ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

探偵はBARにいる

Tanteibar
はむちぃ: 皆様お久しぶりです、筆頭執事のはむちぃでございます。久々に映画レビューに引っ張り出されてまいりました。今回は現在公開中のハードボイルド映画「探偵はBARにいる」でございます。
ゆうけい: 3・11から半年が過ぎまして、そろそろ拙ブログでもゆうはむ漫談を再開させることといたしました。
は: まだ復興は半ばとも言えない厳しい現実があることは承知いたしておりますが、ゆうけいも私がおりませんと、どうも筆が乗らぬようでございます。何卒ご了承の程お願いいたします。
ゆ: いやあ、君がいない映画レビューは真面目に書かなくちゃいけないので大変だったよ。
は: ご主人様、もともと映画レビューは真面目に書くものでございます(-.-)。
ゆ: まあそこはそれ、適度に息抜きのフェイクが無くっちゃね、この映画の大泉洋のモノローグみたいにさ。
は: ご主人様のボケで、それほどハードボイルドな台詞にお目にかかった記憶はございません(キッパリ。
ゆ: 不器用ですから(ボソッ
は: その高倉健様のフェイクも既出でございます(-_-;)。さて、とにもかくにも映画紹介に参りましょう。

『 2011年 配給 東映 PG12

監督 橋本一
脚本 古沢良太須藤泰司
原作 東直己 『バーにかかってきた電話
音楽 池頼広
主題歌 カルメン・マキ「時計をとめて」

キャスト: 大泉洋松田龍平小雪西田敏行 他

作家・東直己のデビュー作「探偵はバーにいる」を1作目とする「ススキノ探偵シリーズ」の第2作「バーにかかってきた電話」を映画化。札幌の歓楽街ススキノで活躍する探偵のもとに、コンドウキョウコと名乗るナゾの女から「ある男に会い、彼にひとつ質問してほしい」という依頼が舞い込む。簡単な依頼のはずが、探偵はその直後に命を狙われ、不可解な事件に巻き込まれていく。(映画.comより)』

は: 大泉洋様のユーモラスなキャラと松田龍平様のシニカルなキャラが上手くかみ合った、結構新鮮なハードボイルドドラマでございましたね。
ゆ: それでいて話はシリアスでPG12も納得のバイオレンスシーンもふんだんに盛り込まれている、東映らしいと言えば東映らしい映画でした。
は: 東映はこれをシリーズ化して、かつ、往年の2本立てを復活させたいという目論見があるそうでございます。
ゆ: 昭和の香りがしますねえ、シネコンでそれが可能なのかどうか、するならこういう現代的ハードボイルドと何を組み合わせるのか、解決すべき問題は多々あるでしょうが、だからこそ是非やってもらいたい企画ではあります。
は: ただ、二本立てにするには今回の映画は125分と少々長すぎますね。
ゆ: 今回は一本立てだからね~。でも確かにもう少しコンパクトにしたほうがいい感じもしましたから、このシリーズは90分程度にしてあと一本毛色の異なる映画を見せるのがいいでしょうね。

は: さて、映画の内容に参りましょう。ご主人様は「出だしの快調な映画は面白い」という持論をお持ちですが?
ゆ: そういう意味では良かったですね。出だしから大泉洋松田龍平のコミカルで派手なアクションシーンを一発かまし、すぐにキーパーソンとなる西田敏行小雪を登場させ、観客を冬の札幌へ引きずりこむテンポは歯切れよくて、こりゃ面白い映画になるな、と思わせました。
は: ご主人様としては、開始早々にカルメン・マキが登場して「時計を止めて」を歌われるシーンには感激されたでしょう。
ゆ: そうなんですよ~、知る人ぞ知る隠れた名曲ですからね、この曲を主題歌に採用したスタッフ、グッジョブ!

は: さて、少々のネタバレになりますが西田敏行様が暴行殺害され、1年後に大泉洋様に謎の女性から電話がかかってきてから、ストーリーはジェットコースター的に目まぐるしく進んでいきます。
ゆ: かなり無茶な展開で突っ込みどころ満載なんですが、随所にバイオレンスシーンを織り交ぜつつ有無を言わせずどんどん話が進むので退屈はしませんでしたね。
は: それだけですとハードで暗い昔の東映フィルム・ノワールになってしまうのですが、主人公大泉洋様と松田龍平様のコミカルな掛け合いがなごませてくれますね。
ゆ: 大泉洋のいかにもなハードボイルド的台詞やモノローグは時々間延びしてしまうきらいもありましたけれど、今後このコンビが熟成していけば新しい「相棒」として定着していきそうな可能性を感じました。

は: このお二人の演技はいかがでしたか?
ゆ: 元々ユーモラスな俳優でかつ舞台の北海道が地元の大泉洋、父親の血か、独特の存在感がある松田龍平、ともに芸達者な脇役に囲まれてのびのびやってましたね。個人的にはグータラで無口でそれでいてやる時はやるという松田龍平のキャラに可能性を感じました。今回はサポートに徹していた感がありますが、シリーズ化するならもっと活躍させて欲しいものです。
は: ヒロインの小雪様は貫禄の演技でしたね。
ゆ: 妊娠しておられたそうですからな、女は強し(笑。まあそれはともかく、大女優の風格が出てきましたね。特に最後のシーンは魅せてくれました、さすがです。

は: という事でございまして、シリーズ化がほぼ確実なこの映画、評価は如何でしょうか?
ゆ: 褒めてばかりいるようですが、ちゃんと「かなり無茶な展開で突っ込みどころ満載」と申し上げております(笑。
は: 何しろこれだけ殺人や傷害事件が連続して警察が全く出てきません
ゆ: ススキノは歌舞伎町にも勝る無法地帯ですか、って突っ込みたくなるところですが、今回はまあ東映の新しい路線を作ろうという意気込みに敬意を表しておきましょう。あと、カルメン・マキの主題歌もポイント大です!

評価: C: 佳作
((A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)