ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

自宅オフ会:杉ちゃん、naskorさん来訪

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 今日から早くも12月ですね。その一日早々にオーディオファイルお二人の方をお招きし、充実したオフ会を開くことができました。

 経緯を少し述べますと、先日uenoさんが拙宅に来訪していただき久しぶりのオフ会を楽しませていただきました。その感想をuenoさんがご自身のHP「元・モアの巣箱」にアップしてくださったのですが、「杉ちゃん」というHNの方がそれをご覧になり、以前からDynaudio Sapphireに興味があり是非聴かせていただきたいという申し出をいただきました。

 偶然なことに杉ちゃんさん(以後杉ちゃんと略させていただきます)はご近所にお住まいで、ご自宅でB&W Matrix802 S3をお使いになり、クラシック、特にシベリウスヴィヴァルディがお好きだと伺いました。というわけで私も勉強させていただこうと喜んでお受けすることにしました。

 そして以前よりオファーを頂いていてまだお受けできていなかったnaskorさんにもお声をおかけしたところ喜んでお受けしていただきました。naskorさんとはブログやmixi等を通じて以前より親しくさせていただいており、またHNを逆さから読むと分かるように私と同じRoksanのアナログシステムをお使いです(残念ながら現在故障中とのこと)。
 そしてジャズがお好きで、それも懐古的に古いスタンダードばかりを聴くのではなく、新しいジャズや日本のジャズを積極的にお聴きになり、常に進歩し続けている現在のジャズについて研鑽を積まれておられます。

 ということで楽しみ半分緊張半分で色々と事前の準備やら調整やらを行い当日を迎えました。幸いお二人とも気さくな紳士でいらっしゃり、お会いしてすぐに打ち解けて楽しくお話させていただくことができました。

 一方でお二人共それぞれの分野とオーディオに対する造詣は私などよりはるかに深く、あっという間に拙宅のシステムの特徴や私の調整の仕方を見抜かれてしまいました。

 杉ちゃんからは

このシステムはロックよりもジャズにあってますよ

とのご指摘があり、ロック好きと言いつつ私がいつもFourplayやKeith Jarrettなどをリファレンスとして調整していることを見抜かれてしまいました。
 また持ち込んでいただいたカンターテ・ドミノなどの演奏から、低音の豊富なソフトは超低音域が処理しきれていないので、このようなクラシックを聴くのならもう少しSPを壁から離した方がよい旨のご指摘を頂きました。これからクラシックを聴く頻度も増えていくと思いますので参考にさせていただきます。

 一方naskorさんからは、

絶妙に低域を出していない

という絶妙な誉め言葉(?^^;)をいただきました。もうずばりその通りで、私が80-100Hzあたりの低音が出過ぎると耳が痛くなるので嫌いなこと、そしてDG-38に入っているデータをお見せして70-80Hzの山と100-200Hzの谷があることからも100Hz以下の帯域を抑え気味に調整していることを説明させていただきました。
 続いて聴いていただいたアナログではSACD/CDより中低息の密度が濃く、

「断然アナログの方がいい」

とお褒め頂いたのも嬉しさ半分恥ずかしさ半分でした。調整というよりは先日導入したクリーン電源PS-520にアナログの電源を振り分けた狙いが、半分偶然で上手く当っただけなんです、naskorさんm(__)m。

 とは言っても楽しいお話の中で流れで色々とお話を伺わせていただいたので、全然説教臭さは感じず、素直に耳に入ったのもお二人のお人柄だと思います。そしてサファイアの音を気に入っていただいて嬉しかったです。
 ちなみにnaskorさんのお使いのスピーカーはTAOCのFC5000で、そのツイーターはディナウディオEsotarですからサファイアとほぼ同等品です。ですから自分の家の音ととてもよく似ていて全く違和感なく聴けるとの有難いお言葉をいただきました。

 というわけで、大変楽しいオフ会となりました。お二人に感謝申し上げます。

 

 さて、そのオフ会のソフトの紹介をしましょう。まずは私の用意したセットリストから入りました。

セットリスト:

