ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

The Next Day / David Bowie

ザ・ネクスト・デイ デラックス・エディション(完全生産限定盤)
  David Bowie10年ぶり30作目となる新譜「The Next Day」が届きました。前作「リアリティ」発表後、私も大阪城ホールで堪能したリアリティ・ツアーの途中で心臓発作を起こし、以後セミリタイア状態にあったボウイ、もう新作はないだろうと思っていました。
 ところが先般突然「Where Are We Now?」というPVを発表、これは拙ブログの今日の一枚でもご紹介しましたが、同時に新作もボウイは予告。そしてついにその新作が届きました。
 ますはそのジャケに驚きました。彼の代表作「Heroes」の表ジャケットを飾った世界的写真家鋤田正義氏の写真を再度流用しそのど真ん中を真っ白にくりぬいてしまうという、ファンの度肝を抜くデザイン、芸術家ボウイ健在を高々と宣言しているようで嬉しくなってしまいました。

1. ザ・ネクスト・デイ
2. ダーティ・ボーイズ
3. ザ・スターズ
4. ラヴ・イズ・ザ・ロスト
5. ホエア・アー・ウィ・ナウ?
6. ヴァレンタイン・デイ
7. イフ・ユー・キャン・シー・ミー
8. アイド・ラザー・ビー・ハイ
9. ボス・オブ・ミー
10. ダンシング・アウト・イン・スペース
11. ハウ・ダズ・ザ・グラス・グロウ?
12. セット・ザ・ワールド・オン・ファイア
13. ユー・フィール・ソー・ロンリー・ユー・クッド・ダイ
14. ヒート
15. ソー・シー (ボーナストラック)
16. プラン (ボーナストラック)
17. アイル・テイク・ユー・ゼア (ボーナストラック)
18. ゴッド・ブレス・ザ・ガール (日本盤のみのボーナストラック) 

 一曲目の「The Next Dayからしていきなりエネルギー全開のロックナンバー。ボウイ元気じゃん!と嬉しくなってしまいます。そのハイテンションを保ったまま三島由紀夫に言及した 「Heat」まで休むことなく突っ走る、とても充実した、アグレッシブなロックを展開しています。かと言って一本調子ではなく、解説にも書かれていますが、ボウイのキャリアの様々な断面を切り取った総決算的な音作りがなされており、これには長い付き合いで今回の共同プロデューサーのトニー・ヴィスコンティも大きく寄与していると思います。

 唯一先行シングルの「Where Are We Now?」でクールダウンしますが、それから後の盛り返しが凄い。特に6、12、13あたりがいいですね。ボウイのボーカルも全曲濃密多弁でボウイらしい衒学的な歌詞を楽しめます。「金儲けのためでなく、言いたい事が一杯あったからこのアルバムを作ったんだ」というボウイの言が決してセールストークではない事を納得させられる内容です。

 ボーナストラックもインストの16を含めてレベルダウンする事のない佳曲揃い。特に17の「I’ll Take You There」がかっこよくて痺れます。これがホンチャンに入っていないのが不思議なくらい。コンサートのアンコールと同様に考えたほうがいいのかもしれません。

 日本盤には更に一曲18がおまけとしてついてきます。しかしそれより何より日本盤最大のメリットはBlu-Spec CD2(BSCD2)という高音質規格のCDであること。いきなり1曲目冒頭のドラムの音でがつんとやられてしまいました。ワイドレンジでS/N比が高く懐の深い再生音です。ちょっと硬質な感じがしますがそれもロックにはあっていると思います。