ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

いいむろなおきマイムソロ公演@兵庫県立芸術文化センター

Iimuronaoki
 昨日、娘がお薦めのパントマイム俳優いいむろなおきさんのソロ公演を観てきました。予想を超えた素晴らしいパフォーマンスで、パントマイムの真髄を堪能させていただきました。

2013年2月2日 16:00- 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

いいむろなおきマイムソロ公演 「マイムの時間」

作・演出・出演: いいむろなおき

プロローグ
ハエ
エンジェル
スレチガウフタリ
コンダクターの悲劇
蛙の一生 おまけ 蝶の一生
エスケープ

プロローグ

レクチャー

 当然ながら舞台上にはいいむろなおき一人のみ。おもむろにストレッチや基本動作を披露し、観客の笑いを誘います。
 観客の心をつかむとあとは彼の独り舞台。パントマイムの基本である壁や小道具芸に始まり、独創的なハエ、蛙、蝶などの動物の動きや、逃げる男、海中の男、死んで天使になる男、指揮者に至るまで驚くほど多様なマイムで表現していきます。最後には前腕より先だけを露出しそこにだけライトが当たり、流麗で幻想的な手の動きで観客を魅了してくれました。

 彼自身の解説によりますと、日本ではマイムという言葉は浸透しているものの、まだどういう舞台芸術なのかまだよく知られていないのが現状だということです。
 マイムという言葉の語源は、模倣する、真似るという意味のギリシャ語で、その起源は神に捧げる無言のジェスチャーとして、紀元前500年の古代ギリシャ時代まで遡るそうで、そこから各国に広がり、様々なスタイルの「言葉を使わない演劇」が生まれました。
 よってマイムは「言葉が使えない表現」ではなく「使わない表現」で、言葉を使う必要のない表現方法の上に成り立つこの世界は、観客一人一人にむけて言葉以上の多くのものを語りかけます。人々が使っている「言葉」というフィルターを通さず、目に映ることをダイレクトに感じ、笑い、そして時に涙することも出来る、無限の可能性を秘めた舞台芸術、それがマイムである、ということです。

 まあ、そんな難しいことを考えなくても、百聞は一見にしかず、1時間以上無言で繰り広げられる舞台を見ているとマイムの持つ無限の可能性を感じ取ることが出来ました。

 公演後にはじめてお声を聞くことができました。15分余り、笑いを交えて舞夢の基本動作である壁や綱引き、指を動かす練習などをレクチャーしていただき、唯一の小道具であるパネルを使ったエレベーターの種明かしまで披露していただきました。

 楽しくてあっという間の1時間半でした。しばらくはアジア公演に出かけられるそうですが、マイムに興味があってもなくても機会があれば是非ご覧ください。