ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

相棒 劇場版II -警視庁占拠!特命係の一番長い夜-

相棒 劇場版II -警視庁占拠!特命係の一番長い夜- <通常版> [DVD]
 「相棒 Seaason 10」の10月からの放送が決まったようですね。一時降りるのではと噂された及川光博も続投のようで、何よりです。というわけで劇場版IIのレビューです。初回作の相棒劇場版は、ど派手なアクションとマラソン中継が実は本筋とは何の関係もなかったという驚愕の筋書きで我々の度肝を抜いてくれましたが、第二作はその反省からか、ただ単に趣向を変えただけなのか、地味なサスペンスものに仕上げてきました。
 ちなみにTV版とリンクしているので、できれば公開時に観たかったのですが、タイミングを逃してしまいました。まあそれでも大勢に影響はないので、レンタルで楽しみたい方も安心して借りてください。

『2010年 日本映画

監督: 和泉聖治

出演: 水谷豊, 及川光博, 小西真奈美, 小澤征悦, 岸部一徳宇津井健

日本警察の要所・警視庁本部内で、前代未聞の人質籠城事件が発生した! 人質は、田丸警視総監、長谷川副総監をはじめとした、各部の部長ら幹部12名。現場となった会議室は機動隊と特殊捜査班SITによって完全に包囲されるが、犯人の動機は不明。要求もないまま、いたずらに時間が過ぎていくのだった。いち早く事件に気づいたのは、偶然にも犯人の男と遭遇した神戸尊とその連絡を受けた杉下右京。右京は会議室内の様子を把握することが肝心と、鑑識の米沢守や元特命係の陣川公平の協力を得て、誰も予想しなかった奇策に出た。彼が得た情報から、事件には元警視庁刑事と現役の警視庁職員が関わっていることが判明。そして徐々に明らかになってきたのは、衝撃の真実だった―。(AMAZON解説より)』

 映画はいきなり貨物船での銃撃戦と派手な爆破から始まります。この辺はいかにも映画を意識した作りと言えますが、派手なアクション・シーンはこれだけ。ちなみに狭い船内での跳弾の危険性を全く無視した銃撃戦はしらけますねえ、SAT隊員がそんな教育も受けていないのか?

 あとは殆どが警視庁内でのサスペンス、と言えば聴こえはいいですが、悪く言えばどろどろした組織内の暗部を延々と鑑賞することになります。貨物船内で殉職した隊員の仲間が一人で警視庁本部内に籠城するなんて、無茶としか言いようがない。事実彼はあっさりと殺されてしまいます。ということは人質となった警視庁幹部連中の誰かが犯人であることは分かりきっているわけであって、犯人探しのスリルはこれで半減、これ見よがしな貧乏ゆすりの靴音も伏線としてはバレバレ。一方小西真奈美演じる警視庁職員が犯人と通じていたのももう初めからもろばれで、それを隠そうともせず、謎解きを見せましょうという姿勢には脱帽していいんだか悪いんだか。。。

 というわけでその後の伏線も謎解きも無理やり感が否めませんが、それでも辛うじて鑑賞に堪える出来になっているのは前回と違いあまり大物ゲストを配さずに、TV版のレギュラー陣が踏ん張って演技してくれたおかげでしょう。

 更にがっくりなのは小野田官房長(岸部一徳)の殉職。本作の最大の見所の一つと公開前から噂されていましたが、問題はどこでいつどう殺害されるのか
 これがまあ、心底情けない。そんなしょぼい殉職ってありかよ、とがっくりきてしまいました。岸部一徳が忙し過ぎて「ぼくもう相棒降りさせてよ」と回転寿司食べながらせがんだんじゃないか、とさえ勘ぐってしまいますね。

 というわけで前作は前作なりに、本作は本作なりに、トホホ感の否めない出来なのでした。どうも相棒は映画版にするとだめなようです。といっても最低限前作よりはましなのでトホホの評価はしませんが。。。最後に一言、笑わない小西真奈美は魅力半減です。

評価: D: イマイチ
((A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)