽の制作を手掛けるなど幅広い音楽活動が高い評価を得ている音楽家で、最近では自ら指揮を執る大人数によるオーケストレーションバンド「蓮沼執太フィル」の活動で有名。
参加アーティストは蓮沼執太フィルのメンバー達の他、村田シゲ(□□□)、伊藤大地(SAKEROCK)、ゴンドウトモヒコ(pupa)、戸高賢史(Art-School)、環ROYなど。
また、sleepy.ab 成山剛提供楽曲「ピエロ」、illionカバー曲「HIRUNO HOSHI」、□□□カバー曲「おとぎ話」も収録。

坂本美雨と仲間の音楽隊達が奏でるやさしく・明るく・色鮮やかなサウンドは春の訪れの様に世界中を癒していく。

AMAZON解説より) 』

 まずは一曲目の「ドア」の冒頭のストリングスのアレンジがとても美しく、それに続く

「Oh my love、I finally found you」

という歌詞ですっと美雨ワールドに入り込めます。「良いことしか起こらない場所はここにあるよ」と目印の旗を振るという意味を持つアルバムタイトル曲「Waving Flags」とともに本アルバムのベストトラックだと思います。

 

 sleepy.ab 成山剛提供楽曲「ピエロ」、illionカバー曲「HIRUNO HOSHI」、□□□カバー曲「おとぎ話」とカバー曲も三曲収録されていますが、個人的にはillionの「HIRUNO HOSHI」がとてもよかったです。

「一緒に夢の前で待ち合わせをしよう
理由など一つもなくキスをしよう しよう」

という歌詞を美雨さんが歌うとすごくナチュラルでとても気持ちよく幸せな気分になれますね。

 「welcome to the village!」「 your name is magic word」のように美雨さんのヴォーカルを楽器的に処理した実験的な曲と、弾き語りで一つ一つの言葉をかみ締めるように紡ぐ「VOICE」のような曲、さらにはRAPが挿入された「」などがアルバムの中央から後半に配してあるのもよいアクセントになっていています。
 

 そして終曲「やくそく」で

「だいじょうぶ これからは いいことしか 起こらない」

と聴くものに美雨さんがやさしくまじないをかけてアルバムは終わります。

 以上、ただ単にできた作品を並べるだけでなく、はっきりとしたコンセプトをもって構成が考え抜かれた良質な作品だと思います。

 さて、初回盤にはDVDがサービスされるのはもう当たり前のようになってしまいましたが、正直なところ個人的にはケースが分厚くなるし、どうせ一回か二回しか見ないし、不要だと思います。ところが通常盤のほうが高い.のでこちらを選ぶしかないのですよね。セールス方法としてどうかと思いますね。

 メイキングにあのサバ美チャンらしき猫が登場するのがご愛嬌かな。