ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ソーシャル・ネットワーク

Socialnetwork
はむちぃ: 皆様こん**は、ゆうけい家筆頭執事のはむちぃでございます。本日の映画レビューは世界で5億人が利用している世界最大のSNSの成り立ちを描いて話題沸騰の「ソーシャル・ネットワーク」でございます。
ゆうけい: といってもドキュメンタリーではなく、設立者のマーク・ザッカーバーグにも全く取材していないのであくまでもフィクション映画だ、ということなんですが、出てくるSNSの名前は紛れも無く「Facebook」でした(笑。
は: ご主人様もお使いでございましょ?
ゆ: まあね、MixiTwitter程には見てませんけど。実名で本人写真が基本ってとこに匿名性がないのが良し悪しですね。まあビジネスや海外交流が必要な方向け、と思ってました。でもこの映画を見ると、出発点は学内出会い系サイトなんですね(苦笑。

『2010年アメリカ映画 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント PG12

監督:デビッド・フィンチャー
脚本:アーロン・ソーキン
製作総指揮:ケビン・スペイシーアーロン・ソーキン
原作:ベン・メズリック

キャスト:ジェシー・アイゼンバーグアンドリュー・ガーフィールドジャスティン・ティンバーレイクジョセフ・マッゼロルーニー・マーラアーミー・ハマーマックス・ミンゲラ

世界最大のソーシャルネットワーキングサイト「Facebook」創設者マーク・ザッカーバーグの半生を、鬼才デビッド・フィンチャーが映画化。2003年、ハーバード大学に通う19歳のマークは、親友のエドゥアルドとともに学内の友人を増やすためのネットワーキング・サービスを開発する。そのサービスは瞬く間に他校でも評判となり、ファイル共有サイト「ナップスター」創設者のショーン・パーカーとの出会いを経て、社会現象を巻き起こすほどの巨大サイトへと急成長を遂げるが……。(映画.comより)』

は: ハーバードの学生マーク・ザッカーバーグフェイスブックを立ち上げ巨大SNSに成長させるまでの紆余曲折と、その間に起こる諍いによって生じた二つの裁判を通して華やかなサクセスストーリーの裏側を描いた、なかなか見応えのあるヒューマン・ドラマでございました。
ゆ: いきなりデートでの喧嘩別れを描いたり、サクセスストーリーと裁判を平行して描く事により結構胡散臭い成り立ちである事を臭わせたりして、観客をこの騒動に引きずりこむあたり、さすが鬼才フィンチャー、見事な手腕ですね。

は: 主人公マークは彼女に振られた腹いせに酔っ払いながら自分のブログで彼女を誹謗した上個人情報を公開し、勢い余って大学のサーバーをハッキングして女子学生同士を比較する投票サイト「フェイスマッシュ」を立ち上げ、2時間で22,000アクセスに達してハーバードのサーバーがダウンする、という所が出発点でございますが、
ゆ: よく天才と何とかは紙一重といいますが、エクセントリックですね。その後の自分勝手な行動といい、裁判での傲慢な言動といい、そしてそれを自覚していないところといい、星野仁彦氏の「発達障害に気づかない大人たち」を思い出しました。
は: エジソンADHDだったといいますが、良く似ている気がしますね。果たしてただの性格なのか、発達障害なのか。
ゆ: ナップスターを作り、そしてこのフェイスブックにもかんでくるショーン・パーカーも同じ臭いがしますね、でも彼の場合は性格かなあ(笑。

は: 一方で気の毒なのは常識人。彼にアイデアを盗用されたウィンクルボス兄弟、創業時の共同経営者エドヴァルド・サベリン、この二組が結局訴訟を起こさざるを得なくなる過程は実に丁寧に描かれていて、しかも同時に訴訟シーンも出てくるのでとてもスリリングで飽きさせない展開ですね。
ゆ: 普通映画の主人公が訴訟を起こされれば、起こした方の印象が悪くなるもんですが、これが全く逆で彼ら二組の方がよほど紳士的で同情してしまう。そのあたりの描き方が上手いと思いました。
は: とは言っても結局フェイスブックが大成功していく原動力はマークの才能とショーンのはったりめいた行動力にある事もはっきりと提示されていますね。
ゆ: もしマークウィンクルボス兄弟に素直に協力しているだけの人物であったら、またエドヴァルドとの友情を大事にして彼を信じてショーンを遠ざけていたら、今のフェイスブックは無いわけで、私のような凡人としては複雑な思いでその過程や訴訟を見ておりました。

は: となりますと、演技においてもエクセントリックなマーク役のジェシー・アイゼンバーグ、ショーン役のジャスティン・ティンバーレイクについつい目を奪われてしまいますね。
ゆ: どうしてもそうなりますよね。特に主人公マーク役のジェシーはファーストシーンのあきれるほど早口で一方的な喋りからマーク・ザッカーバーグになりきり、徹頭徹尾天才肌で利己的でありながらそれを自覚していないと言う人間像を演じきっていましたね。アカデミー主演賞にもノミネートされたそうですが、頷けますね。

は: マークがその振られた相手エリカと一度仲直りを試みるシーンでは彼の所業に深い恨みを持つ彼女ににべも無く振られますが、最後のシーンではその彼女もフェイスブックに登録している事が分かります。
ゆ: ラストシーンで彼女にメッセージを送ろうとするシーンは一応この映画も青春映画なんだと主張しているようです(笑。さて、エリカ様はどうリプライしたんでしょうね~。

は: というわけで巨大SNSの波乱万丈の成長過程をとおしてハーバードを中心とした人間群像を描いた興味深い人間ドラマでございました。
ゆ: しつこいようですがあくまでもフィクションだそうですので、単純にマーク・ザッカーバーグがこういう人間だと信じてはいけないと思いますが、そう信じさせてしまうようなリアルな描き方は見事だったと思います。
は: では評価でございます。
ゆ: ブームに乗っかってスキャンダラスな映画を作った、という見方もできますが、それにしても一本の映画として良くできていると思いました。

B: 秀作
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)