ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

川の底からこんにちは

川の底からこんにちは [DVD]
はむちぃ: 皆様こん**は、寒の戻りで体調をお崩しではございませんでしょうか、ゆうけい家筆頭執事のはむちぃでございます。本日の邦画レビューは2010年キネマ旬報邦画ベスト10で第5位を獲得いたしました「川の底からこんにちは」でございます。
ゆうけい: とはいうものの公開劇場が少なかったもので映画館でご覧になった方は少なかったのではないかと思います。ようやくDVDをレンタルできましたので早速借りてまいりました。
は: ご主人様も注目しておられます満島ひかり様が主演でございますね。
ゆ: 特に好みという訳でも無いんですが(笑、演技に名前どおり光るものがありますね。そういえばこの映画に相当入れ込んだのか、石井監督と結婚しちゃいました。
は: ではその満島ひかりの熱演を堪能できる映画紹介に参りましょう。

『2010年日本映画、

監督・脚本: 石井裕也

キャスト:満島ひかり, 遠藤雅, 相原綺羅, 志賀廣太郎, 岩松了

上京して5年、仕事は5つ目、彼氏は5人目。妥協と惰性で毎日を送る佐和子に、父親が病に倒れ余命わずかとの報せが入った。ひとり娘の佐和子は実家の“しじみ工場”を継ぐため、5年ぶりに故郷の水辺の町に帰るが、くせ者のオバちゃん揃いの工場は倒産寸前、火の車。追い込まれた佐和子は、オバちゃんたちのパワーを借りて、初めて人生に立ち向かう。(AMAZON解説等より)』

は: 観るものに元気を与える、勢いのある楽しいコメディでございました。
ゆ: う~ん、確かに最後までぐいぐい引っ張っられ気がついたら終わっていましたが、随分と荒削りな作品ですねえ(笑。大阪芸大出身で新進気鋭の監督さんだそうですが、この脚本と演出で商業ベースに乗せていいもんかどうか。。。
は: 石井監督はこの時期2柞平行して作っており、この作品は「観客に観てもらうための映画」として作ったと語っておられますが。
ゆ: そうですか、でも一般公開できる娯楽映画だというのならもう少しきっちりと脚本なりカメラワークなり、演出なりを煮詰めて欲しかった気がします。が、一方でそれをやるとはむちぃ君の言う「勢い」が消えてしまうかもしれないし、ほっんと映画作りって難しいもんですね(故水野晴郎風)。

は: 基本的な構成としては、23歳にして既に人生あきらめモードの女性が東京から田舎に戻り、更に周囲の白い目に追い詰められ、そのどん底で開き直ってたくましく生き始めるという、良くあると言えば良くある起承転結でございます。
ゆ: 開き直ってからの展開にスピードと勢いがあって面白かった分、そこに至るまでの過程にもう少し説得力のある脚本が欲しかったですね。
は: 口癖の「中の下」が一体どのあたりの生活なんだか分かりにくかったですね。
ゆ: 確かに大した事ない人生かもしれませんが、一応金に困ってる風もないし、ビール(発泡酒?)は好きなだけガンガン飲んでるし、田舎に帰れば傾きかけている会社とは言え一応社長の娘で結構な家に住んでるしね。
は: 田舎に帰ってからの工場のおばさん方や周囲の白い目もちょっとオーバーすぎる気がしました。
ゆ: 5年前高校卒業と同時に家を飛び出してテニス部のキャプテンと上京した事を「駆け落ち」と後ろ指さされているんですが、今時それほど大した事ですかぁ?。中島みゆきの「ふぁいと!」じゃあるまいし、そこまで言われるこたぁない(タモリ風)。
は: そのあたりもう少し脚本を煮詰めれば、より面白かったかもしれませんね。
ゆ: その他にも雰囲気エコの男とか、シジミダイオキシン蓄積の研究に来たおデブの女子大生とか、枝葉末節の扱いもちょっと雑でしたしね。 

は: それでも面白かったのはやっぱり満島ひかり様の熱演に負う所が大きいですね。
ゆ: 前半はちょっと暗めの演出で、現代っ娘的喋り方も個人的には決して好きにはなれなかったんですが、それでも随所で上手いなと思わせてくれました。後半はもうエンジン全開でしたね。子役の相原綺羅と自分を重ね合わせ、

「どうせあんたも大した子供じゃないんだから、頑張るしかないんだからね」

と言い放って幼稚園に送り出す場面なんかこの映画の一つのハイライトでしたね。子役の子もうまかったですが。
は: あとは工場のおばちゃん方の集団パワーが凄かったですね(笑。
ゆ: シジミ工場というのがなかなか面白い設定で、おばちゃん方の着替えシーンもお楽しみです(笑。
は: 主人公が一念発起して作り変えた社歌も傑作でしたね。
ゆ: 笑いましたねえ。冒頭のリンク先の公式HPで聴けますので是非どうぞ!

は: 以上、荒削りながらそれなりに楽しめて元気を貰える映画となっております。というわけで評価でございますが?
ゆ: 佳作をあげたいところですが、冷静に評価すればやっぱりこっちでしょうね。でも見所はある映画ですので是非どうぞ。

評価: D: イマイチ
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)