ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ステキな金縛り

Sutekinakanashibari
はむちぃ: 皆様こん**は、本日の映画レビューは三谷幸喜様3年ぶりの映画「ステキな金縛り」でございます。
ゆうけい: はやいもので、以前レビューした「ザ・マジック・アワー」からもう3年も経つんですねえ。
は: 前回も三谷様自らTVなどで宣伝に走り回っておられましたが、今回も陣頭に立って宣伝しておられますね。あまりやりすぎると嫌味なものですが、御人柄か、許せてしまう感じがいたします。
ゆ: 多くの三谷人脈の人たちから慕われているとうに、本当に良い人なんでしょうね。離婚した小林聡美さんは「彼の奇人ぶりが過ぎて我慢の限界が来た」そうですが(苦笑。
は: まあそれはそれとして、先日はCX系で「ステキな隠し撮り」という宣伝ドラマまで作ってしまわれましたね。
ゆ: ようやりますな(笑、彼自身も自信のない映画監督役で出てましたね。それにしてもコンシェルジュ役の深津絵里のコメディエンヌ振りが切れまくっていて、彼女の意外な才能を観た気がしました。翌日に映画を予約していたものですから、いやが上にも期待が高まりました。
は: では、映画紹介に参りましょう。

『 2011年日本映画 東宝配給

監督と脚本: 三谷幸喜
製作: 亀山千広、島谷能成

キャスト: 深津絵里西田敏行阿部寛竹内結子浅野忠信草なぎ剛中井貴一市村正親小日向文世小林隆、KAN、木下隆行山本亘山本耕史戸田恵子浅野和之生瀬勝久梶原善阿南健治近藤芳正佐藤浩市深田恭子篠原涼子唐沢寿明

ザ・マジックアワー」の三谷幸喜監督が同作以来3年ぶりにメガホンをとり、法廷サスペンスやファンタジーの要素も盛り込んで送り出すオリジナル長編コメディ。三流弁護士のエミが、担当する殺人事件の弁護のため、被告人のアリバイを唯一証明できる落ち武者の幽霊・更科六兵衛を法廷に引っ張り出そうと奮闘する姿を描く。(映画.comより)』

は: いやあ面白かったですね。抱腹絶倒のコメディに仕上がっておりました。
ゆ: 突飛も無い発想をちゃんとしたドラマに仕立て上げる脚本、演劇的でありながら随所にお遊びの余裕を見せる演出、人柄を感じさせる暖かいエンディング、と、三谷幸喜の真髄が見事にスクリーンに展開されていましたね。三谷作品の最高傑作というキャッチもあながちオーバーでない気がしました。

は: 落ち武者の幽霊が法廷に立つなどという発想を映画にすることはよほどの力量がないと荒唐無稽で終わってしまいそうですが?
ゆ: さすがに演劇出身の監督らしく、設定や着想の妙、役者への演出指導で納得させてしまいましたね。
は: 幽霊を見える人と見えない人がいる、という設定、見えない人にどうやって幽霊の証言を伝える方法のユニークさ、法廷画家の巧い使い方など、
ゆ: 笑ってしまうけれど納得もしてしまうという感じでございました。

は: 主演の深津絵里西田敏行のご両人をはじめ、三谷人脈の俳優陣が役の軽重に関わらず、活き活きと演じられていたのも印象的でございました。
ゆ: まあ、一言で言って西田敏行の渾身の熱演で成り立っていたという映画でしたね。役者側で言うと、彼が荒唐無稽の設定を無理矢理納得させてしまった立役者と言えましょう。それに巧く深津絵里さんが絡んでいい作品に仕上がっていたと思います。
は: 深津絵里さんは前夜の髪の毛をアップにした細身の印象とは打って変わって、髪の毛をおろして可愛いかったですね。
ゆ: 三流弁護士が突飛も無い手で逆転無罪を狙う、という役柄を巧く演じていて、これからも三谷作品で活躍しそうですね。
は: 去年の「悪人」のシリアスな演技も、今回の180度異なった役柄も双方十分にこなせる事を証明しましたし、今後の活躍が楽しみですね。

は: その他のお方は如何だったでしょうか?
ゆ: 中井貴一さんが頑張ってましたね、さすがです。小日向文世さんも今回は美味しいところを持っていった感じがしました。深津絵里さんと同じく、コメディエンヌとしての才能を堂々と示した竹内結子さんも「怪演」で楽しませてくれました。
は: チョイ役では、私生活で幸せ一杯のはずの市村正親篠原涼子夫妻であこまで遊んでいいのか、という気もしましたが?
ゆ: まあ三谷さんだから許せるんでしょうね。個人的には深キョンこと深田恭子がチョイ役で出ていて嬉しかったです(^o^)。

は: 映画好きの三谷監督、古き良きハリウッド映画へのオマージュも忘れていませんでしたね。
ゆ: フランク・キャプラ監督の「スミス、都へ行く」「素晴らしき哉、人生」ですね。今の日本ではこの手のヒューマニティ溢れるコメディが少なく、こういうドラマを自分がこれからも作っていきたいんだ、というメッッセージが込められているんじゃないでしょうか。
は: 副題にして主題歌の「Once In A Blue Moon」もいかにも古き良きハリウッド映画的な曲でございました。
ゆ: 西田・深津コンビの歌はなかなかいい雰囲気を出していましたね。青い月という歌詞がありましたが、昔拙ブログでも紹介した事があるように「Blue Moon」はひと月に二回目の満月の事で、転じて表題は「極めて珍しい事」という慣用句なんですが、確かに幽霊が法廷に立つのは滅多にあることではないでしょうね(笑。

は: 敢えて言うと、強いて言うと、ここは今一つだった、というところはございますか?
ゆ: 「ステキな隠し撮り」で三谷幸喜深津絵里に無理矢理言わせてましたね。前半が長すぎる、エンディングがしつこすぎる(笑。
は: 前作「ザ・マジック・アワー」の時も、故市川昆監督から「いいけど長すぎる」というお言葉を頂戴しておられましたね。
ゆ: 確かに2時間半はちょっと長い気がしました。でもテンポ良く話が進んでいくので退屈はしませんでした。

は: では評価に参りましょう。
ゆ: 先程も述べたように、三谷幸喜は作り手の暖かい人間性を感じさせるヒューマン・コメディは第一人者となりました。多忙を極めておられるようですが、これからもじっくりと腰をすえて良い映画を作り続けていただきたいですね。

評価: A: 傑作
((A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)