ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

手嶌葵コンサート@梅田フェニックスホール

Panf
(無料パンフレットより)
 今日は猛暑の中、大阪のど真ん中まで出かけてきました。以前から一度は聴きたいと思っていた生の手嶌葵の歌声を聴くためです。梅田新道沿いのビルの中にあるザ・フェニックスホールは初めてだったのですが、思いの外こじんまりとした綺麗なホールで、客席数は僅か301席。もちろん満席で、よくぞチケットが取れたもんだ、とあらためて幸運に感謝するとともに、前から三列目という好位置で間近に彼女を見ながらその「奇跡の歌声」を堪能してきました。

手嶌葵コンサート~ジブリ午後の集い~

Date: Aug. 13th., 2011
Place: ザ・フェニックスホール

手嶌葵 (vo)

野崎洋一 (p, pianica)
成瀬英樹 (g, uklele)

Set List

1 上を向いて歩こう (g)
2 朝ごはんの歌 (g)
3 さよならの夏 ~コクリコ坂から~ (g)
4 The Rose (p)
5 テルーの唄 (acapella - p)
6 やさしさに包まれたなら (p,g)
7 恋はあせらず (p,uklele)
8 並木道 帰り道 (p)
9 旗 (p,g)
10 初恋の頃 (pianica,g)
11 紺色のうねりが (p)
12 愛をこめて。海 (p,g)

EC
1 時の歌 (p)
2 さよならの夏 ~コクリコ坂から~ (p,g)

( )内は伴奏楽器

Phenixhall   先程も述べたようにこじんまりとしたホールで、ステージもライブハウスくらいの広さしかなくセッティングもシンプル。向かって左半分をグランドピアノが占めており、向かって右奥にギタリスト用のスペース、そして中央前にボーカリスト用のスペース、これで一杯です。

 定刻になるとギタリストの成瀬さんと手嶌葵さんが登場。手嶌さんは黒髪を後ろにまとめ、黒のシンプルなワンピースというシックないでたちでした。何となく小柄で華奢な方というイメージを持っていましたが、思いの外背が高く、良い体格(太っているという意味じゃないです)をされているのでちょっと驚きました。ですから声量も十分あり、破綻無く曲目をこなしておられました。
 一曲ごとにMCも挟まれます。これもまたシャイな方という勝手な想像とは裏腹に、彼女独特のスローなテンポですが結構流暢にこなされていました。多分「北は北海道から」と言うところを「上は北から」なんて微笑ましい間違いもありましたけどね。

 曲目はもちろん映画「コクリコ坂から」からの選曲が中心ですが、大体4パートに分かれていました。最初は「コクリコ坂から」関連の3曲。映画中では坂本九が歌っていた名曲「上を向いて歩こう」、谷山浩子の独特のほんわり暖かでユーモラスな曲調の「朝ごはんの歌」、そして森山良子の昔の歌のカバーで、映画主題歌の「さよならの夏」という憎い選曲。
 初公演の名古屋では最初がやや硬かったらしいですが、今回は最初から落ち着いておられましたし、「朝ごはんの歌」では手拍手にあわせて楽しげに歌っておられました。それにしても予想以上の美声。どちらかといえばキーは低めで独特の口唇擦過音や無声音が混じるのですが、包み込むような暖かみのある声です。また先程述べたように予想以上にボディ感のあるしっかりした発声でもありました。

 セカンドパートは「ゲド戦記」関連。デモCDがジブリ参加のきっかけとなった、ベット・ミドラーの名曲「The Rose」、ゲド戦記の主題歌「テルーの唄」、この二曲はファンの多い曲目でもあり、前半の白眉でした。
 胸に染み入る彼女のキラー・チューン「The Rose」は絶対聴きたかった曲でしたので、もうひたすら一音も聞き逃すまいと聴いていました。ちなみにこの曲でピアノの野崎さんが初登場。
 次いで最初のアカペラが素晴らしかった「テルーの唄」。正直なところ映画で何回聴いてもそう感動しなかったんですが、今日は感動しました。後半の野崎さんのピアノ伴奏も高音域の音が磨かれたように美しく素晴らしかったです。

 サードパートはちょっと変わったところで、彼女が子供時代大好きだったという「魔女の宅急便」からユーミンの「やさしさに包まれたなら」、そしてザ・シュープリームスの「恋はあせらず」。これは年代的には「コクリコ坂から」の時代ですから映画中で流れていたのかな?手拍子も入り賑やかな演奏となりましたが、微妙に手拍子とリズムがあっていなかったような?まあ、良いチェンジ・オブ・ペースだったと申しておきましょう。

 フォース・パートは文字通り「コクリコ坂から歌集」の5曲。彼女は「紺色のうねり」が好きだとMCしておられましたが、個人的にはやはりスロー・バラードの「愛をこめて。海 」が良かったです。「」でちょっと歌詞を間違えたのはご愛嬌(笑。

 アンコールは伏せておきますが、最後まで好調な歌声を堪能できました。

 楽器の音響も良かったです。先程述べたピアノの高音部の球を転がすような美しさ、ギターの胴鳴りの余韻等鮮明に聴き取れました。

 というわけで、あっという間の1時間20分でした。欲を言えばあと3、4曲映画音楽のカバーかオリジナル曲(とくに「虹」)を聴きたかったですが「ジブリの夕べ」だから仕方ありませんね。本格的なコンサートがあれば是非また「奇跡の歌声」を聴きに行きたいと思います。