ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ダークナイト・ライジング

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 クリストファー・ノーラン監督のアメコミ「バットマン」映画化三部作の完結編「ダークナイト・ライジング」を観てきました。何しろ前作「ダークナイト」が映画ファンの度肝をぬくような傑作で、本作の前評判も上々でしたので楽しみにしておりました。約3時間という長丁場を十分楽しむ事はできましたが、残念ながら前作ほどの出来ではない、というのが正直な印象でした。

『 2012年アメリカ映画、配給:ワーナー・ブラザース映画

監督:クリストファー・ノーラン 
原案:クリストファー・ノーランデヴィッド・S・ゴイヤー 
脚本:ジョナサン・ノーランクリストファー・ノーラン 
音楽:ハンス・ジマー 

キャスト:クリスチャン・ベイル マイケル・ケイン ジョゼフ・ゴードン=レヴィット マリオン・コティヤール アン・ハサウェイ トム・ハーディ 他

クリストファー・ノーラン監督による「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」に続くシリーズ完結編。「ダークナイト」から8年後を舞台に、ゴッサム・シティを破壊しようとする残虐な殺し屋ベインと戦い、謎に包まれたキャット・ウーマン/セリーナ・カイルの真実を暴くブルース・ウェインの姿を描く。主演のクリスチャン・ベールのほか、新キャストとしてアン・ハサウェイやノーラン監督の前作「インセプション」にも出演したトム・ハーディ、ジョセフ・ゴードン=レビット、マリオン・コティヤールらが参加する。(映画.com等より)』

 まだ公開されたばかりなので内容については伏せますが、前作に勝るとも劣らない彫りの深い素晴らしい映像、前二作や原作を上手く取り込み、主人公を文字通り「絶望のどん底」にまで追い込む良く練られた脚本、常連のキャラクタの堅実な演技、本シリーズ初登場のキャット・ウーマン役のアン・ハサウェイの魅力等々、本作も見せ場が多く片時も観客を飽きさせない作品に仕上がっています。

 が、いかんせん、悪役のボス「ベイル」に前作故ヒース・レジャーのジョーカーほどの内面から湧き上がるような「悪」の凄みがありませんでした。出来損ないのダースベイダーみたいで異形の凄みはあるんですが、ジョーカーを知っているこの作品のファンにはこけおどしは通用しないところが(クリストファー・ノーラン監督もおそらく承知はしていたんでしょうが)辛かったですね。もちろんベイルにはベイルなリのバックグラウンドがあるんですが、それが明かされても、もうその時点ではもうさほどの感動はありませんでした。また前回のハービー・デントのような「善と悪」について深く考えさせられるような登場人物もいませんでした。

 というところで、もちろん標準以上の作品で前作に続いて単純な勧善懲悪ものにしていないところは立派だと思いますが、前作のレベルは超えられなかったというところです。そして個人的に一番腹立たしかったのは、一件落着してからの最後の数分のカット。ハリウッド映画の悪い癖というか何というか、折角の余韻を台無しにしてしまった感が否めません。完結作というからには、完璧に「完結」してほしかったです。

評価: C: 佳作
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)