SACD/CD

1: ボーカル(CD) Corrinne May: Beautiful Seed #1; Love Song for #1

Beautiful Seed

 まずはボーカルでサファイアの音、そしてセンター定位の位置を把握していただくことにしました。コリン・メイシンガポール出身アメリカ在住のSSWで、英語に変な癖がなく歌唱もオーソドックスなので、リファレンスにいいだろうと判断しました。

 サファイアからこんな柔らかい音が聴けるとは思わなかったという嬉しいお言葉をいただきました。

2: ピアノ(CD) 田部京子:ロマンス #1 Sibelius; Romance in D-flat major Op.24 No.9

ロマンス~ピアノ小品集

 二曲目はピアノにしました。「ロマンス」は田部京子さんのピアノ小曲集という企画モノなのでオフ会には失礼かなとも思ったのですが、杉ちゃんのお好きなシベリウスの「ロマンス」が入っているので敢えて選ばせていただきました。この曲はダイナミックレンジ、周波数帯域とも広く、おそらくベーゼンドルファーと思われる低音の深い沈みこみと高音部の転がるような綺麗な旋律が魅力的な曲です。

 杉ちゃんはこのソフトもお持ちで、自宅とはまた違った印象を受けられたようです。サファイアの個性はこのあたりで既につかんでしまわれたようでした。

3: 室内楽SACD田部京子&カルミナ四重奏団:シューベルト「ます」他 #4 Quintet in A major "Trout" IVth mvt

シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」

 3曲目はSACD室内楽を聴いていただきました。発売当時オーディオショウなどでもよくかかっていた田部京子さんとカルミナ四重奏団の「ます」からよく知られた第四楽章を聴いていただきました。
 聴きどころは勿論ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスと四弦が揃っているところで、その全てをバランスよく再生できているかどうかでシステムの真価が問われる、とよくプレゼンされますね。幸いお二人にも好評でした。

4: ジャズ(SACD) Patricia Barber: Nightclub  #5: You Don't Know Me

Nightclub

 さて、次はジャズ。ビル・エヴァンスマイルス・デイヴィスキース・ジャレット等スタンダードなところも考えたのですが、個人的に大好きなパトリシア・バーバーを聴いていただくことにしました。シカゴを中心に活躍している知的なシンガー&ピアニストなのですが、日本ではあまり人気がないのが残念です。
 ディスクはオリジナルの洋盤もいいのですが、MFSLが出したSACDにしてみました。アルバムタイトルどおり、紫煙漂うナイトクラブで、独特のハスキーボイスで弾き語りしている雰囲気を感じていただければいいな、と思ってかけてみました。

 naskorさんはMobil FidelityがこのようなSACDを出していることに驚かれたようでしたが、SACDらしいしなやかで柔らかい音ですねとのお言葉をいただきました。

5: フュージョン(CD) 寺井尚子:LIVE  #1: Spain(Chick Corea)

ライヴ

 ジャズの次はやはりフュージョン。ここはもう奇を衒わず我が家のリファレンスディスクの一つ、寺井尚子さんのライブからチック・コリアスペイン。寺井さんのよく歌うヴァイオリンはもとより、リー・リトナーのギター、アラン・パスカのピアノ、ハーヴィー・メイソンのドラムなどサポートメンバーのテクニックととライブらしい熱気の双方を満喫していただけるのではないかと思ってかけてみました。幸いお二人ともその演奏を十分堪能していただいたようで、かけてよかったです。寺井さんもさることながら、私の好きなアラン・パスカのピアノを誉めていただいて嬉しかったです。

6: 交響曲SACD) Szell & CO: Live In Tokyo 70 #9-10 Sibelius Symphony No.2 in D major Op.43 III-attacca-IVth mvt

ライヴ・イン・東京1970

 プレゼンの最後はやはりオケを出さないといけないでしょう。正直なところ、サファイアのキャビネット容積で3ウェイでは、オケの正確な再生は厳しいものがあります。
 そこを鬼気迫る気迫溢れるライブでカバーしようと選んだのが、セル&クリーブランドの最初で最後の1970年の来日ライブ。、この「Live In Tokyo」は全ての曲に深い感動を覚えしまうのですが、ここは杉ちゃんのお好きな、シベ2第三楽章からアタッカでつながる第四楽章まで一気に聴いていただこうとSACD/CDのトリに選びました。

