ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

21 / Adele

21
  本年の第54回グラミー賞に主要3部門を含む6部門でノミネートされ、ノミネートされたすべての賞を獲得した事で話題となったアデルという歌手、名前は知っていたのですが聴いたことはなく、以前から気になっていました。そこで、2年前のデビューアルバム「19」と今回の受賞作「21」をしばらく聴きこんでみました。アルバム名は彼女の年齢を示しているごくシンプルなものですが、歳に似合わない歌唱力を誇示したネイミングなんでしょう。
 実際内容は宣伝ほどには派手派手しいものではなく、シンプルな編曲のトーチソングが殆どの女性ボーカルアルバムでした。このようなごく真っ当なアルバムがビッグセールスをあげ、賞も取る向こうの音楽界はこちらに比べると健全だなあ、と思いますね。

「21」(日本盤)

1. ROLLING IN THE DEEP
2. RUMOUR HAS IT
3. TURNING TABLES
4. DON’T YOU REMEMBER
5. SET FIRE TO THE RAIN
6. HE WONT GO
7. TAKE IT ALL
8. I’LL BE WAITING
9. ONE AND ONLY
10. LOVESONG
11. SOMEONE LIKE YOU

12. I FOUND A BOY (JAPAN BONUS TRACKS)
13. TURNING TABLES (LIVE ACOUSTIC) (JAPAN BONUS TRACKS)
14. DON’T YOU REMEMBER (LIVE ACOUSTIC) (JAPAN BONUS TRACKS)
15. SOMEONE LIKE YOU (LIVE ACOUSTIC) (JAPAN BONUS TRACKS)

 一作目「19」は全体に地味目でモノトーンな印象を受けましたが、この「21」になって曲ごとのメリハリがつき、メロディラインも多様になってきた印象を受けます。声質は所謂スモーキー・ボイス、キーは低めで時々声が割れるところもありますが、その大柄な体を生かした豊かな声量と天性の歌唱力で聴かせてくれます。
 「Traffic Stopper」とか言われて世間ではもう天才扱いですが、例えばエヴァ・キャシディなどと比べるとやや物足りない面もあります。とは言えまだまだ21歳という若さ、ボイストレーニングを積み、人生経験も深めていけば、もっと大化けするかもしれません。

 先程も述べましたが歌詞はややひねくれた失恋歌が殆どで、例えて言うとアメリカ版中島みゆき的な印象を受けます。アメリカではやや派手目の「Rolling In The Deep」と「Set Fire To The Rain」「Someone Like You」がシングルカットされてヒットしたそうですが、個人的にはバラードの「Turning Tables」「Don't You Remember」「Someone Like You」が圧倒的に良かったです。日本人好みと判断したのか、日本盤ボーナストラックにはこの3曲のライブバージョンも収録されています。これを聴くとやはりうまいなあ、生で聴いてみたいなあ、と思いますね。