ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Collapse Into Now / R.E.M.

Collapse Into Now
  R.E.M.の新作です。考えてみればデビュー作「Murmur」(1983)からもう30年近く経ちましたか。オルタナティイブ・ロックの雄として輝かしい経歴を持つ彼等ですが、拙ブログでは一回もレビューしたことはありませんでしたし、今日の一曲でも「My Religion」くらいしか出してないと思います。決して興味が無い訳ではないんですが、他のバンドに比べて難しすぎるんですよねえ。特に歌詞は。。。
 ところが今回は結構とっつき易く、政治的アジテーションもあまり無い。そして構成もハイテンションの曲や緩い曲がバランス良く配置され、良質のロックアルバムに仕上がっています。もちろん独特の陰鬱さや韜晦された歌詞などの特徴は一聴して分かりますけれども。というわけで、初めてR.E.M.のレビューに挑戦してみましょう。

1. Discoverer 
2. All The Best 
3. überlin 
4. Oh My Heart 
5. It Happened Today 
6. Every Day Is Yours To Win 
7. Mine Smell Like Honey 
8. Walk It Back 
9. Alligator_Aviator_Autopilot_Antimatter 
10. That Someone Is You 
11. Me, Marlon Brando, Marlon Brando and I 
12. Blue 

 まずはハイテンションでエッジの立ったギターに導かれて始まる典型的なロック・チューン1「Discoverer」、続いてハイテンポを維持する2「All the Best」、一転してミドルテンポで名作「My Religion」のようにじっくり歌いこまれる3「überlin」。ピーターのアコギの音色も相変わらずとても美しい。ちなみにこの曲、デビッド・ボウイの三部作で有名なベルリンのハンザ・スタジオで録音されているとか。

 そして控えめなホーンセクションとマイナー調のコーラスが印象的な4「Oh My Heart」、続いて今回のゲストの目玉の一人エディー・ヴェダーとのコーラスが曲後半を盛り上げる5「It Happened Today」。リバーブの効いたマイケルのボーカル、スキャットに絡むギターが美しい6「Every Day Is Yours To Win」。

 一転して再びハイテンポでかなり際どい歌詞を快調に歌い飛ばす7「Mine Smell Like Honey」、クールダウンするように「Walk It Back」という歌詞をしみじみ歌い込む8「Walk It Back」、そしておそらくこのアルバム中でも抜きん出たキラーチューンと思われる、ひたすらカッコイイ9「Alligator_Aviator_Autopilot_Antimatter」、言葉遊びのような歌詞の中にすべり込んでくる女性ボーカルはPeachesとクレジットされています。知りません(笑。

 短めのハードナンバー10「That Someone Is You 」、3と同じようにじっくり歌いこむ、いかにもマイケル好みのひねくれた題名の「Me, Marlon Brando, Marlon Brando and I 」を経て、最後の大作12「Blue」に突入します。カオス的サウンドとマイケルの「Collapse Into Now」で終わるノイジーな朗読の間で、大物ゲストパティ・スミスがその独特の歌唱を聴かせ、その後1と同じような美しいギターのリフが鳴り響き最後は「Just Go!」のリフレインで幕を閉じます。Coldplayの「Viva La Vida Or The Death And All His Friends」を思い出さないでもない劇的な終わり方でした。

 おおっ、久しぶりに全曲紹介してしまった(笑。以上久々の快作という感じです。とは言ってもR.E.M.ファン以外の方にはやっぱりとっつきにくいかもしれませんが、興味があれば是非どうぞ。参考までに「今日の一曲」に一曲目を埋め込んでおきました。