ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

三宮シネフェニックス閉館

 神戸の映画ファンにはまた一つ残念なニュースが入りました。以前シネカノンが閉館した時も残念な思いをしましたが、今度は三宮シネフェニックスが5月に閉館する事が決定しました。またミニシアター系が一つ消えるのかという寂しさももちろんですが、大震災の後の復興の願いをこめた「フェニックス」という名前が消える事にも一際寂しさを覚えます。

『 神戸市中央区三宮センター街の映画館「三宮シネフェニックス」がゴールデンウイーク開けの5月8日に閉館する。開館以来、観客動員数を少しずつ 伸ばしてきたものの、赤字が続いて3次元立体(3D)映像の上映可能なデジタル式映写機などに投資できず、経営を断念した。神戸シネマの灯がまた一つ消え ることになる。

 三宮シネフェニックスは、阪神・淡路大震災で「三宮東映」が全壊したため、東映系子会社が1995年12月 にオープンした。98年4月には経営難からOS・シネフェニックスが引き継いだが、2006年、JR三ノ宮駅前にできた商業施設「ミント神戸」にシネマコ ンプレックス(複合型映画館)を開業したため撤退、フロアのオーナー会社「都商事」が経営を担ってきた。

 「大作より名作を選んできた」と徳平敬佳支配人(28)。韓国、アジア系の映画や邦画を多く上映し、シニア層の観客が目立った。アニメも人気を呼び、「ワンピース」は2万5千人を動員した。

  昔ながらの全席自由席で丁寧な接客に定評があったが、映写機や座席は古い設備のままで「同じ1800円をもらっているのに、サービス向上に投資できな い」(徳平支配人)と昨年12月、閉館を決めた。

(大月美佳、神戸新聞2011/03/08より) 』

 もともと今の南側のビルにあった三宮東映が大震災で倒壊し、センタービルに移ってオープンしたのは知っていましたが、このような資本関係の移動があった事は知りませんでした。見晴らしの良い明るい清潔感のあるロビー、丁寧な接客、500円(多分)でフリードリンクなど、居心地の良い映画館でした。トイレには近日公開の映画の宣伝・解説が貼ってあったり、アジア系の映画に力を入れていたりと、個性と情熱のある映画館でした。私も一度「孫文」のレビューをしたことがありますが、この映画館がなかったら多分このような映画を観る事もなかったでしょう。

 一方で、三宮の一等地にあるし、東映のアニメや大作などで集客も出来るしで、赤字続きで新しい設備投資も出来ない状態とは意外でした。結局大手シネコンだけが生き残っていく時代なのかもしれませんが、残されたミニシアター系のシネ・リーブルやOSミントに押され気味の神戸国際松竹には是非頑張って欲しいと思います。