ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

小松左京氏を悼む

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
 日本SF界の巨星が堕ちました。小松左京氏が7月26日、肺炎のため死去されました。享年80歳、謹んでご冥福をお祈りします。

 私の学生時代は日本SF界の黎明期でご他聞に漏れず私も夢中になって創元や早川を読んでいました。
 星新一筒井康隆とともに小松氏が御三家と呼ばれていましたが、小松氏の特徴を一言で言うと博覧強記、とにかくあらゆる分野で知らない事が無いのではないかと思えるほど該博な知識の持ち主でした。代表作の一つである「日本沈没」は当時の専門家をして「修士論文に匹敵する」と言わしめた、という記憶があります。

 代表作を一つあげろと言うのが無理だと思えるほど傑作を数え切れないほど著されましたが、私は途方も無いスケールで度肝を抜かれた「果てしなき流れの果てに」を推します。

 今回の東日本大震災とその後の原発事故に関して、「これは全て我々の世代の責任ではないのか」と悔やまれていたそうです。その思いを無駄にしないような形で新しい日本を築き上げていく事が何よりの供養になると思います。合掌。