ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Accuphase C-3800 導入記(1)導入までの経緯

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 さて、C-290Vを手放してまで手に入れたかったプリアンプは何か?大方の皆様の予想通り、ずばりAccuphaseの最高峰プリアンプC-3800です。6月7日、ついにこの憧れの機種が我が家にやってきました。今回はまずこの機種を導入するに至った経緯を書いてみたいと思います。

 本機種はアキュフェーズ40周年記念モデルの第一弾として当時のアキュフェーズの総力を挙げて製作され、型番も従来の2800シリーズとは一線を画す意味で3800を与えられました。

 ルーツサウンドさんが当時話しておられたのですが、販売前のディーラーを招いてのC-3800の社内試聴会で、並みいる海千山千のディーラーの皆さんから

「プリがこれほど音を支配するのか」

と驚きの声が上がったそうです。

 私がその音を実際耳にしたのは、さもえどさんとご一緒した3年前のルーツサウンドさんの試聴会でした。そして圧倒されました。背景の底知れぬ静寂さ、そこから立ち上がる音の情報量の多さ、音離れのよさ、三次元的音像の正確さ、そして何よりも、自然でありながら気品のある音色。

 あまりにも自然過ぎてごく普通のなんでもない音のように聴こえてしまうのですが、f特dレンジ等の基本的物理特性の完成度の次元が一ランク違うことを、次々に提示される試聴ディスクで確認できました。それに比べると比較試聴に使われた過去の名機C-280Vの音像がやや平板で、メリハリを利かせた音作りもなされていることが歴然としていました。
 もちろんC-280Vの音もまだまだ現役で通用する素晴らしいもので、ある程度好みの問題であるのですが、私はそれまでのアキュトーンと言われるような音の色付けをせずに高次元の音を提示してくれた3800に強く惹かれました。

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 問題はやはり値段です。170万円というのは音の質から言えばバーゲンプライス、多くのオーディオ雑誌にこぞって評論家の方は書いておられました。私も300万円以上する当時最高のプリと言われたマークレヴィンソンのNo32Lと同傾向で実力もそれに肉薄していると感じましたから、あながち煽り記事でもないなとは感じていました。
 が、だからと言ってそうそう簡単に手を出せる値段でもありません。C-290Vの音に特に不満もありませんでしたし、少なくともC-2800シリーズレベルの機種とは交換する気はありませんでした。というわけで所詮高値の花、とあきらめ半分の気持ちでいましたが、それでもこつこつとヘソクリは貯め続けていました。とは言え、消費税アップに間に合わなければアウトかなという気もしていました。
 そこへ援軍が現われました。アベノミクスなるものの効果で円安に触れたため長年塩漬けにしていた外貨をようやく円に換金できたのです。これで資金が準備できました。早速ルーツさんと交渉、290Vを思わぬ高値で下取りしていただき十分出せる金額を提示していただき即決、ついに3年越しの念願がかないました。

(続く)