ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

カーズ2

Cas2
  いまや世界のアニメーション技術集団の頂点に君臨するピクサースタジオが25周年記念映画として選んだのは、屈指の名作「カーズ」の続編「カーズ2」でした。それだけジョン・ラセターの思い入れも強いのでしょう。早速観てまいりました。

『2011年アメリカ映画 Pixar製作 Disney配給

監督:ジョン・ラセター

ジョン・ラセター監督によるピクサーアニメ「カーズ」(2006)の続編。前作に続きラセターが監督を務める。天才レーシングカーのマックィーンとおんぼろレッカー車メーターの珍コンビが、前作の舞台ラジエーター・スプリングスを飛び出し、日本をはじめフランス、イタリア、イギリスとワールド・グランプリレースを転戦。その道中でスパイ工作に巻き込まれていく姿を描く。(映画.comより)』

 さすがだなと思うのはやはりPixarの持つ作画技術と徹底的なサービス精神。それにより極上のエンターテイメント性を獲得しています。擬人化された車一台一台の個性は見事に描き分けられ、日仏伊英と世界をまたにかけた背景美術も凝りに凝っています。3Dにはさほど感心はしませんでしたが、動画技術は文句なく世界最高水準でしょう。

 ストーリーも良く練られていて、今回は世界を駆け巡るスケールの大きなレースシーンとスパイが活躍するアクションシーンが巧くミックスされていて退屈しません。お約束の「車ころがし」や、イギリスのスパイがアストンマーチンであるなんて小技も随所に見せてくれます。

 では文句なしの傑作かと言うと、大人の鑑賞に堪えうるという意味では微妙に疑問です。前作で見られたような、滅び去るものへの郷愁・共感、青春期の悩みと友情、恋愛を通した成長等、結構深かった精神性は本作では見られません。もちろんマックィーンとメーターの友情が芯になってはいるのですが、ややおざなりなもので浅いと言わざるを得ません。また、ガソリンに代わる代替エネルギーの問題を社会問題として取り上げてはいますが、少し中途半端に終わっています。

 そのような点でピクサーの映画の多くが、ディズニーの傘下に入る前よりもつまらないなあ、と思っているファンは多いと思います。まあ、世界規模での興行収入というノルマが縛りになってある程度妥協しなければならない点もあるんでしょう。とにもかくにも退屈する暇もない面白い映画ではありました。

 あと一点気になったのは結構大きなシネコンであるにもかかわらず、2Dも3Dも吹き替え版のみであったこと。ディズニーの世界戦略なんでしょうか?Perfumeの「ポリリズム」が流れたのはラセターの趣味だそうですが。それにしてもメーターが日本庭園(砂の庭)を見る場面で流れる曲じゃないですね(苦笑。

 ということで評価としては個人的には残念ながらイマイチでした。が、決して面白くないと言うことではありません。子供連れで観にいく映画としては最適だと思います。なお、本編前に「トイ・ストーリー」のショート版がおまけで観られます。

評価: D: イマイチ
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)