 杉ちゃんはこのSACDを見るなり喜んでくださいました。1970年大阪でこのセル&COのシベ2を聴いてあまりの感動にそれ以後熱烈なシベリウスファンになられたのだそうです。長い演奏でしたがじっくりと聴いていただき久々の感動を味わっていただいたようでした。

 一方naskorさんは「LPから起こしたような古い録音ですね?」と訝っておられましたが、このマスターテープが発見された経緯などを説明し、納得していただきました。ただ、尋常ならぬ気迫のこもった演奏であることは十分理解できた、とおっしゃっていただきました。

 そして、お二人のご希望でこの後すぐにアナログの試聴に突入しました。

Analog
1: 邦楽ボーカル 山崎ハコ:飛・び・ま・す B-4: 飛びます

 アナログもまずはボーカルから。ギターの弾き語りで始まる山崎ハコの代表曲を聴いていただきました。冒頭のギターのストロークの響きとハコさんの熱唱、そして遅れて入ってくるバックのサポート、全てを完璧に再生できればなかなか感動的な曲です。

 勿論お二人ともハコさんはリアルタイムで聴いておられますが、それほどの期待はされていなかったと思います。ところがギターのストロークからハコさんのボーカルが滑り込んできた途端、お二人とも唖然とした表情で

「凄く綺麗な音じゃないですか!とてもあの時代の録音と思えない」

と驚かれました。喜んでいただけてよかったです。

2: 室内楽 I MUSICI (vn; Felix Ayo, 1960):Vivaldi Le Quattro Stagioni A-2:L'Estate

 二曲目はベタですがヴィヴァルディの四季。イ・ムジチの初めてのステレオ録音盤を選びました。ホールトーンが適度に載っていること、創立当時からのメンバーであるフェリックス・エイヨがソロを取っているところに人気がある盤ですが、そのソロを堪能できる「」を聴いて頂きました。「1960年あたりの録音とは思えない好録音ですね」、とイ・ムジチのこのバージョンに杉ちゃんからお褒めのお言葉をいただきました。

3: ジャズ Kenny Drew Trio: The Kenny Drew Trio A-1: Caravan

 ついではジャズ。ビル・エヴァンスキース・ジャレットマイルス・デイヴィスあたりで探したのですが、今一つピンと来ません。そこでふと目に止まったのがケニー・ドリュー・トリオ。今でこそケニー・ドリューは日本人向けに無難なスタンダード曲を弾くおじさんという印象が強いですが、20代バリバリの頃にポール・チェンバースフィリー・リー・ジョーンズという強力なリズム・セクションを得てリバーサイド・レーベルから出したこのアルバムは溌剌としています。

 A面一曲目のエリントンの代表的ナンバー「キャラバン」のグルーブ感を感じていただけたらと思っていたのですが、幸いお二人ともノリノリで聴いていただけました。サファイアがジャズをこれだけ鳴らすとは意外だ、と感じていただけたようです。

4: ロック Led Zeppelin: I A-1: Good Times Bad Times - A-2: Babe I'm Gonna Leave You

 ロックはかけるかどうか迷ったのですが、拙宅に来ればやはりLed Zeppelinの洗礼を受けていただかないといけません(笑。デビュー盤から、ハード・ロックの夜明けを告げた「Good Times Bad Times」と、ジミー・ページアコースティック・ギターの音色が美しい「Babe I'm Gonna Leave You」を続けて聴いて頂きました。

 やっぱりお二人とも2,3分でギブされ、かけている間写真&トイレタイムとなりました(^_^;)。

5: ヴァイオリン協奏曲 Oistrakh Szell&CO: Brahms Violin Concerto in D B-1: 2nd mvt

 最後はお口直しならぬお耳直しで、ゆったりとしたクラシックを。やっぱりセル&COをチョイスし、マエストロ・オイストラフと共演したブラームスヴァイオリン・コンチェルトから、悠揚たるオイストラフの名人芸を堪能できる第二楽章を聴いていただきました。お二人ともオイストラフの名演に聴き惚れていただいたようでした。

