先日から二度紹介しているユニバーサルミュージックのSHM仕様のSACDですが、一枚4500円と高いのが難点。ところが一枚だけ安いのがあるんです。それがこの聴き比べサンプラー。一枚1500円と安い上に、モノレイヤーSHM仕様のSACDと通常のSACD/CDハイブリッド盤がカップリングされていてその聴き比べが可能。曲目もロック、ジャズ、クラシックの美味しいところばかりをピックアップして採用しているので、オーディオ調製用に使えるかと思って買ってみました。
ロック/ポップス
1. マーシー・マーシー・ミー / マーヴィン・ゲイ
2. アイム・ノット・イン・ラヴ / 10cc
3. いつか世界は/ Wishbone Ash
4. ストーミー・マンデイ / Allman Brothers Band
ジャズ
5. コルコヴァード/ Getz/Gilbert
6. 誰も奪えぬこの思い / Ela and Louis
7. オレオ / Miles Davis
8. セント・トーマス / Sonny Rollins
クラシック
9. ブラームス: ドイツ・レクイエム作品45から 第1曲:悩みを抱く者たちは、しあわせである / カラヤン、BPO
10. ベルリオーズ: 幻想交響曲作品14から 第4楽章:断頭台への行進 / サー・コリン・デイヴィス、RCO
11. ストラヴィンスキー: バレエ≪春の祭典≫から いけにえへの賛美~祖先の呼び出し~祖先の儀式 (クラシック) / サロネン、ロス・フィル
(Disc-1:SACD-SHMモノレイヤー、Disc-2:通常のSACD/CDハイブリッド)
もちろんDisc-1から聴いてみます。う~ん、どの曲も音が良いですねえ。ロックなどは良すぎてかえって当時の実感とズレているくらいです。特に凄いのが10ccの「アイム・ノット・イン・ラヴ」。そう言えばステレオサウンドで高橋健太郎氏が
「スタジオの虫10ccとレッド・ヘリオスが生み出した広大無辺のポップ・ワールド」
と題して彼等のマスタリングにかけた情熱のことを書いておられましたが、それが十分うなづける音です。当時最新鋭のミキシング・コンソール、レッド・ヘリオスを用い、まずコーラス・パートから録音を始めて多重録音を重ね続けて完成させた10ccサウンドはまさに音の洪水。LP は持っておらず当時FMから聞こえていたあやふやな記憶との比較でしかありませんが、これだけの音が入っていたのかと、音場一杯に詰め込まれた音に圧倒さ れました。
ちなみにこの曲は国内オリジナル・アナログ・マスターを基にしたDSDマスターなんで、本当のオリジナルマスターはもっと凄いかもしれないと思うとゾクゾクしますね(笑。ただ、スティーリー・ダンの「彩」の解説に、本国のマスターが使われ過ぎて劣化が激しい場合もあるので国内マスターの方が良い場合もあると書いてありましたが。
ジャズではマイルスの「オレオ」のトランペットの音が良いです。きつくなりすぎずしかも突き抜けて響いてくる感じ。収録アルバムは「リラクシン」で所謂マラソンセッションの一枚ですから1956年の録音なんですが、とても50年以上経っている音とは思えません、これも国内オリジナル・アナログ・マスターなんですが、マスターテープってこんなに劣化しないものなんですかね。
さてトリはクラシック。う~ん、やっぱり高音質ディスクで聞くべしはクラシックか、と無理やり納得させられる説得力のある好録音でどの曲もすばらしい。サロネンの「春の祭典」だけがこのサンプラーで唯一新しい録音で、さすがにティンパニ・バスドラなどの迫力は別格的です。が、あとの二曲も古さを感じさせません。
さて、次はDisc-2のSACDを聴いてみます。。。ん?良い音やん(^_^;)。SHM仕様のモノレイヤーに比べると、僅かに音が平板でざらつき伸びやかさに劣る「気」はしますが、ブラインドで分かるかどうか。。。やっぱり駄耳です。。。orz
CD層もAccuphase DP-700のDACの性能が良すぎて結構な音です、と、機械のせいにしてみる(笑。まあ僅差とは言えやっぱりSHM仕様のモノレイヤーSACDの音が一番良いのは間違いないと思います。まだこのシリーズを一枚もお持ちでない方は値段も手ごろですので是非お試しくださいませ。