ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

東京島

東京島 [DVD]
はむちぃ: 皆様こん**は、本日の映画レビューは昨年公開されました「東京島」でございます。、1940年代にマリアナ諸島アナタハン島で現実に起こった「アナタハンの女王事件」をもとにした桐野夏生原作の無人島サバイバル映画として話題になりました。
ゆうけい: 妻夫木聡君、深津絵里さん、日本アカデミー賞受賞おめでとうございます。できれば作品賞も「悪人」にとって欲しかったですな。
は: ご主人様、今回は「悪人」ではなくて「東京島」でございます(-.-)。
ゆ: でございますな。まあ無人島モノに今更さして新味がある分けではないんですが、薄幸の女性のイメージの強い木村多江がガラッとイメチェンしてたくましい女性を演じているという話でしたし、それより何より監督が篠崎誠という事で、一体どんな映画に仕上げているのか興味がございましてな。
は ゆうはむレビュー史上屈指のトホホ映画「0093女王陛下の草刈正雄」を撮られた方でございますからね。では映画紹介に参りましょう。

『 2010年、日本映画

原作:桐野夏生 
監督:篠崎誠 
脚本:相沢友子 

キャスト:木村多江 窪塚洋介 福士誠治 柄本佑 木村了

桐野夏生の同名ベストセラー小説を、『ゼロの焦点』の木村多江主演で映画化したサバイバルドラマ。世界一周クルーズの途中で嵐に遭い無人島に流れ着いた清子は、新たに漂着した16人の男たちと共同生活を始め、彼らから女王のような扱いを受けるが…。やがて、夫が謎の死を遂げ、清子はただ1人の女性として女王のように君臨。しかし、楽園のような暮らしも長くは続かず、少しずつ島のバランスが崩れ始める。争いを避け、ルールをつくり安住しようとする日本の男たち、脱出計画を立てながらも生存能力を発揮する中国人。相容れない2つのグループの間を渡り歩き、何があろうと脱出しようと決意する清子。果たして、この孤島<東京島>で、一体何が起こるのか?(AMAZON解説等より)』

は: 予想通りなかなかユニークな無人島サバイバル映画となっておりましたね。
ゆ: 今の時代に映画の結末まで約10年全く発見されずにおれるのか、海上保安庁をなめとんのか、というツッコミは今回無しにしましょう(笑。
は: 何もない無人島にも関わらず、みんなノホホンと何となく生活できているというところもまあスルーしましょう(笑。
ゆ: その上で、与那国島から仕事がきつくて逃げて漂流して来た日本人16人と後から来る密航中国人6人を相手にしなければいけなくなるたった一人の女性のたくましい姿を、シリアスではなく、終始ユーモラスに描いたところに篠崎誠監督の真骨頂があるなと思いますね、ちょっとやりすぎたり笑いがズレたりしているあたりもさすが0093(笑。

は: 普通無人島モノの女性と言えば美女というのが相場なんですが、この映画では「平凡な主婦で不美人で年増」という設定でございまして、それをあの木村多江様が演じるところにこの映画の肝でございました。
ゆ: さすが木村多江さん、全編ほとんどノーメイクである意味汚れ役の主人公を演じきるんですから大した役者根性ですな。
は: ノーメイクのメイクをしているのかもしれませんが、それにしてもノーメークで十分お綺麗ですね。
ゆ: 逆に監督も困ったんしゃないでしょうか。

は: そのたった一人の年増女性に誰もが翻弄される中、たった一人ワタナベという男が彼女に反抗いたします。ドラゴンボール亀仙人みたいに亀の甲羅を背負って歩いたり、中国人と喋れないのにコミュニケーション出来たり、この映画でも屈指の変わり者でございましたが、
ゆ: これをやった窪塚洋介が上手かったですねえ。木村さんをババァと罵ったりするこの二人の絡みがこの映画に不協和音としてとても良い刺激を与えていました。この映画から木村さんと窪塚さんが日本アカデミー賞にノミネートされなかったのが不思議なくらいです(苦笑。

は: 日本人と中国人のバイタリティの違いは今の現実世界の縮図という指摘もございます。
ゆ: 中国人の方がタフでかつサバイバル術にも脱出術にも長けていて、日本人が現実に目を瞑ってこの島で生きていこうとするあたり、そういう意図が透けて見えますよね。でもまあそのあたりを真剣に考えるよりは、木村多江が両者を手玉にとってあっちにつきこっちに帰りするあたりを楽しめばいいと思いますね。

は: さて後半、展開は思いもかけぬ方向へと展開してまいります。
ゆ: 面白いといえば面白いしトホホといえばトホホ(笑。まああのまま無限ループ状態に陥っていくわけにもいきませんしね。エピローグには思わず

助かったんなら双子の片割れを助けに行けよ

と突っ込みたくなりましたが、とにもかくにも0093の篠崎監督が強引にまとめきったというところでしょうか。

は: というわけでございまして、一風変わった無人島サバイバル映画でございました。
ゆ: 原作を読んでおりませんのでどこまで改変したのかは分からないんですが映画のみで評価すると、基本的にツッコミどころ満載。でも結構面白い。という確かに不思議な映画でございました。まあひとえに木村多江さんの魅力で持ち堪えたんだろうといっておきましょう。
は: では評価でございます。
ゆ: 観て損はないと思いますが、評価としてはこんなもんかと(^_^;)。

評価: D: イマイチ
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)