 実はこのアルバムは、家内の友人の亡くなられた義父様の遺品を譲り受けたもので、その話をさせていただいたところ、

「これだけのシステムで再生してもらってそのお父様も天国で喜んでいられるでしょう」

という嬉しくも有難いお言葉をいただきました。

 ここで私のプレゼンは切り上げさせていただき、残り時間で、お二人の持参していただいたソフトを聴かせていただきました。まずはnaskorさんのLPから。

Naskorさん編(LP)

1: 富樫雅彦: Song For Myself   A-1: Haze

 とんがっていた頃の富樫雅彦のパーカッションとまだお若いナベサダさんのフルートが絡むマニアックな曲。二人の楽器がリアルに眼前に展開し不思議な音空間を体験させていただきました。造詣の深いnaskorさんならではのソフトでした。

2:  Hachiro Kurita Trio: SKY TO SING TO ME 

 オフビートレコードという珍しい日本のレーベルのアルバムでしたが、ベース、ピアノ、ドラムともとても美しくかつリアルに録音されており、昔の日本のジャズ録音のレベルの高さを実感できるアルバムでした。特に森本洋さんというピアニストの演奏には心惹かれました。

3: Kazuo Yashiro Trio: Side By Side vol.3  A-1: I Know Why

  言わずと知れた菅野沖彦先生の録音です。さすがとしか言いようのない素晴らしい演奏と録音で、ベーゼンドルファーの音色が素晴らしかったです。

 ここでnaskorさんは残念ながら所用のため時間切れとなり、お帰りになりました。引き続き杉ちゃんの持参されたCDを聴かせていただきました。

杉ちゃん編(CD)

1: Eddie Higgins Trio: Again  #3: Gion Kouta - Kyoto Blues

 まずは杉ちゃんのお好きなエディ・ヒギンスから。和風の音だなと思ったら祇園小唄でした。アメリカのジャズメンは日本びいきの方が多いですが、エディもその一人ですね。

2: Al DiMeola, John McLaughlin and Paco De Lucia: Friday Night In San Francisco #1: Mediterranean Sundance / Rio Ancho

 あまりにも有名なスーパー・ギター・トリオのアルバムで、さすがの演奏でした。サファイアは比較的ギターには向いているSPであると思っていただいたようでした。

3: Hayley: Hayley Sings Japanese Songs  #6:  花

 天使の歌声と形容されるヘイリー。私もケルティック・ウーマンの2nd albumでその歌声は堪能していましたが、この曲の歌唱は素晴らしかったです。是非手に入れたいと思います。ちなみに杉ちゃんは大阪のザ・シンフォニーホールのライブに行かれたほどの大ファンだそうです。

4: Cantate Domino: #9 Julsang

  オーディオファイルには御馴染みのアルバムです。ソプラノや合唱の素晴らしい曲でしたが、低音の処理ができていないとのご指摘を受けました。確かにその通りで、今後の課題をいただきました。この後、このアルバムを巡って昔の三宮上新のTさんやらNさんやらの話で盛り上がりました。

5: 新日本紀行: 富田勲

 これはもう絶盤で杉ちゃんがある方に頼んでオリジナルマスターからCD-Rに録音していただいたそうです。凄い情熱の持ち主でいらっしゃいますね。有難いレアソースを聞かせていただき、その懐かしいメロディに昔のこの番組の情景が蘇ってきました。

6: Sir Charles Groves and Royal Liverpool PO: Sibelius The Dryad   #1: 春の歌

 最後はやはりシベリウス。私も大好きな春の歌を最後に堪能しました。いやあ久しぶりに聴きましたが素晴らしかったです。

 これでお開きとなりました。杉ちゃんにも満足していただけたようでよかったです。

 充実したオフ会でしたが、これだけの音楽を集中して聴いたのは久しぶりで、さすがに少し疲れました、この後余韻に浸りつつプールでクールダウンしてきました。

 これだけの多彩な音楽を聴かせていただいたお二人に再度感謝申し上げます。