ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ゼロ・グラビティ

Gravity

 話題作「ゼロ・グラビティ」を観てきました。殆どの時間サンドラ・ブロック一人の演技が続くパニック・シチュエーションものですが、さすがに噂だけの事はある、手に汗握る素晴らしい出来栄えでした。

 一人だけのパニック・ドラマと言えば、以前紹介した岩に手を挟まれて動けなくなったロッククライマーの極限状況を描いた「127時間」を思い出しますが、この映画は破壊された人工衛星デブリが襲来して悲劇が始まり、その後も地球を一周して90分毎に襲ってくるいうシチュエーションを設定しています。
 最初の襲来から始まり、あと2回襲ってきますから約3時間の出来事です。それを91分と比較的短い時間に凝縮して見せているのが成功してとても濃密でハラハラドキドキの展開となっていました。

『 2013年 アメリカ映画、原題: gravity  配給:ワーナー・ブラザーズ映画

スタッフ:
監督: アルフォンソ・キュアロン
製作: アルフォンソ・キュアロン、デビッド・ハイマン
脚本: アルフォンソ・キュアロンホナス・キュアロン
撮影: エマニュエル・ルベツキ

キャスト: サンドラ・ブロックジョージ・クルーニー、他

 
トゥモロー・ワールド」「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督が、宇宙空間に投げ出されてしまった宇宙飛行士たちの極限的状況を最新VFXと3D技術を駆使して描いたSFドラマ。スペースシャトルのメディカル・エンジニア、ストーン博士とベテラン宇宙飛行士のマットは、船外作業をしていたところで予想外の事故に遭い、宇宙空間に放り出されてしまう。空気も残りわずかで地球との交信手段も断たれ、たった1本のロープでつながっているだけの2人は、絶望的な状況の中から生還を目指すが……。ストーン博士役にサンドラ・ブロック、マット役にジョージ・クルーニー。撮影は「トゥモロー・ワールド」ほかキュアロン作品を多数担当する名匠エマニュエル・ルベツキ。脚本はキュアロン監督と、監督の息子ホナス・キュアロンによる。

(映画.comより)』

 アルフォンソ・キュアロンの名前を初めて知ったのは「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」でしたが、その時のレビューを読んでみると、

この監督はこのシリーズ初めてとの事ですが、なかなかのものです。」

なんて生意気なこと書いていました(大汗。今回はもう、なかなかのものどころか、

どうやってこんな映像を撮ったんだ?

という驚きの連続でした。もちろん今の時代ネットで調べればすぐに分かるんですが、敢えてそれをせずに観たのが良かったです。これでIMAXの3Dだともっと凄いんでしょうねえ。酔ってしまうかも(^_^;)。

 さて、生きて登場する俳優はサンドラ・ブロックジョージ・クルーニーのみ。そのサンドラ・ブロックは私のお気に入りの女優さんです。今回も、出世作スピード」よりもっと恐ろしいシチュエーションでの迫真の演技を楽しませていただきました。宇宙服を脱ぎ捨てて軽装に戻るところは「エイリアン」のシガニー・ウィーバーを彷彿とさせますが、シガニーより女性的なところがいいです(笑。
 ジョージ・クルーニーも、オーシャンズシリーズでいい加減見飽きておりましたし、日本のTVCMでも露出過多ですが、今回は勇気と知恵で主人公を励まし、自分の命が終わると分かっていてもジョークを忘れずに主人公を励ます年上の男性という、はまりどころの役柄で好演していました。

 ちなみに邦題は「ゼロ・グラビティ」=無重力ですが、原題は「gravity」=重力となっておりました。その理由はラストシーンで分かります。そういう意味では原題の方がしゃれていますが、その脅威の映像の殆どを占める「無重力」の方を題名に選んだ配給会社の意図も分からないでもありません。明らかにこちらの方が興行収入も見込めるでしょうし。

 というわけで短時間ながらスリル満点で楽しめる作品です。サンドラ・ブロックファンであっても無くても是非どうぞ。

評価: B: 秀作
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)