ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2

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 第一作「ハリー・ポッターと賢者の石」からあしかけ10年、ついにこの「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2」をもって映画ハリー・ポッター・シリーズが完結しました。拙ブログでもいろいろと注文をつけたり褒めたりけなしたりの連続でしたが、ここに全てのスタッフとキャストに敬意と謝意を表します。ご苦労様でした。

『2011年 アメリカ=イギリス ワーナー配給

監督 デヴィッド・イェーツ 
脚本 スティーヴ・クローヴス 
原作 J・K・ローリング 

キャスト: ダニエル・ラドクリフルパート・グリントエマ・ワトソンアラン・リックマンレイフ・ファインズ、ヘレナ=ボナム・カーター 他

ハリー・ポッターダニエル・ラドクリフ)たちとヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)の間で繰り広げられる最後の戦い。この壮大なクライマックスで魔法界における善と悪の戦いは、本格的な交戦へとエスカレートする。この戦いは今までで最も危険なものであり、もはや誰一人としてその身が安全な者はなかった。しかも、ヴォルデモート卿との最終決戦で最後の犠牲を払うことになるのはハリー。そしてすべての謎が明らかになり、物語はフィナーレを迎える。(Movie Walker他より)』

 さすがに最終作、息もつかせぬ展開で全ての謎を解明しホグワーツでの最終決戦の結末まで観客を引っ張っていきました。これまで何かと批判も多かった監督のデヴィッド・イェーツでしたが、ぶれることなく4作品を寒色調のイギリス的映像で統一した手腕は称賛されるべきでしょう。後半だけでも膨大な内容を含む原作を脚本に書き下ろす作業も大変だったと思いますが、スティーヴ・クローヴスはあくまでも原作に忠実に、映画向けに上手く改変してまとめ上げていたと思います。

 CGも見応えがありました。前半のドラゴンを利用してのグリンゴッツ銀行からの脱出、中盤の「ロード・オブ・ザ・リング」ばりのホグワーツ最終決戦開戦は良くできていましたね。

 敢えて言うと、最終決戦中の個々の登場人物の描写が物足りない(特にヴェラトリックスが弱すぎる)、とか、あるいは10年の歳月を要したハリーとヴォルデモートの最終対決があれで終わりか、とか、19年後のハリー、ロン、ハーマイオニーのメイクが若すぎないか、とか、観る人それぞれに気になる細かい瑕疵はあると思います。個人的には世界中のファンからのプレッシャーでローリング女史ハリー・ポッターを生かしておかざるを得なかった設定自体にラストの若干の迫力不足の原因があると思いますが。

 そしてキャスト。もう8作目になると、演技がどうのこうのではなく、作中人物そのものですから文句のつけようもありません。特に、シリーズ全体を通じて悪役を演じ続けて次第に人気が出、最後の最後で鮮烈な印象を与えたセヴェラス・スネイプ役のアラン・リックマン、最初はダメ学生のチョイ役がどんどん存在感を増して最後にブレイクしたネヴィル・ロングボトム役のマシュー・ルイス、この二人が今回の裏主役でしょう。

 最後にダニエル・ラドクリフエマ・ワトソン、この二人が今後公私共にこのシリーズを引きずって生きていかなければならないのは並大抵のことではないでしょうけれども、幸多かれと祈っています。

評価: B: 秀作
((A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)